41 / 49
第41話:夜会当日を迎えました
しおりを挟む
あれから1週間、夜会当日を迎えた。ドレスに着替え終わった私を見て、デイズ様が心配そうな顔をしている。
嫌な予感しかしないのだが…
「フランソア、本当に夜会に行くのかい?やはりフランソアは体調不良という事で…」
やっぱり…もう、デイズ様ったら…
「デイズ様、今更何をおっしゃっているのですか?今日の為に色々と準備をして来たでしょう?胸にはおばあ様から頂いたブローチもありますし、万が一私が連れ去られたときに、すぐに居場所が特定できる様器具も持っております。念のため防弾チョッキもドレスの下に来ておりますし、何が起こっても大丈夫ですわ」
「防弾チョッキって…別に戦争に行く訳ではないのだから、そんなものは着なくてもよかったのだが…」
デイズ様ときちんと話をした後も、心配だ心配だと騒いていたデイズ様。少しでも彼を落ち着かせるため、色々と準備をしたのだが。さすがに防弾チョッキはいらなかったかしら?
「2人とも何を盛り上がっているのだい?さあ、そろそろ行こうか。フランソア、くれぐれもデイズから離れない様に気を付けろよ。私達も気にかけるようにするから。それから今日は、お忍びでラファエル殿下もいらっしゃる予定だから、よろしく頼む」
「まあ、王族主催の夜会に、よくラファエル殿下の出席が許されましたね」
「実は先日、十数年ぶりに陛下とラファエル殿下が再会されたのだ。それで、陛下も思う事があったのだろう。陛下自ら、ラファエル殿下を今回の夜会に招待したらしい。ただ、王妃殿下が不満を抱いている様だが」
なるほど。ラファエル殿下とジェーン殿下の王位争いも、水面下で進んでいるという訳ね。
「それじゃあ、行こうか」
4人で馬車に乗り込み、王宮を目指す。
「フランソア、大丈夫かい?王宮は君にとって、あまりいい思い出がないだろう?」
デイズ様が心配そうに顔を覗き込んできた。
「確かにそうですが、今日はデイズ様やお父様、お母様もいらっしゃるので大丈夫ですわ」
そう、もう私は1人ではない。
王宮に着くと、それぞれパートナーと一緒に入場する。もちろん、私はデイズ様と腕を組んで入場するのだ。
「こうやってたった1人の伴侶と一緒に入場できるのは、嬉しいものですね…」
お妃候補だった頃は、夜会に参加するときのエスコートは、順番だった。6人いたため、6回に1回しか殿下と一緒に入場できないのだ。それ以外はいつも1人。1人で入場するのって、なんだか惨めなのよね。
でもこれからは、ずっとデイズ様と一緒に入場できる。それが嬉しくてたまらない。つい頬が緩んだ。
「フランソアが嬉しそうで何よりだよ。これからは君が1人で入場する事はないから、安心して欲しい」
私の隣では、デイズ様が微笑んでくれている。デイズ様が隣にいてくれるだけで、私は嬉しい。
しばらくすると、陛下と王妃様、さらにジェーン殿下とお妃候補の1人が入場してきた。他のお妃候補は、1人で入場した様だ。
「あら?ラファエル殿下は一緒に入場しないのかしら?」
「ラファエル殿下ならさっき、シャーレス侯爵令嬢と入場していたよ。さすがに王族と一緒に入場という訳にはいかなかったのだろう。王妃とジェーン殿下がいる限りは、難しいだろうね」
確かに王妃様はかなりラファエル殿下の事を嫌っていると聞いた。あの人が王家を牛耳っている限り、ラファエル殿下が王宮に入り込む隙は無いのかもしれない。
でも今、ラファエル殿下を次期国王にするべく、多くの貴族が動いていると聞いた。もし今日、またジェーン殿下がこの前の様な失態を犯せば、一気にラファエル殿下を国王にという声が大きくなるだろう。
やっぱり、今日がチャンスかもしれない。
すっとジェーン殿下の方を見ると、バッチリ目があった。その瞬間、ニヤリと笑ったのだ。何なの、あの笑顔…
一瞬ゾクリとする。
するとお妃候補たちが私に気が付いた様で、こちらにやって来た。
「あら、ごきげんよう。フランソア様。あなた、デイズ様とご婚約されたのに、まだジェーン様の事を見ていらっしゃるの?図々しいわね。自分からお妃候補を辞退したというのに…」
「この人、本当はジェーン様の事がお好きなのに、一夫多妻制が嫌で、抗議のつもりでお妃候補を辞退したのよ。少しでもジェーン様の気を引きたくて…」
「本当に愚かね」
そう言って笑っている。相変わらず失礼な人たちね。
「君たち、さっきから聞いていれば好き勝手言って!そもそもフランソアは公爵令嬢だ。君たちより身分が高い。いくらお妃候補だからって、自分たちの身分をわきまえた方がいいのではないのかい?今回の件は、公爵家から正式に抗議させてもらうからね」
「まあ、私たちはジェーン様のお妃候補なのよ!このまま私たちがジェーン様と結婚すれば、私たちの方が身分は上になるというのに!今日の事、覚えていなさいよ!」
「ああ、もちろん覚えているよ!君たちがフランソアに吐いた暴言の数々をね。そもそも、既にお妃候補を辞退した人間に暴言を吐くだなんて、そんなんで王妃は務まらないよ。これ以上フランソアを傷つけたら、本当にただじゃおかないからな!」
デイズ様がお妃候補者たちを怒鳴りつけた。
「覚えていなさいよ!ジェーン様に言いつけてやるのだから!」
そう言って去っていくお妃候補者たち。
「デイズ様、助けてくれてありがとうございます」
「僕はただ、言いたい事を言っただけだよ。それにしても、5年間あんな暴言を受けていたのかい?可哀そうに…殿下はフランソアの事を好きだと言っておきながら、庇いもしないだなんて、本当に信じられない!」
そう言ってデイズ様が抱きしめてくれた。彼はどんな時でも、私を守ってくれる。本当にデイズ様と婚約出来て、幸せだわ。
嫌な予感しかしないのだが…
「フランソア、本当に夜会に行くのかい?やはりフランソアは体調不良という事で…」
やっぱり…もう、デイズ様ったら…
「デイズ様、今更何をおっしゃっているのですか?今日の為に色々と準備をして来たでしょう?胸にはおばあ様から頂いたブローチもありますし、万が一私が連れ去られたときに、すぐに居場所が特定できる様器具も持っております。念のため防弾チョッキもドレスの下に来ておりますし、何が起こっても大丈夫ですわ」
「防弾チョッキって…別に戦争に行く訳ではないのだから、そんなものは着なくてもよかったのだが…」
デイズ様ときちんと話をした後も、心配だ心配だと騒いていたデイズ様。少しでも彼を落ち着かせるため、色々と準備をしたのだが。さすがに防弾チョッキはいらなかったかしら?
「2人とも何を盛り上がっているのだい?さあ、そろそろ行こうか。フランソア、くれぐれもデイズから離れない様に気を付けろよ。私達も気にかけるようにするから。それから今日は、お忍びでラファエル殿下もいらっしゃる予定だから、よろしく頼む」
「まあ、王族主催の夜会に、よくラファエル殿下の出席が許されましたね」
「実は先日、十数年ぶりに陛下とラファエル殿下が再会されたのだ。それで、陛下も思う事があったのだろう。陛下自ら、ラファエル殿下を今回の夜会に招待したらしい。ただ、王妃殿下が不満を抱いている様だが」
なるほど。ラファエル殿下とジェーン殿下の王位争いも、水面下で進んでいるという訳ね。
「それじゃあ、行こうか」
4人で馬車に乗り込み、王宮を目指す。
「フランソア、大丈夫かい?王宮は君にとって、あまりいい思い出がないだろう?」
デイズ様が心配そうに顔を覗き込んできた。
「確かにそうですが、今日はデイズ様やお父様、お母様もいらっしゃるので大丈夫ですわ」
そう、もう私は1人ではない。
王宮に着くと、それぞれパートナーと一緒に入場する。もちろん、私はデイズ様と腕を組んで入場するのだ。
「こうやってたった1人の伴侶と一緒に入場できるのは、嬉しいものですね…」
お妃候補だった頃は、夜会に参加するときのエスコートは、順番だった。6人いたため、6回に1回しか殿下と一緒に入場できないのだ。それ以外はいつも1人。1人で入場するのって、なんだか惨めなのよね。
でもこれからは、ずっとデイズ様と一緒に入場できる。それが嬉しくてたまらない。つい頬が緩んだ。
「フランソアが嬉しそうで何よりだよ。これからは君が1人で入場する事はないから、安心して欲しい」
私の隣では、デイズ様が微笑んでくれている。デイズ様が隣にいてくれるだけで、私は嬉しい。
しばらくすると、陛下と王妃様、さらにジェーン殿下とお妃候補の1人が入場してきた。他のお妃候補は、1人で入場した様だ。
「あら?ラファエル殿下は一緒に入場しないのかしら?」
「ラファエル殿下ならさっき、シャーレス侯爵令嬢と入場していたよ。さすがに王族と一緒に入場という訳にはいかなかったのだろう。王妃とジェーン殿下がいる限りは、難しいだろうね」
確かに王妃様はかなりラファエル殿下の事を嫌っていると聞いた。あの人が王家を牛耳っている限り、ラファエル殿下が王宮に入り込む隙は無いのかもしれない。
でも今、ラファエル殿下を次期国王にするべく、多くの貴族が動いていると聞いた。もし今日、またジェーン殿下がこの前の様な失態を犯せば、一気にラファエル殿下を国王にという声が大きくなるだろう。
やっぱり、今日がチャンスかもしれない。
すっとジェーン殿下の方を見ると、バッチリ目があった。その瞬間、ニヤリと笑ったのだ。何なの、あの笑顔…
一瞬ゾクリとする。
するとお妃候補たちが私に気が付いた様で、こちらにやって来た。
「あら、ごきげんよう。フランソア様。あなた、デイズ様とご婚約されたのに、まだジェーン様の事を見ていらっしゃるの?図々しいわね。自分からお妃候補を辞退したというのに…」
「この人、本当はジェーン様の事がお好きなのに、一夫多妻制が嫌で、抗議のつもりでお妃候補を辞退したのよ。少しでもジェーン様の気を引きたくて…」
「本当に愚かね」
そう言って笑っている。相変わらず失礼な人たちね。
「君たち、さっきから聞いていれば好き勝手言って!そもそもフランソアは公爵令嬢だ。君たちより身分が高い。いくらお妃候補だからって、自分たちの身分をわきまえた方がいいのではないのかい?今回の件は、公爵家から正式に抗議させてもらうからね」
「まあ、私たちはジェーン様のお妃候補なのよ!このまま私たちがジェーン様と結婚すれば、私たちの方が身分は上になるというのに!今日の事、覚えていなさいよ!」
「ああ、もちろん覚えているよ!君たちがフランソアに吐いた暴言の数々をね。そもそも、既にお妃候補を辞退した人間に暴言を吐くだなんて、そんなんで王妃は務まらないよ。これ以上フランソアを傷つけたら、本当にただじゃおかないからな!」
デイズ様がお妃候補者たちを怒鳴りつけた。
「覚えていなさいよ!ジェーン様に言いつけてやるのだから!」
そう言って去っていくお妃候補者たち。
「デイズ様、助けてくれてありがとうございます」
「僕はただ、言いたい事を言っただけだよ。それにしても、5年間あんな暴言を受けていたのかい?可哀そうに…殿下はフランソアの事を好きだと言っておきながら、庇いもしないだなんて、本当に信じられない!」
そう言ってデイズ様が抱きしめてくれた。彼はどんな時でも、私を守ってくれる。本当にデイズ様と婚約出来て、幸せだわ。
応援ありがとうございます!
2
お気に入りに追加
5,448
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる