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第51話:裁判が始まりました
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お父様とお兄様が逮捕されてから、どれくらい経っただろう。お母様は何とか目覚めたものの、目が虚ろ。いつも明るいお義姉様も、辛そうに俯いている。ただ、ロードがいるからか必死で平静を装おうとしている。
そんなお義姉様を見ると、私も胸が張り裂けそうになる。きっと私のせいで、お父様とお兄様は捕まったんだ。私の事を恨んでいるナタリー様に嵌められて…
もし私さえいなかったら、皆幸せになれるのかな…
お父様とお兄様が捕まってから、そんな事ばかり考えている。そんな私の様子に気が付いたお義姉様が
「ルーナちゃん、あなたのせいではないわ。どうか気を確かに!大丈夫よ、きっとエヴァン様が何とかしてくださるわ」
そう言って笑顔を向けてくれるのだ。夫が命の危機にさらされ、自分と息子の身も危ないと言うのに、どうしてこの人は私に優しくしてくれるのだろう。その優しさが、余計に辛い。私さえいなければ…そんな気持ちが芽生える。
正直今どれくらい時間が過ぎたのか分からない。食事も喉を通らず、眠る事も出来ないのだ。
今も窓から差し込む太陽の光をただボーっと見つめる。その時だった。
「お前たち、出ろ!」
そう言うと騎士たちに無理やり馬車に押し込まれた。向った先は、裁判所だ。私達は狭い席に無理やり押し込められた。どうやら今日、お父様とお兄様の裁判が行われるらしい。裁判所の隣には、処刑場もある。最悪裁判で有罪が決まったら、そのまま処刑場に直行という事も十分考えられるのだ。
恐怖から体が震えた。隣では状況を理解したお母様が声をあげて泣き出した。泣き声を聞いたロードも泣いている。お義姉様も辛そうにロードをなだめている。
私もお母様を抱きしめる。でも、どう声を掛けていいか分からない。しばらくすると、鎖で繋がれたお父様とお兄様がやって来た。どこからどう見ても犯罪者扱いだ。近くにはヴィノーデル公爵と、虫けらを見る様な顔でこっちを見つめているナタリー様の姿も。
そしていよいよ裁判が始まった。
予想通り、ヴィノーデル公爵が今回お父様とお兄様が毒物を栽培している事を証明する契約書などを提出したことで、お父様たちが逮捕された様だ。
やっぱり私のせいで、お父様とお兄様が…
そう思ったら、涙が溢れた。私のせいで大切な家族が殺される。そう思ったら、胸が張り裂けそうになる。
涙を流して泣く私の背中を、お義姉様が優しく撫でてくれた。
「お義姉様、ごめんなさい…私のせいで…家族が…」
「あなたのせいではないわ。だから…自分を責めないで…」
私の耳元でそう呟いてくれるお義姉様。その優しさが、胸に突き刺さる。
そしてヴィノーデル公爵が次々と証拠の品を提出していく。さすがにここまで証拠をそろえられたら、お父様たちの有罪は確定だろう。そう思った時だった。
「お待ちください、こちらに書かれている住所は、確か今は使われていない土地のはずです。それにこの土地には、管理者しか入る事が出来ないはずですが…」
そう発言したのは、エマの父親でもあるバレッスレィー侯爵だ。隣には心配そうな顔のエマの姿も。どうやら私を心配したエマが、父親に頼んで一緒に裁判所についてきた様だ。
「確かにバレッスレィー侯爵の言う通り、この土地は管理者以外立ち入りを禁止されている場所のはずだ。本当にこの場所で、毒物の栽培を行っていたのか疑問が残りますね」
裁判官たちも首を傾げた。きっとバレッスレィー侯爵がこの短時間で、我が家を助けるために必死に調べてくれたのだろう。でも…
「確かにこの土地は、管理者の許可なく入れない決まりになっておりますが、お金を払えば簡単に入る事が出来ると聞いたことがあります。きっと裏ルートを使って出入りしていたのでしょう。それに何より、ここに栽培契約書があるのです。それに栽培に関する資料や売買に関する契約書も、アルフィーノ侯爵家から押収済みです。そういえばバレッスレィー侯爵家のエマ嬢は、アルフィーノ侯爵家のルーナ嬢と親友らしいですね。親友の家を助けたいのは分かるが、変な言いがかりはしない方がいい。君の家も立場が悪くなるよ」
そう言い放ったヴィノーデル公爵。エマが目に涙を浮かべ、ナタリー様を睨んでいる。エマ、バレッスレィー侯爵様、私の為にありがとう。でも、さすがにもうこの状況を覆すことは出来ない。
案の定、お父様たちは有罪になった。さらに処罰が読み上げられる。
「ローランド・アルフィーノ、ロイド・アルフィーノを、毒物栽培及び売買の罪で、極刑に処す。さらにアルフィーノ侯爵家は取り潰し、その家族は国外追放に…」
「ちょっと待って下さい!!」
この声は…
そんなお義姉様を見ると、私も胸が張り裂けそうになる。きっと私のせいで、お父様とお兄様は捕まったんだ。私の事を恨んでいるナタリー様に嵌められて…
もし私さえいなかったら、皆幸せになれるのかな…
お父様とお兄様が捕まってから、そんな事ばかり考えている。そんな私の様子に気が付いたお義姉様が
「ルーナちゃん、あなたのせいではないわ。どうか気を確かに!大丈夫よ、きっとエヴァン様が何とかしてくださるわ」
そう言って笑顔を向けてくれるのだ。夫が命の危機にさらされ、自分と息子の身も危ないと言うのに、どうしてこの人は私に優しくしてくれるのだろう。その優しさが、余計に辛い。私さえいなければ…そんな気持ちが芽生える。
正直今どれくらい時間が過ぎたのか分からない。食事も喉を通らず、眠る事も出来ないのだ。
今も窓から差し込む太陽の光をただボーっと見つめる。その時だった。
「お前たち、出ろ!」
そう言うと騎士たちに無理やり馬車に押し込まれた。向った先は、裁判所だ。私達は狭い席に無理やり押し込められた。どうやら今日、お父様とお兄様の裁判が行われるらしい。裁判所の隣には、処刑場もある。最悪裁判で有罪が決まったら、そのまま処刑場に直行という事も十分考えられるのだ。
恐怖から体が震えた。隣では状況を理解したお母様が声をあげて泣き出した。泣き声を聞いたロードも泣いている。お義姉様も辛そうにロードをなだめている。
私もお母様を抱きしめる。でも、どう声を掛けていいか分からない。しばらくすると、鎖で繋がれたお父様とお兄様がやって来た。どこからどう見ても犯罪者扱いだ。近くにはヴィノーデル公爵と、虫けらを見る様な顔でこっちを見つめているナタリー様の姿も。
そしていよいよ裁判が始まった。
予想通り、ヴィノーデル公爵が今回お父様とお兄様が毒物を栽培している事を証明する契約書などを提出したことで、お父様たちが逮捕された様だ。
やっぱり私のせいで、お父様とお兄様が…
そう思ったら、涙が溢れた。私のせいで大切な家族が殺される。そう思ったら、胸が張り裂けそうになる。
涙を流して泣く私の背中を、お義姉様が優しく撫でてくれた。
「お義姉様、ごめんなさい…私のせいで…家族が…」
「あなたのせいではないわ。だから…自分を責めないで…」
私の耳元でそう呟いてくれるお義姉様。その優しさが、胸に突き刺さる。
そしてヴィノーデル公爵が次々と証拠の品を提出していく。さすがにここまで証拠をそろえられたら、お父様たちの有罪は確定だろう。そう思った時だった。
「お待ちください、こちらに書かれている住所は、確か今は使われていない土地のはずです。それにこの土地には、管理者しか入る事が出来ないはずですが…」
そう発言したのは、エマの父親でもあるバレッスレィー侯爵だ。隣には心配そうな顔のエマの姿も。どうやら私を心配したエマが、父親に頼んで一緒に裁判所についてきた様だ。
「確かにバレッスレィー侯爵の言う通り、この土地は管理者以外立ち入りを禁止されている場所のはずだ。本当にこの場所で、毒物の栽培を行っていたのか疑問が残りますね」
裁判官たちも首を傾げた。きっとバレッスレィー侯爵がこの短時間で、我が家を助けるために必死に調べてくれたのだろう。でも…
「確かにこの土地は、管理者の許可なく入れない決まりになっておりますが、お金を払えば簡単に入る事が出来ると聞いたことがあります。きっと裏ルートを使って出入りしていたのでしょう。それに何より、ここに栽培契約書があるのです。それに栽培に関する資料や売買に関する契約書も、アルフィーノ侯爵家から押収済みです。そういえばバレッスレィー侯爵家のエマ嬢は、アルフィーノ侯爵家のルーナ嬢と親友らしいですね。親友の家を助けたいのは分かるが、変な言いがかりはしない方がいい。君の家も立場が悪くなるよ」
そう言い放ったヴィノーデル公爵。エマが目に涙を浮かべ、ナタリー様を睨んでいる。エマ、バレッスレィー侯爵様、私の為にありがとう。でも、さすがにもうこの状況を覆すことは出来ない。
案の定、お父様たちは有罪になった。さらに処罰が読み上げられる。
「ローランド・アルフィーノ、ロイド・アルフィーノを、毒物栽培及び売買の罪で、極刑に処す。さらにアルフィーノ侯爵家は取り潰し、その家族は国外追放に…」
「ちょっと待って下さい!!」
この声は…
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