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第50話:間に合うのか?~エヴァン視点~
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とりあえず怪しい使用人の件は父上に任せ、膨大にある映像を僕とハドソン、さらに執事たちも交え、1つ1つ確認していく。それにしても凄い量だ。これだけで1週間はかかるのでは…て、弱気な事を言っている場合ではない。とにかく確認しないと!
「エヴァン、ハドソン殿下もお疲れ様。それで映像の方はどうだい?」
「まだこれと言った映像は見つかりません。父上の方はどうですか?」
「こっちはとりあえず使用人を生け捕りにする事に成功したよ。やはり見つかった時に自ら命を絶つため、毒を持参していた。ちなみに使用人が持っていた毒だが、今回アルフィーノ侯爵家が栽培していたと言われている毒と同じものだった。もしかしたら、ヴィノーデル公爵家が栽培していた毒を、あたかもアルフィーノ侯爵家が栽培している様に見せかけたのかもしれない。こっちは引き続き調査を進めるよ」
「分かりました、ではそちらはよろしくお願いいたします」
父上が部屋から出て行った後、すぐに僕たちも映像の確認を再開する。
「やっぱりヴィノーデル公爵が、アルフィーノ侯爵家を嵌めたことで間違いなさそうだね。それにしてもヴィノーデル公爵家は恐ろしい家だ。あんな家から王妃が誕生するだなんて、何が何でも阻止しないと!」
隣でハドソンが意気込んでいる。その後も映像の確認を進めていく。でも、中々めぼしい映像が出てこない。
「坊ちゃま、ハドソン殿下、一度休憩を」
執事が心配そうな顔で話しかけてきた。
「僕は大丈夫だ!ルーナが悲しんでいるのに、休憩なんてしていられないよ」
「僕も問題ない!僕が休憩したせいで、罪もない貴族が裁かれるなんて御免だ!それにこの程度の作業で音を上げていたら、王太子は務まらないからね」
どうやらハドソンも休憩をしない様だ。
その後も作業は続く。気が付くと夜が明け、太陽が随分高く昇っていた。マズイぞ、このままでは間に合わない!その時だった。
「ハドソン、これを見てくれ!」
僕はある映像を見つけたのだ。それはアルフィーノ侯爵の専属執事が、侯爵の部屋で何やら書類を入れ替えている映像だ。早速映像を細かく分析すると、毒物の栽培に関する書類という事が分かった。
さらに別の映像では、別の書類にサインさせたように見せかけ、まんまと毒物の栽培に関する書類にサインさせる映像も残っていた。
「まさかアルフィーノ侯爵の専属執事もグルだったなんて…今すぐ執事を捕らえろ!いいか、絶対に生け捕りにしろよ」
「エヴァン、こっちを見てくれ。執事がさっきの書類を別の使用人に渡しているぞ。この書類は、毒物の栽培に関する書類だ。この使用人から、ヴィノーデル公爵家に渡ったのだろう」
さらに出るわ出るわ、使用人たちの裏切りの映像の数々。
「これでアルフィーノ侯爵の無実は証明できるかな?でも、たとえ無実を証明できたとしても、真犯人を捕まえないと意味がない。しかももう夜か…」
ふと外を見ると、真っ暗になっていた。
「ハドソン、今日はありがとう。さすがに疲れただろう。今日は一旦王宮に帰って休んで…」
「何を言っているんだ。ここまで来たら、休むなんて出来ない!とにかく、やれるところまでやろう。僕はこんな卑怯な事をするヴィノーデル公爵とナタリーが許せない!彼らにはきちんとした裁きを受けて欲しいんだ!」
髪もボサボサ、目も充血しているハドソン。きっとかなり疲れているのだろう。それでも僕に協力してくれると言ってくれたハドソンの気持ちを、無駄にしたくない。
「分かった、ありがとう。それじゃあ、一旦これらの資料をもって、父上の元に向かおう。父上の方も、何らかの情報を掴んでいるかもしれないし。それに、アルフィーノ侯爵の執事から何らかの情報を得ているかもしれない」
急いで父上のところに向かうと、陛下の執事も来ていた。
「エヴァン、ハドソン殿下もちょうどいいところに来たな。それでそっちはどうだ?」
「はい、侯爵や令息が騙されてサインしていた証拠が沢山出てきました。これでアルフィーノ侯爵とロイドの無罪を証明できますよね?」
早速父上たちに映像を見せるが…
「う~ん、これだけでは無罪にするのは厳しいな…やはり侯爵たちを陥れた真犯人を捕まえないとな」
「そんな…それじゃあ侯爵たちは…」
「その点に関してだが、なんとかなるかもしれない。侯爵たちを助けるために、今必死で情報をまとめているところだ。エヴァンとハドソン殿下も手伝ってくれ。とにかくもう時間がない!急ごう」
「分かりました、ハドソン、悪いが手伝ってくれるかい?」
「もちろんだ、でも時間がない。急ごう」
とにかく僕たちには時間がない。夜を徹して作業を行ったのだった。
※次回、ルーナ視点です。
目まぐるしく視点が変わっておりますが、引き続きどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m
「エヴァン、ハドソン殿下もお疲れ様。それで映像の方はどうだい?」
「まだこれと言った映像は見つかりません。父上の方はどうですか?」
「こっちはとりあえず使用人を生け捕りにする事に成功したよ。やはり見つかった時に自ら命を絶つため、毒を持参していた。ちなみに使用人が持っていた毒だが、今回アルフィーノ侯爵家が栽培していたと言われている毒と同じものだった。もしかしたら、ヴィノーデル公爵家が栽培していた毒を、あたかもアルフィーノ侯爵家が栽培している様に見せかけたのかもしれない。こっちは引き続き調査を進めるよ」
「分かりました、ではそちらはよろしくお願いいたします」
父上が部屋から出て行った後、すぐに僕たちも映像の確認を再開する。
「やっぱりヴィノーデル公爵が、アルフィーノ侯爵家を嵌めたことで間違いなさそうだね。それにしてもヴィノーデル公爵家は恐ろしい家だ。あんな家から王妃が誕生するだなんて、何が何でも阻止しないと!」
隣でハドソンが意気込んでいる。その後も映像の確認を進めていく。でも、中々めぼしい映像が出てこない。
「坊ちゃま、ハドソン殿下、一度休憩を」
執事が心配そうな顔で話しかけてきた。
「僕は大丈夫だ!ルーナが悲しんでいるのに、休憩なんてしていられないよ」
「僕も問題ない!僕が休憩したせいで、罪もない貴族が裁かれるなんて御免だ!それにこの程度の作業で音を上げていたら、王太子は務まらないからね」
どうやらハドソンも休憩をしない様だ。
その後も作業は続く。気が付くと夜が明け、太陽が随分高く昇っていた。マズイぞ、このままでは間に合わない!その時だった。
「ハドソン、これを見てくれ!」
僕はある映像を見つけたのだ。それはアルフィーノ侯爵の専属執事が、侯爵の部屋で何やら書類を入れ替えている映像だ。早速映像を細かく分析すると、毒物の栽培に関する書類という事が分かった。
さらに別の映像では、別の書類にサインさせたように見せかけ、まんまと毒物の栽培に関する書類にサインさせる映像も残っていた。
「まさかアルフィーノ侯爵の専属執事もグルだったなんて…今すぐ執事を捕らえろ!いいか、絶対に生け捕りにしろよ」
「エヴァン、こっちを見てくれ。執事がさっきの書類を別の使用人に渡しているぞ。この書類は、毒物の栽培に関する書類だ。この使用人から、ヴィノーデル公爵家に渡ったのだろう」
さらに出るわ出るわ、使用人たちの裏切りの映像の数々。
「これでアルフィーノ侯爵の無実は証明できるかな?でも、たとえ無実を証明できたとしても、真犯人を捕まえないと意味がない。しかももう夜か…」
ふと外を見ると、真っ暗になっていた。
「ハドソン、今日はありがとう。さすがに疲れただろう。今日は一旦王宮に帰って休んで…」
「何を言っているんだ。ここまで来たら、休むなんて出来ない!とにかく、やれるところまでやろう。僕はこんな卑怯な事をするヴィノーデル公爵とナタリーが許せない!彼らにはきちんとした裁きを受けて欲しいんだ!」
髪もボサボサ、目も充血しているハドソン。きっとかなり疲れているのだろう。それでも僕に協力してくれると言ってくれたハドソンの気持ちを、無駄にしたくない。
「分かった、ありがとう。それじゃあ、一旦これらの資料をもって、父上の元に向かおう。父上の方も、何らかの情報を掴んでいるかもしれないし。それに、アルフィーノ侯爵の執事から何らかの情報を得ているかもしれない」
急いで父上のところに向かうと、陛下の執事も来ていた。
「エヴァン、ハドソン殿下もちょうどいいところに来たな。それでそっちはどうだ?」
「はい、侯爵や令息が騙されてサインしていた証拠が沢山出てきました。これでアルフィーノ侯爵とロイドの無罪を証明できますよね?」
早速父上たちに映像を見せるが…
「う~ん、これだけでは無罪にするのは厳しいな…やはり侯爵たちを陥れた真犯人を捕まえないとな」
「そんな…それじゃあ侯爵たちは…」
「その点に関してだが、なんとかなるかもしれない。侯爵たちを助けるために、今必死で情報をまとめているところだ。エヴァンとハドソン殿下も手伝ってくれ。とにかくもう時間がない!急ごう」
「分かりました、ハドソン、悪いが手伝ってくれるかい?」
「もちろんだ、でも時間がない。急ごう」
とにかく僕たちには時間がない。夜を徹して作業を行ったのだった。
※次回、ルーナ視点です。
目まぐるしく視点が変わっておりますが、引き続きどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m
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