転生したら令嬢になった挙げ句、猫神様と運命を共にすることに

「こんな展開、誰が予想できますか!?」

「落ち着くにゃー。騒いだところで現状は変わらないにゃー」

「うぐぐ……」

確かにその通りだ。ここで何を言ったところで私の婚約破棄が取り消されるわけでもないし、お父様は私が婚約を破棄されたと聞けば激昂して絶縁を言い渡してくるだろう。つまり私にできることは何もないのだ。

……こうなったらもう仕方ないわね! 私なりに婚約者に捨てられないよう頑張るしかないわ!

「分かりました。これから私はお父様と縁を切る方向で頑張ります」

「決断早いにゃー!?」

「もう仕方ないでしょう? こうなったら貴族の令嬢らしく優雅な人生を捨てる覚悟を決めるしかないじゃないですか!」

どうせすでに婚約破棄されているのだから、貴族としての生活を捨てて平民になったって構わないだろう。むしろその方が自由に生きられるかもしれないわね。それに元々、私は平民寄りの考え方をしているので今の生活は性に合っているような気がするし。

よし、決めた! お父様には申し訳ないけど、私は自由に生きるわ!

「というわけで、今後ともよろしくお願いしますね、猫神様」

「あー……分かったにゃ。とりあえず君がそう決めたのならそれでいいにゃ。でも僕としては人間社会のことには干渉しないようにしてるからあまり力にはなれないと思うにゃ?」

「構いませんよ。むしろ私が猫神様に頼ってしまうのは問題でしょうから、これまで通り勝手気ままに生活していただいて構いません。ただ、時々相談に乗っていただけると嬉しいです」

「了解にゃ。まあ、何かあれば呼ぶと良いにゃ」

「はい! ありがとうございます!」

よし、これで猫神様との繋がりは確保できたわ。これで猫神様経由でお父様に婚約破棄の件を報告してもらえるわね。もちろん私のことが嫌いになったのなら仕方ないけど、せめて私の話を聞いてくれたら嬉しいなぁ……。

「おっと、そろそろ時間にゃ。僕はこの辺で失礼するにゃ」

「えっ? もう帰るんですか?」

「僕はただの猫だからにゃー。あまり長い時間ここで過ごしていると色々と不都合が出るにゃ」

「そう……ですか。分かりました。ではまた今度、お会いしましょう!」

「うむ! また会える日を楽しみにしているにゃ!」

そう言って猫神様は姿を消してしまった。うーむ、本当に自由な人だわ……。でもその自由さがちょっと羨ましいわね。私もあんな風な生き方ができたらよかったのになぁ……。

よし、とにかく今はお父様と話をすることだけを考えましょう! さあ、いざ出陣! ***

「お父様、少しお時間よろしいですか?」

「なんだ、リーゼロッテ。今日はずいぶんと早いな」

そう言ってお父様はちらりと私を見たあと、再び書類に目線を戻した。
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