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第一章 エルフの少女

55話 「鬼達の街」その1

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ラーデンブルクの首都を出発して10日後の昼近く、イリスとブリックリンは西の大陸沿い海上を飛んでいた。

東の大陸に向かっているはずなのになんで西の大陸いるのかと言うと・・・

「まさか手続きにこんなに時間が掛かるなんて・・・」

東の大陸の「謎の街」は天龍と海龍の支配圏内らしく入るには入管の手続きが必要だった。
その中で引っかかってしまったのは地龍のブリックリンだ。

一度、中央大陸の海龍の入管管理局で手続きを取り、その証明書を天空城へ提出していたら10日も掛かってしまった。

龍種の移動は何かと面倒なのだ。

シルフィーナとガストンは先行偵察を行っている。

謎の街がモロに天龍の軍事行動圏内にあったので「少し時間が掛かるますよ?」と
天龍の入管受付の女性言われたのでシルフィーナがガストンとの先行を提案をしたのだが・・・

「えっ?公衆の面前で女性の上に乗るなんて・・・」
何やら盛大な誤解を生みそうな物言いで渋るガストンに対して、

「全然OKです!ガストンさんに乗られるなら私も光栄ですわ!
さあ!私にすぐに乗って下さい!」

これまた誤解を生む物言いのシルフィーナに押し切られて2人は入管局を後にした、
そして受付の女性は顔を赤くしていた・・・やっぱり誤解されてんじゃねえか。

「「今度フリーパスを取るよ」」
珍しく疲れた様子のブリックリン、慣れない書類作業お疲れ様。
ブリックリンが疲れたおかげで天龍から結構情報を集める事に成功した。

謎の街はやはり北の大陸に住んでいたゴブリンとオーガが作っている物だそうだ。
その中に少数のオークも混ざって協力しているとの事。
有名魔物の揃いぶみである。

「「移住の規模が大きいから新しい勢力が出来そうだよね」」

北の大陸では人間と魔族が暴れるおかげで知恵が高い魔物の生活圏が脅かされてるとの事、ゴブリン達は、それならいっその事、東の大陸を開拓しようと考えたそうだ。

「土地を管理してくれるゴブリンにオーガにオークを追い出してどうするつもりなんだろうね?」

人間より生産能力が高い彼らと上手く付き合えば自分達も繁栄出来るのに連中には「人間第一主義」とやらがあり亜人や人型の魔物を迫害するらしいのだ。

その土地を管理している・・・それが、この手合いには面白く無いのだ。
地球でも、どっかとどっかの国を見てると良く分かる。

ゴブリン達は圧倒的に数が多い人間になす術が無いのだそうだ。

その煽りを受けて中央大陸からもゴブリンとオーガが一斉に移住を始めてしまい
ピアツェンツェア王国では彼らの引き留めに苦労しているのだそうだ。

何せ貯水池や森林などを的確に管理してくれてるのだ、居なくなるとヤバい!

ピアツェンツェア王国ではゴブリン達への謝礼を倍にしているが人間に対しての信用が低下してしまっているので流出に歯止めが掛かって無い状況だ。

「ゴルド!ぜってえ!ぶっ潰す!」とクレマン国王はキレているらしい。

「ゴルド王国は、なんかほっといても勝手に自滅しそうな気がする」

その点に関して言えばイリスの認識は甘い、独裁と言うのは数多の庶民を犠牲にしてしぶとく生き残る物なのだ。
まぁ、滅びる時は地獄の様な悲惨な最後を迎えるが。

それから3日後に謎の・・・鬼達の街の近くの山で先行していたガストンとシルフィーナと合流した。

「どうでしたか?」

「う~ん・・・人間の私が接触して見たのですが敵対的では無いけど不信感は伝わりました。自分達の事は放っておいて欲しいと言われてしまいました」

「次に私が接触して見たのですが対応は普通でしたわ。
ただ残念ながら属性が違うので完全な信頼は得られそうにありませんわ」

ゴブリンとオーガは「火」オークは「土」でシルフィーナは「風」なので、大精霊のシルフィーナと言え、そこまで効果は高く無かった様子だ。

「じゃあ次は私とブリックリンで接触して見るね」
イリスの属性は「風と土」ブリックリンは「土」だがどうなるか?

ちなみにガストンの属性は「風と雷」だ。
なんか風と土ばっかりだね?と言われてもエルフの物語だから仕方ないのです。

とりあえず下手に正体を隠して不信感を抱かれ無い様に龍騎士のままの姿で街の入り口にゆっくりと降りる。

「ちっ・・・地龍様?!」門番のゴブリンはめっちゃ驚いている。
ゴブリンの姿は皆さんが知っているゴブリンそのままだと思って下さい。

しかし裁縫などの技術もあり身だしなみは人間と変わりません。
不潔を嫌う傾向があり人間より清潔な者が多いです。

この門番もポプリを持っているのか花の香りをさせている。

しかも若干精霊な部分もあり知能は高く、他種族を襲う様な凶暴さはありません、
どちらかと言うと大人しい性格です。

これがオーガになると半精霊、半亜人になり力、魔力、知能が跳ね上がり土地神の様な存在になります。

「ラーデンブルク公国から使者として参りました龍騎士のイリスと言います。
そちらの指導者の方とお会い出来たら幸いです」
そう言ってイリスが兜を取ると・・・

「ははははハイエルフ様??!!!いいいイリス様ですね?!」

「えっ?!様?!」

なんか思ってたのと全然違う反応をされてしまう。
なんと言うか?待ち望んだ神が降臨した様な?

「おおおおおおお待ち下さーーーい!!」
と走り去ってしまったゴブリン。

「「どうしたんだろうね?」」

「さあ?」

なんか嫌~な予感がするイリスだった。
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