9 / 106
モヤモヤが募る
しおりを挟む
小高い山の方へ向かう馬車を見ながら私はユーリが言う8時より前に来て欲しいという言葉を繰り返し考えていた。
あの場で言わなかったのは何か理由があるのではないか?
それに私にだけ教えるつもりだとしたら他の3人に言うと何か問題でもあるのでは…?と様々な考えが頭の中を駆け巡る。
「おーい、早く乗ってくれないか?」
他の者が居なくなったのになかなか乗らない私に痺れを切らした運転手が声をかけてくる。
「すみません、すぐ行きます!」
とりあえず今日は帰って一息入れようと思い、馬車に乗り込み、家路に向かってもらった。
馬車の中はライオネス家御用達だからか、内装が豪華で座る椅子は真っ赤でふかふかしている。
普通に座っていても沈み込む感じがしてなんだか落ち着かない…。
馬車に揺られながら薄いレースのカーテンを少し動かし外の様子を見ると今日同じ試験を受けた子だろうか、家の外で立たされ親に説教されている様子が目に入った。
目から涙を流し、必死に何かを親に伝えようとしている感じだった。
それを見ていると今日、私が受かった事が尚更不思議で、ブライスが一度『要らない』と言いかけたのをやめた理由が知りたくなった。
しかし、今日色々あったのと、この揺れる馬車の心地よさで次第に頭がコックリコックリ…と上下しはじめて行き私はそのまま窓に頭を押し付ける形で眠ってしまった…。
「…い。おーい」
誰かが私を呼びかける声で目を覚まし、ハッとし、
窓に押し付けていた頭をすぐに起こし、声のする方をみた。
すると、アカデミーから乗せてくれた運転手が扉を開け早く起きないかと何度も私を呼びかけていた。
「…やっと起きたか、着いたよ。ここだろ?君の家は」
(しまった…ずっと寝てた…)
窓の外を見ると見慣れた街の風景、そしてそのすぐ近くには私が生まれた生家が見えた。
白い壁の外観、雨に打たれ赤みがだいぶ黒ずんできた屋根、そして家の周りには父が凝って作らせたと言っていた古代ギリシャの時代を彷彿とさせる柱が何本も立っていた。
「すみません!ありがとうございます」
慌てて馬車から降りると、そこには待ち構えてたかのように両親が私を出迎え、すぐに試験に受かった時みたいに抱擁をしてくる。
それを見て、送ってくれた運転手は何も言わずに再びアカデミーへと戻っていった。
「やったなぁ!リーネ!やっぱりお前は…」
もう一度受かった時と同じセリフを言いながら持ち上げる父に、その傍らではうっすら涙を流し目元を抑える母。
「今日はご馳走だぞ!」
そう言うと私を抱き抱えたまま家の中へと移動していった。
中にはビーフシチュー、一羽丸々のチキン、それに細長くカットされ油であげたポテトなど『お祝い』の準備がされており、私が好きな料理がいくつも並べてられていた。
「全部食べていいからな、リーネ!」
余程嬉しかったんだろう。
この日の為に私に投資をしていたのであまりお金は無いはずなのに豪勢な振る舞いをしてくれた。
でも嬉しいようなこれからの不安が入り混じり複雑な気持ちで『うん』と私は答えてしまった。
私を囲い、食事をしながらこれからライオネス家の御子息とこうしたら選ばれるとかこうしないといけないとか力強く力説する父に、ユーリが言っていた
『私達は調べられていた』事を聞く雰囲気では無いなと察した…。
作り笑いを時折見せながら、合格した宴は終わり、私は2階の自分の部屋に行くと、レイ事務長から
預かったアカデミーの部屋の鍵と赤いブローチを机の上に置き、明日から始まる生活の準備のためクローゼットから服や気に入ってる小物などをバックに詰めていきながら考えた。
(ブライスが私を調べていたのは何か意味でも?
でも…なんで私なんだろうか…?)
答えが出ないモヤモヤを抱えながら準備を進めていく。
時折手を止めては考えるを繰り返しながら…。
あの場で言わなかったのは何か理由があるのではないか?
それに私にだけ教えるつもりだとしたら他の3人に言うと何か問題でもあるのでは…?と様々な考えが頭の中を駆け巡る。
「おーい、早く乗ってくれないか?」
他の者が居なくなったのになかなか乗らない私に痺れを切らした運転手が声をかけてくる。
「すみません、すぐ行きます!」
とりあえず今日は帰って一息入れようと思い、馬車に乗り込み、家路に向かってもらった。
馬車の中はライオネス家御用達だからか、内装が豪華で座る椅子は真っ赤でふかふかしている。
普通に座っていても沈み込む感じがしてなんだか落ち着かない…。
馬車に揺られながら薄いレースのカーテンを少し動かし外の様子を見ると今日同じ試験を受けた子だろうか、家の外で立たされ親に説教されている様子が目に入った。
目から涙を流し、必死に何かを親に伝えようとしている感じだった。
それを見ていると今日、私が受かった事が尚更不思議で、ブライスが一度『要らない』と言いかけたのをやめた理由が知りたくなった。
しかし、今日色々あったのと、この揺れる馬車の心地よさで次第に頭がコックリコックリ…と上下しはじめて行き私はそのまま窓に頭を押し付ける形で眠ってしまった…。
「…い。おーい」
誰かが私を呼びかける声で目を覚まし、ハッとし、
窓に押し付けていた頭をすぐに起こし、声のする方をみた。
すると、アカデミーから乗せてくれた運転手が扉を開け早く起きないかと何度も私を呼びかけていた。
「…やっと起きたか、着いたよ。ここだろ?君の家は」
(しまった…ずっと寝てた…)
窓の外を見ると見慣れた街の風景、そしてそのすぐ近くには私が生まれた生家が見えた。
白い壁の外観、雨に打たれ赤みがだいぶ黒ずんできた屋根、そして家の周りには父が凝って作らせたと言っていた古代ギリシャの時代を彷彿とさせる柱が何本も立っていた。
「すみません!ありがとうございます」
慌てて馬車から降りると、そこには待ち構えてたかのように両親が私を出迎え、すぐに試験に受かった時みたいに抱擁をしてくる。
それを見て、送ってくれた運転手は何も言わずに再びアカデミーへと戻っていった。
「やったなぁ!リーネ!やっぱりお前は…」
もう一度受かった時と同じセリフを言いながら持ち上げる父に、その傍らではうっすら涙を流し目元を抑える母。
「今日はご馳走だぞ!」
そう言うと私を抱き抱えたまま家の中へと移動していった。
中にはビーフシチュー、一羽丸々のチキン、それに細長くカットされ油であげたポテトなど『お祝い』の準備がされており、私が好きな料理がいくつも並べてられていた。
「全部食べていいからな、リーネ!」
余程嬉しかったんだろう。
この日の為に私に投資をしていたのであまりお金は無いはずなのに豪勢な振る舞いをしてくれた。
でも嬉しいようなこれからの不安が入り混じり複雑な気持ちで『うん』と私は答えてしまった。
私を囲い、食事をしながらこれからライオネス家の御子息とこうしたら選ばれるとかこうしないといけないとか力強く力説する父に、ユーリが言っていた
『私達は調べられていた』事を聞く雰囲気では無いなと察した…。
作り笑いを時折見せながら、合格した宴は終わり、私は2階の自分の部屋に行くと、レイ事務長から
預かったアカデミーの部屋の鍵と赤いブローチを机の上に置き、明日から始まる生活の準備のためクローゼットから服や気に入ってる小物などをバックに詰めていきながら考えた。
(ブライスが私を調べていたのは何か意味でも?
でも…なんで私なんだろうか…?)
答えが出ないモヤモヤを抱えながら準備を進めていく。
時折手を止めては考えるを繰り返しながら…。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
119
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる