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適正
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そんな風にユーリを見ながらついて行くと不意に私の方を見てきたと思ったら、急に足を止めた。
いきなりだったから私は止まることができずユーリにぶつかってしまった。
「どうしたの?」
私が尋ねると返事をすることなくユーリは胸元に付けたブローチをトントンと触りだす。
そんな行動を見て同じ様に胸元をみるとさっきあれだけ恥をかいたのに、ブローチを付けずについて来てしまっていた。
「あ…」
「待ってるから、ここで」
恥をもう一度かく所だった。
そんな私を気づかせてくれるユーリに感謝すると共に自分が恥ずかしくなった。
同い年のユーリがあれだけ優しく周りに臆する事なく自分を持っているのに、私はあたふたし、気が弱く、忘れやすい…。
これからユーリがいるから大丈夫と思って頼りきってしまってはいつか愛想を尽かされてしまうのでは…と怖くなった。
部屋に戻り脱いだ服に付いたブローチをとり、制服につけると待ってるユーリの元へと急いだ。
「ごめ…」
謝ろうとする私は廊下の外を見ているユーリの姿に言葉を失った。
本当に同い年なんだろうか…。
優しそうな雰囲気の目をしながらユーリは窓辺にいる小鳥の事を見つめていた。
その雰囲気は同じ7歳とは思えず、「大人」の雰囲気を纏っていた。
その様子を立ち止まり見ていた私に気付くとこちらに手を振って近づいてくる。
「付けた?…うん、大丈夫そうだね、行こう」
クルっと踵を返しユーリは先を歩きだす。
そこにふわりと甘く、それでいて清潔そうな石鹸の匂いが私の鼻に届いた。
(いい匂いだなぁ…)
その匂いに私はさらにユーリの事が好きになった。
*****
集合場所の講義室ではもう3人がそれぞれ座っており、入ってきた私達を見てくる。
3人もそれなりに良い家柄なんだろう、
制服のストールを皆自分が1番似合うと思っている巻き方をしている。
両肩に掛けたり前で軽く結んだり。
「遅いじゃない。逃げ出したかと思ったわ」
「ほんと、ほんと」
「でも居たらいたで楽しめそう」
私が気に入らないんだろう、入るなりすぐに悪口を私に浴びせてくる。
それを私は言い返す事が出来ず黙り込んでしまった。
「ちょっとあなた達!」
隣にいるユーリが3人に食ってかかっていった。
黒いローファーをカツカツと音を立てていきながら…。
そんな時、私の後ろから退くように言ってくる声がしたので振り返ると、そこにはブライスがすぐ後ろに立っていた。
しかもその格好はこのアカデミーで男の子が着る
黒のジャケットに下はグレーのパンツ姿の制服。
ジャケットの中に着る白いシャツには赤いネクタイが首元に軽く締められておりキチっとした感じではなく
軽く着崩した感じであった。
「退けっと言ったはずだが?」
ジロっと見てはその目力で私を威圧してきた。
そんな感じで見られ、すぐに通れるようにするとツカツカと講義室の黒板近くに置かれた椅子に座り出した。
その椅子は階段状になった講義室の椅子とは違い、肘掛けがあり黒い皮張りの椅子だった。
そんな椅子に座りながら立っている私とユーリを見ると口を開く。
『早く座れ、もう来るぞ』と。
それを聞くなり入ってくる1人の男性。
その男性は頭はカチッと七三に分け、上下黒いスーツを身に纏っている。
その男性は私とユーリと見て、『空いてる場所に座って欲しい』とお願いしてきた。
バタバタと1番手前に座ると男性は黒板前の教壇に立ち、自己紹介をしてきた。
「私はフロック。宜しく」
短い自己紹介だった。
他に何か言うわけでもなく淡々と…。
そんな自己紹介が終わるとブライスがおもむろに椅子から立ち、教壇にいるフロックさんの隣に行くと
『ご苦労、もういい』と告げ講義室から追い出していった。
そして、教壇の前に立ったブライスは私達に言う。
「講義なんて必要ない。
俺の嫁になり得るかどうかの適正を見る。
適正が無ければ明日にでも俺は言う、『要らない』」
と…。
いきなりだったから私は止まることができずユーリにぶつかってしまった。
「どうしたの?」
私が尋ねると返事をすることなくユーリは胸元に付けたブローチをトントンと触りだす。
そんな行動を見て同じ様に胸元をみるとさっきあれだけ恥をかいたのに、ブローチを付けずについて来てしまっていた。
「あ…」
「待ってるから、ここで」
恥をもう一度かく所だった。
そんな私を気づかせてくれるユーリに感謝すると共に自分が恥ずかしくなった。
同い年のユーリがあれだけ優しく周りに臆する事なく自分を持っているのに、私はあたふたし、気が弱く、忘れやすい…。
これからユーリがいるから大丈夫と思って頼りきってしまってはいつか愛想を尽かされてしまうのでは…と怖くなった。
部屋に戻り脱いだ服に付いたブローチをとり、制服につけると待ってるユーリの元へと急いだ。
「ごめ…」
謝ろうとする私は廊下の外を見ているユーリの姿に言葉を失った。
本当に同い年なんだろうか…。
優しそうな雰囲気の目をしながらユーリは窓辺にいる小鳥の事を見つめていた。
その雰囲気は同じ7歳とは思えず、「大人」の雰囲気を纏っていた。
その様子を立ち止まり見ていた私に気付くとこちらに手を振って近づいてくる。
「付けた?…うん、大丈夫そうだね、行こう」
クルっと踵を返しユーリは先を歩きだす。
そこにふわりと甘く、それでいて清潔そうな石鹸の匂いが私の鼻に届いた。
(いい匂いだなぁ…)
その匂いに私はさらにユーリの事が好きになった。
*****
集合場所の講義室ではもう3人がそれぞれ座っており、入ってきた私達を見てくる。
3人もそれなりに良い家柄なんだろう、
制服のストールを皆自分が1番似合うと思っている巻き方をしている。
両肩に掛けたり前で軽く結んだり。
「遅いじゃない。逃げ出したかと思ったわ」
「ほんと、ほんと」
「でも居たらいたで楽しめそう」
私が気に入らないんだろう、入るなりすぐに悪口を私に浴びせてくる。
それを私は言い返す事が出来ず黙り込んでしまった。
「ちょっとあなた達!」
隣にいるユーリが3人に食ってかかっていった。
黒いローファーをカツカツと音を立てていきながら…。
そんな時、私の後ろから退くように言ってくる声がしたので振り返ると、そこにはブライスがすぐ後ろに立っていた。
しかもその格好はこのアカデミーで男の子が着る
黒のジャケットに下はグレーのパンツ姿の制服。
ジャケットの中に着る白いシャツには赤いネクタイが首元に軽く締められておりキチっとした感じではなく
軽く着崩した感じであった。
「退けっと言ったはずだが?」
ジロっと見てはその目力で私を威圧してきた。
そんな感じで見られ、すぐに通れるようにするとツカツカと講義室の黒板近くに置かれた椅子に座り出した。
その椅子は階段状になった講義室の椅子とは違い、肘掛けがあり黒い皮張りの椅子だった。
そんな椅子に座りながら立っている私とユーリを見ると口を開く。
『早く座れ、もう来るぞ』と。
それを聞くなり入ってくる1人の男性。
その男性は頭はカチッと七三に分け、上下黒いスーツを身に纏っている。
その男性は私とユーリと見て、『空いてる場所に座って欲しい』とお願いしてきた。
バタバタと1番手前に座ると男性は黒板前の教壇に立ち、自己紹介をしてきた。
「私はフロック。宜しく」
短い自己紹介だった。
他に何か言うわけでもなく淡々と…。
そんな自己紹介が終わるとブライスがおもむろに椅子から立ち、教壇にいるフロックさんの隣に行くと
『ご苦労、もういい』と告げ講義室から追い出していった。
そして、教壇の前に立ったブライスは私達に言う。
「講義なんて必要ない。
俺の嫁になり得るかどうかの適正を見る。
適正が無ければ明日にでも俺は言う、『要らない』」
と…。
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