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chapter three

25.諦められない

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「……さん、に…さん、兄さん!」

ソラの呼ぶ声でカイルぎ目覚める

「ソラ?……!、あの後どうなった?」

最初あたりをキョロキョロしてここが屋敷内ではないことに気付く

「兄さんが気絶しちゃったから逃げてきた」

カイルは、悔しそうな顔をするとふらつきながらも立ち上がる

「…どうする?」

「もっかい行ってくる」

あの短い間でも、いやあの一瞬だからこそわかった

自分と相手には、圧倒的な力の差があると

「…勝ち目ないって兄さんもわかってる
次もあのお姉ちゃんが見逃してくれるかわかんない」

それでもと立ち上がるカイルをソラは、止めなければならない

ソラは、いつもより鋭い眼差しをカイルに向ける

「お前だってわかってるだろ!!
ここで諦めたら母さんが!」

「わかってる、諦めるんじゃない
けど今日はダメ…兄さんも休まないと」

それを聞いてカイルも渋々頷く

ソラが自分を心配してるのがわかるから



翌日、カイルもある程度元気を取り戻していた

「おい、ソラちゃんとめぇ覚めてるか」

「…うん、なんとか」

元々夜更かしは、苦手なソラ

それが2日続いてはさすがに疲れがでる

そのため昼にたっぷり寝たのだが逆に目が覚めていないようだ

「あのお姉ちゃん今日もいるかな」

「いたとしても、やるしかないだろ」

いなかったとしても簡単に突破できる気はしなかった

一度互いの顔を見比べて

ふたりは、同時に息を吸い込み同時に吐き出す

そうして、どちらから声をかけるでもなく

ふたり同時に歩き出した

彼らには諦めるという選択肢などあり得ない

例え敵わないとわかっている相手でも立ち向かわねばならないのだ

ふたりの大切なものを守るために
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