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53話

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 数時間後――私達は王都に到着するも、特に何も変化はない。

 城の中に入ると……そこには貴族の人達が倒れていて、私達は唖然とするしかなかった。

 マールの記憶に干渉したことで王の間に居ると知ったアゼルを先頭に、大階段を昇っていく。

 途中で魔将衆の手下らしき人が攻撃してくるも、私達4人の敵ではなかった。

「さっき倒れている貴族や兵士達は、カーラの養分となり、魔力を吸収されているようだ」

「そうなんですか?」

「貴族は優秀な魔力を持っている者が多いからな……神器を解くための糧になった辺りだろう」

 最悪死ぬ人も居るみたいだけど、城に居たのだから覚悟はできているはずだ。

 王の間にして……玉座のある大部屋に、3人の姿が見える。

 玉座の隣に魔方陣を強いて座っている人はカーラで、今は国に保管されている神器の封印を解こうとしている。

 そして――玉座に座る禍々しい魔力を放っている美青年。

 彼こそが魔将衆の大将ロヴォスで、膨大な魔力を宿している。

 それよりも、私はロヴォスの前に立っている少女に、意識を集中させるしかない。

 私の妹セローナにしか見えないも……宿している魔力は、完全に別人となっている。

 そして、セローナらしき少女は虚ろな目をして、邪悪な魔力を宿らせていた。

 どうやら魔将衆によって改造されて、膨大な魔力を手に入れたのでしょう。

 あそこまで強い魔力を急に宿したら、肉体は間違いなく崩壊する。

 長くは保たないと考えているも……殺意を剥き出しにしているセローナを見ると、自業自得だとしか思えなかった。
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