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ー雪山ー41

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「それ……本気で言うてるのか?」

 雄介の方は冷静に判断し望に聞き続ける。

「ああ……そうだ」
「ちょ……俺はそれだけの理由でこないな目に合わされとるんか?」

 雄介は今の望の態度に怒りを表している。

 だが朝から意味の分からない望に、とりあえず顔を俯けながら望が掴んでいる襟首にある手を震わせながら抑えていた。

 しかし本当に意味が分からない雄介。 そして意味の分からない望。

「な、今日の望やっぱ変やぞ。 しかも、襟首を掴むって世間で言ったら立派な暴力なんやからな。 言っとくが、大人の世界では先に手を出した方が負けなんやぞ。 法律でそう決められてるんやって」

 雄介はそこまで言うと望の手首を掴んで自分の方へと引き寄せる。

 そんな雄介に、

「ちょ、雄介……まだ、話が終わってねぇ」

 と望が最後まで言い切らないうちに雄介が望の唇へと唇を重ねる。

「な、今日の望……ホンマ、変やぞ、いや、寧ろ、昨日から変や」
「そ、それはお互い様だろ」

 望は雄介から離れるとベッドの端へと座るのだ。

「ま、そうなんやけど……」

 そう雄介は望の事をチラリと覗くと、もう望の方は先程のような怖い顔はしていなかった。

「とりあえずな、暴力に暴力はアカンと思うたから、今回はお前の事を抱き締めたって訳や。 暴力に暴力は人を傷付けるだけやしな……何も解決にもならへん。 但し、その技が使えるのは家族と恋人だけやと思うねんけど。 な、望……昨日から変なのは構って欲しいからなんやろ?」

 そう雄介が言うと望は目を丸くしながら雄介の事を見上げる。

「そこで、別に驚く事ないやろ? 俺も望と同じ気持ちやから分かるって訳で」

 そう雄介は望の頭をポンポンと撫でて望に笑顔を送るのだ。

「朝からバカな事言ってないで、下に行くで、和也がせっかく飯作ってくれたみたいやしな。 流石に食わへん訳にはいかんやろ?」
「あ、ああ」
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