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ー雪山ー197
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外の方は相変わらず吹雪いているようで風がガラス窓を叩く音がひっきりなしに響き渡っている。
「そうだー! 和也ー!」
と珍しくこの空気を打破してくれたのは望だ。
「ん? 何?」
「お前、この前の引き抜きの話はどうするんだ?」
そういきなり望の口から出てきた言葉に和也は勿論、裕実も雄介も望の事を見上げる。
「望さん……それって、どういう事ですか!?」
その言葉に一番最初に食いついて来たのは裕実だ。 そして興奮気味に聞く。
「あー、この話、裕実も雄介も知らなかったんだっけ? この前さー……」
そう望はこの前あった和也が新城に引き抜きの話をし始める。
「和也さん! 何でそんな大事な話、今まで僕にしてくれなかったんですか!?」
望が話終えたとほぼ同時位に声を荒らげたのは裕実だ。
「べ、別に……黙っておいたってお訳じゃねぇよ……だって、俺はそんな話の事なんかスッカリ忘れてた位だしな。 それに、新城が働いている病院なんかにさらさら行く気なんかねぇしな。 だって、俺的には望が働いている病院で満足してるしな。 それに、アイツ、あの時点で多少は俺の事諦めてたみたいだし、全然、気にしてなかったっていうのかな?」
「和也ー、そうは言うけどさ、たしかに、あそこでアイツは和也の事は諦めていたのかもしれねぇけど、今度またいつ仕掛けてくるか分からないぞ……」
そうそこまでハッキリと言う望。
一方、きっと和也の中ではその話をして欲しくなかったと思っているのかもしれない。 そして、この事については自分の問題であって和也自身で解決するつもりでいたのだから。
「そんな話すんなよ……って顔してるよな? じゃあ、どうして、恋人である裕実にはこの話しなかったんだ?」
そう静かに突っ込む望なのだが、こういつも以上に威圧感みたいなのがあるのはどうしてなんであろうか。
「そ、それはさっき言っただろ? それと、裕実を心配させたくなかっただけだしな」
「じゃあ、和也はこの問題を一人で解決させようとしてたって訳だ。 その事を恋人には話していないって一体どういう事なんだろうな? となると、和也は俺たちや裕実の事信用してないって事にならないか?」
その望の言葉に和也は言葉を詰まらせる。 そう望が言ってる事が正しいからなのかもしれない。 人間というのは、そういう風に口喧嘩になった時に言い返せなくなった時というのは相手の方が正しい事を言っているという事なのだから黙ってしまうという事だ。
そして和也的にはもう一つ気付いた事があったのであろう。 そう自分一人で解決しようとしていたという事だ。 仲間や恋人の事を信じていない自分がいたという事だ。
「ゴメン……別に俺はお前等を信じてないっていう訳じゃねぇんだ。 これは俺だけの問題だったから、俺、この問題だけは自分一人で解決したかっただけなんだからさ。 ただ、それだけだ……」
「そうだー! 和也ー!」
と珍しくこの空気を打破してくれたのは望だ。
「ん? 何?」
「お前、この前の引き抜きの話はどうするんだ?」
そういきなり望の口から出てきた言葉に和也は勿論、裕実も雄介も望の事を見上げる。
「望さん……それって、どういう事ですか!?」
その言葉に一番最初に食いついて来たのは裕実だ。 そして興奮気味に聞く。
「あー、この話、裕実も雄介も知らなかったんだっけ? この前さー……」
そう望はこの前あった和也が新城に引き抜きの話をし始める。
「和也さん! 何でそんな大事な話、今まで僕にしてくれなかったんですか!?」
望が話終えたとほぼ同時位に声を荒らげたのは裕実だ。
「べ、別に……黙っておいたってお訳じゃねぇよ……だって、俺はそんな話の事なんかスッカリ忘れてた位だしな。 それに、新城が働いている病院なんかにさらさら行く気なんかねぇしな。 だって、俺的には望が働いている病院で満足してるしな。 それに、アイツ、あの時点で多少は俺の事諦めてたみたいだし、全然、気にしてなかったっていうのかな?」
「和也ー、そうは言うけどさ、たしかに、あそこでアイツは和也の事は諦めていたのかもしれねぇけど、今度またいつ仕掛けてくるか分からないぞ……」
そうそこまでハッキリと言う望。
一方、きっと和也の中ではその話をして欲しくなかったと思っているのかもしれない。 そして、この事については自分の問題であって和也自身で解決するつもりでいたのだから。
「そんな話すんなよ……って顔してるよな? じゃあ、どうして、恋人である裕実にはこの話しなかったんだ?」
そう静かに突っ込む望なのだが、こういつも以上に威圧感みたいなのがあるのはどうしてなんであろうか。
「そ、それはさっき言っただろ? それと、裕実を心配させたくなかっただけだしな」
「じゃあ、和也はこの問題を一人で解決させようとしてたって訳だ。 その事を恋人には話していないって一体どういう事なんだろうな? となると、和也は俺たちや裕実の事信用してないって事にならないか?」
その望の言葉に和也は言葉を詰まらせる。 そう望が言ってる事が正しいからなのかもしれない。 人間というのは、そういう風に口喧嘩になった時に言い返せなくなった時というのは相手の方が正しい事を言っているという事なのだから黙ってしまうという事だ。
そして和也的にはもう一つ気付いた事があったのであろう。 そう自分一人で解決しようとしていたという事だ。 仲間や恋人の事を信じていない自分がいたという事だ。
「ゴメン……別に俺はお前等を信じてないっていう訳じゃねぇんだ。 これは俺だけの問題だったから、俺、この問題だけは自分一人で解決したかっただけなんだからさ。 ただ、それだけだ……」
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