転生令嬢は腹黒王子の腕の中

氷雨

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side エゼキエル

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彼女の名前を知れたことで、幾分か浮かれた気分で城へと帰れば、机の上には大量の書類が山積みにされていた。

それが視界にに入ってきたせいで、今までの喜びは消えイライラが募った。

チッと王子にあるまじき舌打ちが出てしまったが、手はとめずに書類を選別していく。


(何故こんな要望が寄せられるんだ…自分達で解決できないのか…?)

呆れ紛れにため息を零しながら、変わらず手を動かす。

(ボツ…これは無し、却下…これは要検討か…却下…却下…却下)

素早く目を通し、必要なことは書き込みを行いサインを書いていると、扉をノックする音が聞こえた。


「殿下、書類を預かりに参りました」

「入れ」

静かに許可を出し、扉が閉まる音を確認してから顔を上げると、この国の宰相が立っていた。


(そういえば、リリーの顔に少しだけだが似ていたな…こいつ)


そんなことを考えながら宰相を眺めていると、宰相は目を側め、書類を催促してきた。


「はい、もうこんなくだらない要望は通さないでよ」

そう言って宰相に書類を手渡してやれば、宰相もといアルベルトはこめかみをひくつかせながら受け取った。

それを鼻で笑いながら再び仕事に取り掛かる。

アルベルトは何やらブツブツ呟いていたが、回復したのか「失礼します」と言って踵を返した。


それに慌てて待ったをかけ、先程から気になっていたことを聞いてみる。


「宰相、貴方の娘に冒険者をしている者はいますか?」

その言葉にビクッと分かりやすいほど動揺を見せたアルベルトは口をパクパクさせ始めたが、意を決したように口を開いた。



「いいえ、おりません」

(これはいるな)

そう確信しながらも、少し残念そうに装いながら呟く。

「そう…ですか」


その言葉をほっと息を吐き出した宰相に「こいつ隠す気あんの?バレバレだからね」と言いそうになるのを口を引き結んで耐えた。


そんな私に痺れを切らしたのか、はたまたバレるのが怖かったのか、おそらく後者だろうが、宰相は急いで踵を返すと執務室から出ていった。


その様子を暫し眺めながら、宰相の家、マチルド伯爵家について思案する。

幸い、重鎮達の個人情報は此方が管理しているため、だいたいの情報は頭に入っていた。


(確か…マチルド伯爵家には双子の兄妹がいたな、名前は確か…ユーリとエヴァーナだったはず…)


やっぱり娘がいたか…宰相は隠したがあれでは娘は冒険者をやっていますと教えているようなものだ、いつもは何があっても動揺しないやつだが、やはり家族のことになると動揺するんだな。

書類が最初の3分の1程減ったのを確認して、ふぅと息を吐いた。

そして嬉しさのあまり頬が緩んだ。


冒険者名に続き、本名を知ることができたことに嬉しさを感じた。
まさかこんな近いところに彼女の身内がいたのは本当に驚きを隠せない。

これはもう運命だろうか。


最近の私は自分でも言うのもなんだが、少々、不審な行動(ストーカー)ばかりとっていたが、これでようやく準備ができる。


楽しみだ。



(あぁ、エヴァーナ…)




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お読みいただきありがとうございました。












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