縁の鎖

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変わりゆく日常

遭遇

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ジュエリア達がカモミーラの管理する、温室のコンサバトリーへ向かっていると、レムリアンに声をかけられた。

「ジュエリア様、少しよろしいでしょうか?」
「はい。私に何かご用でしょうか?」
「レムリアンが一人って珍しいね。兄上は一緒では無いの?」
「はい。サーペント殿下。ジュエリア様に合わせた方がおり、私単独で参りました。」
「合わせたい方?何方どなたでしょうか?」

レムリアンが手招きをする。

「お義姉様!お会いしたかったですわ!」

現れたのは、フィサリスだった。
ここ1ヶ月、ジュエリアにフィサリスを近づけ無いようサーペント達が気を配っていた。
まさかカーネリアンの側近を使って、近づいて来るとは予測できなかった。
カーネリアンがフィサリスを毛嫌いしているため、フィサリスに関わると思えなかったからだ。


「お義姉様。やっと会えましたわ。私、お義姉様に会って謝りたかったの。」
「・・・。」
「子供だったとは言え、私はお義姉様に本当に酷い事をしましたわ。ごめんなさい。お義姉様にした事を無かった事にはできないけれど、これからの関係は良好なものにできればと思っていますの。お義姉様さえ良ければですが…。」
「・・・。」

フィサリスは突然の事に思考が追いつかなかった。
ただフィサリスの笑みが、ジュエリアにとってはトラウマでしかなかった。
顔色を失うジュエリアを見ていられない、カモミーラがフィサリスの前に立ちはだかる。


厚顔無恥こうがんむち寡廉鮮恥かれんせんち面張牛皮めんちょうぎゅうひ。言葉は知っていましたが、本当にその様な方がおられるとは思いませんでしたわ。私もまだまだですわね。今日は、いい勉強をさせていただきましたわ。さっ!行きましょう。せっかくの楽しいランチタイムを、で削りたくありませんわ。」
「ひ、酷い。私はお義姉様に謝りたいだけですのに。」
「フィサリス嬢は本当に、心から反省をされています。ジュエリア様、どうか聞いて差し上げて下さい。良からぬ噂も出始めております。噂を払拭するためにも、どうか…。」

レムリアンが涙目になっているフィサリスを庇う様に、ジュエリアに懇願する。
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