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おめでとう!
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「ああ、どうぞお構いなく」
オレは名簿に視線を向けたまま、部屋に入るのを承諾した。
「失礼します、旦那さま」
「どうしたんだい?」
ドアがガチャリと音を立てて開かれても、オレはいまだに名簿に視線を向けていた。
メアルタハへの対応より、次のお相手探しのほうが重要だ。
「シュタルク様のお子様がお生まれになりましたので、お顔を合わせてはいただけませんか?」
それを聞いて、オレは思わず手に持っていた名簿を落とした。
「子どもが⁈それを早く言えよ!!」
「ですから、いま申し上げました」
思わず声を荒らげるオレとは対照的に、メアルタハは冷静そのものだった。
オレはこうしちゃいられないと思い、メアルタハを伴って急いでシュタルクの部屋へ向かった。
待ってろよ、オレの初めての我が子よ!
─────────────────────
「シュタルク、大丈夫かい?子どもは⁈」
オレは焦りのあまり、ノックもせずにシュタルクの部屋のドアを開けた。
「旦那さま…?」
シュタルクは、部屋のど真ん中に置いてあるソファに腰掛けて、悠々と本を読んでいた。
本のタイトルを見るに、育児関連の本らしかった。
「ご無沙汰しております、旦那さま」
シュタルクは本をその場に置くと、うやうやしくにこやかに挨拶してみせた。
「シュタルク!子どもは?体調どうだい?体はもう大丈夫なのかい?」
「大丈夫ですよ。お産から1ヶ月も経てば、それなりに体調も安定してくるものですから」
「は⁈え?いっかげつ?」
シュタルクの言葉に、オレは唖然とした。
子どもが生まれたと聞いたのは、ついさっきのことだ。
だから、てっきり子どもが生まれたのもついさっきのことだと思っていたのに。
どういうことだ?
オレは、子どもが生まれた事実を伝えに来たメアルタハに視線を見せた。
「シュタルク様とお子様の体調が安定するまで、お伝えするのは控えておこうと判断したのです」
メアルタハはしれっと言い放った。
「生まれてすぐでもよかっただろうに…」
オレはメアルタハの意図にあまり納得いかなくて、軽く抗議した。
「今回は母子ともに無事でしたけれど、万が一を考えて報告を遅らせたのです。ただでさえお忙しい旦那さまの心配事を増やすのも、どうかと思いましたので…」
今度はシュタルクが説明した。
「うん…まあ、シュタルクも子どもも無事なら文句はないけど……それで、子どもはどこにいるんだい?早く会わせてくれよ」
報告を遅らせたのは、オレを気遣ってのことだと言われてしまうと、強く言えない。
母子ともに無事ならそれで良いと自分を納得させ、オレは本来の目的を思い出した。
早く子どもの顔が見たい。
オレの記念すべき最初の子どもは、いったいどんな顔をしているのだろう?
楽しみだなあ。
「隣のお部屋ですよ。さあさ、こちらへ!」
シュタルクが立ち上がって、隣の部屋に案内してくれた。
オレは名簿に視線を向けたまま、部屋に入るのを承諾した。
「失礼します、旦那さま」
「どうしたんだい?」
ドアがガチャリと音を立てて開かれても、オレはいまだに名簿に視線を向けていた。
メアルタハへの対応より、次のお相手探しのほうが重要だ。
「シュタルク様のお子様がお生まれになりましたので、お顔を合わせてはいただけませんか?」
それを聞いて、オレは思わず手に持っていた名簿を落とした。
「子どもが⁈それを早く言えよ!!」
「ですから、いま申し上げました」
思わず声を荒らげるオレとは対照的に、メアルタハは冷静そのものだった。
オレはこうしちゃいられないと思い、メアルタハを伴って急いでシュタルクの部屋へ向かった。
待ってろよ、オレの初めての我が子よ!
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「シュタルク、大丈夫かい?子どもは⁈」
オレは焦りのあまり、ノックもせずにシュタルクの部屋のドアを開けた。
「旦那さま…?」
シュタルクは、部屋のど真ん中に置いてあるソファに腰掛けて、悠々と本を読んでいた。
本のタイトルを見るに、育児関連の本らしかった。
「ご無沙汰しております、旦那さま」
シュタルクは本をその場に置くと、うやうやしくにこやかに挨拶してみせた。
「シュタルク!子どもは?体調どうだい?体はもう大丈夫なのかい?」
「大丈夫ですよ。お産から1ヶ月も経てば、それなりに体調も安定してくるものですから」
「は⁈え?いっかげつ?」
シュタルクの言葉に、オレは唖然とした。
子どもが生まれたと聞いたのは、ついさっきのことだ。
だから、てっきり子どもが生まれたのもついさっきのことだと思っていたのに。
どういうことだ?
オレは、子どもが生まれた事実を伝えに来たメアルタハに視線を見せた。
「シュタルク様とお子様の体調が安定するまで、お伝えするのは控えておこうと判断したのです」
メアルタハはしれっと言い放った。
「生まれてすぐでもよかっただろうに…」
オレはメアルタハの意図にあまり納得いかなくて、軽く抗議した。
「今回は母子ともに無事でしたけれど、万が一を考えて報告を遅らせたのです。ただでさえお忙しい旦那さまの心配事を増やすのも、どうかと思いましたので…」
今度はシュタルクが説明した。
「うん…まあ、シュタルクも子どもも無事なら文句はないけど……それで、子どもはどこにいるんだい?早く会わせてくれよ」
報告を遅らせたのは、オレを気遣ってのことだと言われてしまうと、強く言えない。
母子ともに無事ならそれで良いと自分を納得させ、オレは本来の目的を思い出した。
早く子どもの顔が見たい。
オレの記念すべき最初の子どもは、いったいどんな顔をしているのだろう?
楽しみだなあ。
「隣のお部屋ですよ。さあさ、こちらへ!」
シュタルクが立ち上がって、隣の部屋に案内してくれた。
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