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セレブガール・ミーツ・ボーイ その5
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「よっしゃ! よく頑張った。これでピカも本当にあたしらの仲間だ!」
座った私にカナが親指を立てながら言います。相変わらず下品な人ですね。
「私も本当言うと帰るんじゃないかって思ってた。ちょっと見直したよ」
とフミも言います。何でしょう? このありがたくない賞賛は。
「二人とも、何気にひどくない? 確かにうちは汚いけどさ」
イチコが少しむくれたように言いましたが、目が笑っているので機嫌を損ねているわけじゃないのは感じました。
しかし私にとっては、決して居心地の良い家ではありませんでした。唯一の救いと言えば、ヒロ坊と呼ばれたこの可愛らしい男の子です。彼は部屋の一角に陣取り、携帯ゲームを始めていました。それにしても可愛い男の子だと思いました。まさかこんな家にこんな可愛い男の子がいるなんて。
私が思わず、一生懸命ゲームに興じる彼の様子に見とれていると、
「今日はオレンジジュースだよ~」
と言いながらカナがバッグからオレンジジュースを取り出しました。すると男の子が顔を上げて、「オレンジジュースぅ」と声を上げました。続いてフミが、
「私はポテチ持ってきたよ」
と言って同じようにバッグからファミリーサイズのポテトチップスを取り出しました。するとまた男の子が「ポテチぃ」と声を上げます。その様子がまた可愛くて、私は思わず見とれそうになりました。しかし、フミとカナが手土産を持ってきていたのに私が出さないわけにもいきません。危うく忘れるところでしたが、バッグから紙包みを取り出し、テーブルの上に置きました。
「これは?」
と訊くカナに対し、
「慶長庵の塩大福です」
と私は答えました。その瞬間、三人の口から「おお~っ」っと声が漏れました。
「さすがセレブ、あたしらとは差し入れのレベルが違うわ」とカナ。
「これが、茶道部でも半年に一回出るかどうかという、慶長庵の塩大福!?」とフミ。
「すごいね、ピカ」とイチコ。
「しおだいふくって何?」
と、男の子もゲーム機を置いて覗き込んでいました。その様子にまた胸がキュンってなります。
「おいしいおいしい大福だよ。このおねえちゃんはピカちゃんって言うの。ちゃんとお礼するんだよ」
イチコにそう言われてその子が、私に向かってニコッと笑って「ありがとう、ピカちゃん」って。またまた胸がキュンキュンってなって、私は気が遠くなりそうでした。どうしてこんなに可愛いの?
「あ、ところでこの子は大希君っていって、イチコの弟さん。四年生だよ。私らはヒロ坊って呼んでる」
フミにそう言われて、私は正気に戻りました。え? 四年生? 小さいからてっきり三年生くらいかと思いました。これはとんだ失礼を。と思いましたけど、口には出していなかったはずなのでセーフだと思います。
「よろしくね、ヒロ坊くん」
座った私にカナが親指を立てながら言います。相変わらず下品な人ですね。
「私も本当言うと帰るんじゃないかって思ってた。ちょっと見直したよ」
とフミも言います。何でしょう? このありがたくない賞賛は。
「二人とも、何気にひどくない? 確かにうちは汚いけどさ」
イチコが少しむくれたように言いましたが、目が笑っているので機嫌を損ねているわけじゃないのは感じました。
しかし私にとっては、決して居心地の良い家ではありませんでした。唯一の救いと言えば、ヒロ坊と呼ばれたこの可愛らしい男の子です。彼は部屋の一角に陣取り、携帯ゲームを始めていました。それにしても可愛い男の子だと思いました。まさかこんな家にこんな可愛い男の子がいるなんて。
私が思わず、一生懸命ゲームに興じる彼の様子に見とれていると、
「今日はオレンジジュースだよ~」
と言いながらカナがバッグからオレンジジュースを取り出しました。すると男の子が顔を上げて、「オレンジジュースぅ」と声を上げました。続いてフミが、
「私はポテチ持ってきたよ」
と言って同じようにバッグからファミリーサイズのポテトチップスを取り出しました。するとまた男の子が「ポテチぃ」と声を上げます。その様子がまた可愛くて、私は思わず見とれそうになりました。しかし、フミとカナが手土産を持ってきていたのに私が出さないわけにもいきません。危うく忘れるところでしたが、バッグから紙包みを取り出し、テーブルの上に置きました。
「これは?」
と訊くカナに対し、
「慶長庵の塩大福です」
と私は答えました。その瞬間、三人の口から「おお~っ」っと声が漏れました。
「さすがセレブ、あたしらとは差し入れのレベルが違うわ」とカナ。
「これが、茶道部でも半年に一回出るかどうかという、慶長庵の塩大福!?」とフミ。
「すごいね、ピカ」とイチコ。
「しおだいふくって何?」
と、男の子もゲーム機を置いて覗き込んでいました。その様子にまた胸がキュンってなります。
「おいしいおいしい大福だよ。このおねえちゃんはピカちゃんって言うの。ちゃんとお礼するんだよ」
イチコにそう言われてその子が、私に向かってニコッと笑って「ありがとう、ピカちゃん」って。またまた胸がキュンキュンってなって、私は気が遠くなりそうでした。どうしてこんなに可愛いの?
「あ、ところでこの子は大希君っていって、イチコの弟さん。四年生だよ。私らはヒロ坊って呼んでる」
フミにそう言われて、私は正気に戻りました。え? 四年生? 小さいからてっきり三年生くらいかと思いました。これはとんだ失礼を。と思いましたけど、口には出していなかったはずなのでセーフだと思います。
「よろしくね、ヒロ坊くん」
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