最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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4章

129話 世の中そんなに甘くねえ

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 とりあえず露店関係に関しては連絡待ちになる。
 流石にいきなりメッセージがきまくっててんやわんやって訳にはならないだろうし、誰か見つけた奴が話をして噂が広がって良い感じにはやれば御の字だ。

 とにかく後は待ちをするだけだし、流石に1g100万で買う奴はいないだろう。
 ショップメニュー開いた時に概要が出てくるから、吹っ掛けまくってる詐欺店なんて言われたらアウトだが。


 そんな事を思いながら、一度自宅に戻り、ジャガイモの苗を埋めようと……。

「ちょっといいか?」
「なーに?」
「此処の生産施設を使わせてほしいんだが」
「急にどうしたのよ?別に使ってもいいけど」
「流石になんでもかんでもやっているのを見たからな、木工と鍛冶を覚えてきたんだよ」
「まー、いいけどー……設定するからちょっとまってなさい」

 メニューを開き、マイハウスの設定を弄っていく。結構細かく許可取り出来るのだが、面倒くさいので、フレンドに訪問許可と施設使用許可を出しておく。あわせて髭親父には地下1Fの使用と編集許可をして、完了。
 こういう細かい編集を出来るってゲームは良いゲーム。問題としては細かすぎるせいで煩雑化するので覚える事と目的が分かりにくくなる事だが。

「とりあえずオッケーと」
「ありがたい」
「って言うか私の金にかこつけてあんたは何も出さないってどーなのよ」
「酒造手伝いしてるだろ、それに結構掛かりきりでやってるんだぞ」

 まあ、それはそうなのだが、それでも110万も掛かってる家と地下室なんだからな、酒代と手伝いで交換できる程じゃないぞ。

「もうちょっと私にメリットがあってもいいんじゃないかしらね」
「何だショバ代でも払えばいいのか」
「あー、いいわねぇ……基本的な生産施設も揃ってるし、あっちこっちのギルド行くよりは便利だし」

 まあ、フレンド専用になるからあんまりよろしくはないな、人が多い自宅ってリアルでもゲームでも好きじゃない。
 どこぞのポストアポカリプス系のゲームでも、自分の基地を作れるって要素はあったが、人を増やさないといけないからってあばら屋をわざわざ作ったりしなきゃならないの、マジでめんどくさかった
 
「でも駄目、フレンド入れないといけないし、人が多いとその分余計な会話も多くなる」
「そこまで気にするものか」
「自宅でゆっくり、自分で作った酒を堪能している時に、家の外とか中でがちゃんがちゃんと生産施設使われて音出されたらどうよ」

 明らかに嫌そうな顔を浮かべる。
 自分だって今やっている酒造の邪魔されたら嫌だろうし、最後の最後で手を加えられると言うのも気に入らんだろう。

「まあとりあえず酒造してよ、材料も持ってきたし」

 そういってジャガイモのデータを渡す。そろそろ仕込みも最終段階くらいにはなるだろう。結構時間掛かってるし

「ジャガイモか、理由は?」
「安価で栽培しやすい、私の欲しい酒の種類がそれをメインにしているってとこかしらね」
「出資者の希望は応えんとな」
「樽の量産もしておくから、自分用は自分用で別にしてもらえる?」
「分かった、他には」
「地下2Fは手を付けない、失敗しても成功しても言う事」
「また金掛けたのか」
「こういう施設ってのはね、さっさと拡張して使いやすくしてなんぼなのよ」

 L畑15面も買ったし、なんならこれからジャガイモ400個うめる作業よ。

「ちなみに畑手伝ってって言ったらやってくれる?」
「物によるな」
「ジャガイモ400個かな」
「……手伝おう」

 お、次は呆れた顔をされた。



 さっくりとジャガイモ400個の苗を埋めて、水撒きも完了。酒造が終わるころにはまた収穫できるだろう。400×5で2000個のジャガイモの生産が出来るわけだが、これで20万の上りよ。
 ほんと、ファーマーだけは農業ゲームまっしぐらだよなあ、ちゃんと植えて栽培しているだけで恒久的に黒字になるわけだし、最初の畑からじっくり育てれば私の様にL畑20面の小屋ありとか、もっと早く出来るんだろう。

「ふーい、流石に疲れるわね……」

 植えて水撒いてって作業だけだが、個数が多いと時間が掛かる。
 途中で農業スキルが2つ上がったので作業的にはちょっと楽にはなったが、それでもだ。

「にしてもいつの間に」
「私硝石成金なのよねぇ」

 今の所その硝石絡みの連絡は来ずと言った感じだし、硝石丘もまだ何も変化がない。とりあえず混ぜてはおいた。

「そろそろ進展があっても良いと思うんだけど、最低でも2年くらいかかるのをゲーム内でどれだけ短縮できるんだろ」

 だいぶ色々な要素と言うか工程を省けているので時間的な短縮はあるのは確かだ、情報クランの酒場マスターの話が本当なら酒造も3日で終わるわけだしな。

「まー、ゆっくりやるか……硝石交換の話が軌道に乗ってくれれば御の字の訳だし」
「色々やってるな」
「ゲームを楽しんでいると言ってちょうだい」

 煙草を咥えて一息。
 次は樽の量産してやらんとな。

 そして畑から二人で戻り木工と鍛冶でさくさくっと洋樽を作る。レシピ判明しているならこんなの余裕で作れる。さくっと5個作成して完了。
 って言うか杉なんてどこから手に入れれるんだろうな、オークの木とかも探してみたいし、木材系の情報もあつめ……て、なんてしたらもっと手が回らないって。

「そういえば何で木工と鍛冶覚え……って、樽作る気?」
「ああ、おんぶにだっこでやるのもな。杉樽しか作れんのだろう?」

 正確には杉の樽が一番楽だっただけで、他の木材があるんであればそれを使うのは別に問題ない。木材で色とか味とか風味とか変わるみたいだし、揃えてはやりたいが。

「そんな事ないっての、ネーム付きの安い木材だったからそれで作っただけだし」
「そういう物か……」
「自分で作るってならレシピやるわよ」
「有難い」

 でもまあ、質3以上じゃないと成功しないってのは内緒。貴様も水浸しになるがいい。
 
 そんな事を考えていたらメッセージコール。
 所謂ささやきとかWisとか内緒とか色々呼び方があるけど、そういうやつ。

「じゃあ、後は好きにやって?出来たら連絡してちょうだい」
「分かった分かった」




 髭親父と別れてエルスタンに戻る。
 それにしても最近やってること全部が時間掛かっているな。あれこれも待ちばっかりだ。
 とりあえず連絡があった相手にコールを返そう。

『なんだ』
『露店の硝石1個で黒色火薬交換するってデマなんだろ!』
『デマな訳ないでしょ、交換しないなら出直せ』

 ぶつっと音は出ないがコールを切って一息。
 まさかデマとかウソとかで広まるとは思っていなかったな、折角証拠の黒色火薬も並べているのに、何を信じないのかが分からん。

「一応露店見てに行くか」

 なんとなーくだが、嫌な予感がする。私以外のガンナーもちらほらいるし、そこらからもうちょっといい条件で交換するとかしている奴もいるんだろうか。
 それでも、私よりも後発ガンナーをしたうえで私より先に進んでいるとか、火薬の量産が進んでいる奴って存在しているのだろうかって所にもなる。 可能性があるとしたらサブと二次職だが、それでも難しい……かもしれない。

「あー、厄介な事に首突っ込んだわ」
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