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239話 その後 8
しおりを挟む事後処理を軽く済ませた後、俺と東山はベッドの中でくっついてのんびりと過ごしていた。
「こんな、ゆっくりしてて大丈夫かよ。親とか帰って来ねぇ? 」
「あー、まだ大丈夫。余裕余裕。だから、もうちょっとだけこうしてようぜ。」
ぎゅっと抱き寄せられて、さらに東山と密着させられる。こういうことをされると、俺の意思とは関係なく心臓がドキドキしてしまうから困る。
「あ、あんまりくっつかれると...暑いんだけど...」
「いーだろ別に。」
ったく、相変わらず強引だなコイツは...。
けれど、なんだかんだ嫌な気はしない俺は、少しだけならいいか、と結局許してしまう。
東山の体温が、とても心地いいから。
「高橋、体辛くねぇ? どこか痛いとこあるか? 」
強引かと思えばこんなにも優しく俺を気遣って見せてきて。
「別に、大丈夫だし。」
ドキドキしてるのを悟られたくなくて、無愛想に答えてしまう。それでも東山は、安心したようにふっと笑うと、俺の頭をフワフワと撫でてきた。
「高橋が倒れたって聞いたとき、俺ちょっと後悔したんだよな。」
「あ? 」
「お前に勝負をふっかけたこと。答えを急ぎすぎたかなって。」
なんだよ、突然。
そう思いながらも、東山の穏やかな声に耳を傾ける。
「けど、お前は自分と向き合って、きっちり答えを出してくれた。やっぱすげぇよ、高橋は。」
自慢の彼氏だ、なんて言って笑う東山がずるい。
「こうしていられんの、すげー嬉しい。」
「っ...」
眩しいほど輝いて見える東山の笑顔に、俺は、なんだか訳もなく泣きそうになってしまって。
「お、俺も...嬉しい...ぜ...。」
俯きながら、そう返すのが精一杯だった。
「ん...」
東山の体温に包まれてベッドの中でじっとしていると、瞼が重くなってきた。目を軽く擦ってなんとか耐える。
「ふっ、寝ていいぜ。疲れてんだろ。お前が寝ても俺は勝手にくっついてっから。」
しかし、この東山の言葉で安心しきった俺は、連日のテスト勉強の疲れと、先程の行為の疲れもあり、完全に眠気に負けてしまった。
もう少し、この甘い雰囲気に浸っていたいような気もしたけれど、俺の意識は夢の中に吸い込まれていく。
そういえば、坂北は南原との勝負、どうなったんだろう。
近いうちに、俺と東山のこと報告して、お礼言わなきゃな...。
ふと、頭の隅でそんなことを考えていたら、そこで俺の意識は途切れた。
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