23 / 71
いい子の反逆
本当に、君は、
「お、やっと着替え終わった? 廊下はね、天使様の全裸でみんな煩悩まみれって感じ、地獄だったよ」
なんとか涙も勃起もおさまってそっと胸を撫で下ろす、とても教室でするようなことではない事を致してしまったが、その防音魔術ってやつのお陰で勘付かれていないか……? いない事を願おう。
「無事に終わりましたよ、授業を再開しましょう!」
「そっかー流石は可愛い弟だなぁ「兄さん、授業」わかった、そうだ授業終わったらね」
「遠慮しときます」
「まだ何も言ってない……」
「どうせ碌なモノではないでしょう」
想像を遥かに絶するぐらいズバズバしているが、あんな悪戯っ子な本性があるのだとすれば、兄に対しての辛辣な態度も一応は納得出来る。気の毒だと同情はさせてもらうが。
「天使様、お名前は書きましょう! この学園の教科書は防犯や盗難防止目的のために名前を書いていない生徒と、書いた生徒が許可した人間以外が開くと脱衣してしまう魔術が込められているのです」
「もっとマシな防犯対策しろよ」
「そうでしょうか? 服を脱がすことによって防御力が著しく下がりますし、大胆な行動が取れなくなってしまいますので、かなり有用ですよ?」
ものはいいようだな。まあ人を傷付けずに犯罪を阻止すると言う点では間違っていないのかもしれない。毒され過ぎかも知れないが、感度が上がる仕掛けとかだったら多分もっとヤバい惨事が起こったのは想像に容易い。とりあえずもうこんなのは2度とゴメンなので、一冊一冊丁寧に朝比奈一と書いておく。
大丈夫と言われたものの怖かったので深呼吸して開いたみると、もうあの珍妙な煙が出る事はなくただの本となっていた。ちょっとガッカリする周りの声が聞こえて恥ずかしい気分になったのは内緒だ。なんだか自分の体が変になっていく。周りから性的な目で見られるのなんて初めてだし普通嫌悪感がくるものだと思う、なのに表現出来ない感覚が背中を駆け巡ってムズムズする。
「……先程は申し訳ありませんでした。俗世に疎い事を知っている僕が、1番注意して天使様を見ておけばこんな事にはならなかったのに」
「ん? あ、いいよもう」
俯いてしまった俺を見て罪悪感が湧いたのだろうか。気にする事ないのに。いつもの俺なら先に言えやといった毒を1つや2つ飛ばしてやるのに、今はそんな気分じゃない。人って今までぶち当たった事ない毛色の悩み事に直面するとらしくない行動するんだな。
それでも毒を吐く事以外のコミュニケーション方法を知らない俺は、当たり障りのない返しをすることしか出来ずに、素っ気ない感じになってしまった。素直になるって意外と、いや全然意外じゃない、予想通りに難しいな。
……
…………
………………
オリエンテーションが終わった俺はまたまた素っ気なくトイレの場所を聞き、そして個室に引きこもってしまった。白い石でできた地中海って感じの空間にあるトイレで、照明のおかげかとても明るい。個室とトイレの廊下を繋ぐ木の扉は上の方に隙間があるおかげで廊下からの照明を遮る事なく個室も明るくそして綺麗だった。学校でこんなことしたくないと言うのは今更か、むしろトイレだから許してくれと願いつつ、ズボンを下ろした。
さっき治ったといったな、アレは半分嘘だ。周りが俺をいやらしい目で見てくるたびに、少しずつ勃ち上がって、完勃ち寸前までいってしまっている。紐を恐る恐る解くとピンと音を立てて硬いそれが上を向く。
「……こんなはずじゃなかったんだけどな」
__元の世界にいた頃の俺は、身長を伸ばす事しか考えてなかった。周りには、男も女も149㎝の自分を揶揄う奴しかいなかったからそいつらも敵扱いして、色恋沙汰とは無縁の人生だった。
だからいきなり好きだとか可愛いだとか言われても最初は何一つピンとこないし、少なくとも嬉しくはなかった、困惑の方が圧倒的に優っていた。
だが今はどうだ? 好きだと言ってくれるスターやアナに身を任せ、いやらしい目で見てくる奴らに気持ち悪さも引き出せない。自分はどこに向かっているんだろ。陰茎を持つその手の確かな震えを感じた。
「ハジメ、大丈夫か?」
大きく体が揺れた。ドア越しに聞こえるJBの声にどう返していいのかわからない。
どうやったら人をイラつかせず、思わせぶりな対応だと勘違いさずに済むんだろう。どんな言葉を使えば角のない優しい話し方に聞こえるんだろう。そもそも、どうして自分のアイデンティティは低身長と毒舌という不必要なものしかないのだろう。
わからない、わからない。
どうして自分はあんなに平気だった孤独や他人からの拒絶を恐れているのだろう。
「ッッ……あっち行け」
「いやそんな涙声で言われても、兎も角普通の用事でトイレに来たわけじゃないんだな」
「お前には関係ない、大きなお世話だ、向こうへ行ってくれ!!」
「ありゃりゃ……これは重症だな」
止まらない、言葉の暴力が止まらない。自分の涙を見せたくない自尊心、もしくはこの世界の人間を根本的に信用してない臆病な自分、その2つが自分の心に重たい蓋をしていた。この蓋のせいで助けての短い言葉が言えないんだ、情けない話だろう。
「失礼するぜ、よっこらせ」
「え……」
JBが上にあるわずかな隙間を通って個室に入ってきた。なんの悪びれもなく。跳躍力半端ないなとか覗き魔の方がまだ無害とかそんな指摘をする暇もなく、俺はこんな時にも勃起したそれを隠しながら威嚇するしかなかった。
「__初めて見た時から思ってたけど、ほんっと素直じゃねえよな」
「どうせそんな所も可愛いとか訳の分からん事言うんだろ、気持ち悪いんだよ」
「え、エスパーなの?」
「ほれみろ」
嘘だ。ほんとは気持ち悪いなんて思ってない。寧ろありのままの自分をこんな風に認められるのなんて初めてで、どうしたらいいかわからないんだ。
こうして俺とJBのトイレでの攻防は始まった。
なんとか涙も勃起もおさまってそっと胸を撫で下ろす、とても教室でするようなことではない事を致してしまったが、その防音魔術ってやつのお陰で勘付かれていないか……? いない事を願おう。
「無事に終わりましたよ、授業を再開しましょう!」
「そっかー流石は可愛い弟だなぁ「兄さん、授業」わかった、そうだ授業終わったらね」
「遠慮しときます」
「まだ何も言ってない……」
「どうせ碌なモノではないでしょう」
想像を遥かに絶するぐらいズバズバしているが、あんな悪戯っ子な本性があるのだとすれば、兄に対しての辛辣な態度も一応は納得出来る。気の毒だと同情はさせてもらうが。
「天使様、お名前は書きましょう! この学園の教科書は防犯や盗難防止目的のために名前を書いていない生徒と、書いた生徒が許可した人間以外が開くと脱衣してしまう魔術が込められているのです」
「もっとマシな防犯対策しろよ」
「そうでしょうか? 服を脱がすことによって防御力が著しく下がりますし、大胆な行動が取れなくなってしまいますので、かなり有用ですよ?」
ものはいいようだな。まあ人を傷付けずに犯罪を阻止すると言う点では間違っていないのかもしれない。毒され過ぎかも知れないが、感度が上がる仕掛けとかだったら多分もっとヤバい惨事が起こったのは想像に容易い。とりあえずもうこんなのは2度とゴメンなので、一冊一冊丁寧に朝比奈一と書いておく。
大丈夫と言われたものの怖かったので深呼吸して開いたみると、もうあの珍妙な煙が出る事はなくただの本となっていた。ちょっとガッカリする周りの声が聞こえて恥ずかしい気分になったのは内緒だ。なんだか自分の体が変になっていく。周りから性的な目で見られるのなんて初めてだし普通嫌悪感がくるものだと思う、なのに表現出来ない感覚が背中を駆け巡ってムズムズする。
「……先程は申し訳ありませんでした。俗世に疎い事を知っている僕が、1番注意して天使様を見ておけばこんな事にはならなかったのに」
「ん? あ、いいよもう」
俯いてしまった俺を見て罪悪感が湧いたのだろうか。気にする事ないのに。いつもの俺なら先に言えやといった毒を1つや2つ飛ばしてやるのに、今はそんな気分じゃない。人って今までぶち当たった事ない毛色の悩み事に直面するとらしくない行動するんだな。
それでも毒を吐く事以外のコミュニケーション方法を知らない俺は、当たり障りのない返しをすることしか出来ずに、素っ気ない感じになってしまった。素直になるって意外と、いや全然意外じゃない、予想通りに難しいな。
……
…………
………………
オリエンテーションが終わった俺はまたまた素っ気なくトイレの場所を聞き、そして個室に引きこもってしまった。白い石でできた地中海って感じの空間にあるトイレで、照明のおかげかとても明るい。個室とトイレの廊下を繋ぐ木の扉は上の方に隙間があるおかげで廊下からの照明を遮る事なく個室も明るくそして綺麗だった。学校でこんなことしたくないと言うのは今更か、むしろトイレだから許してくれと願いつつ、ズボンを下ろした。
さっき治ったといったな、アレは半分嘘だ。周りが俺をいやらしい目で見てくるたびに、少しずつ勃ち上がって、完勃ち寸前までいってしまっている。紐を恐る恐る解くとピンと音を立てて硬いそれが上を向く。
「……こんなはずじゃなかったんだけどな」
__元の世界にいた頃の俺は、身長を伸ばす事しか考えてなかった。周りには、男も女も149㎝の自分を揶揄う奴しかいなかったからそいつらも敵扱いして、色恋沙汰とは無縁の人生だった。
だからいきなり好きだとか可愛いだとか言われても最初は何一つピンとこないし、少なくとも嬉しくはなかった、困惑の方が圧倒的に優っていた。
だが今はどうだ? 好きだと言ってくれるスターやアナに身を任せ、いやらしい目で見てくる奴らに気持ち悪さも引き出せない。自分はどこに向かっているんだろ。陰茎を持つその手の確かな震えを感じた。
「ハジメ、大丈夫か?」
大きく体が揺れた。ドア越しに聞こえるJBの声にどう返していいのかわからない。
どうやったら人をイラつかせず、思わせぶりな対応だと勘違いさずに済むんだろう。どんな言葉を使えば角のない優しい話し方に聞こえるんだろう。そもそも、どうして自分のアイデンティティは低身長と毒舌という不必要なものしかないのだろう。
わからない、わからない。
どうして自分はあんなに平気だった孤独や他人からの拒絶を恐れているのだろう。
「ッッ……あっち行け」
「いやそんな涙声で言われても、兎も角普通の用事でトイレに来たわけじゃないんだな」
「お前には関係ない、大きなお世話だ、向こうへ行ってくれ!!」
「ありゃりゃ……これは重症だな」
止まらない、言葉の暴力が止まらない。自分の涙を見せたくない自尊心、もしくはこの世界の人間を根本的に信用してない臆病な自分、その2つが自分の心に重たい蓋をしていた。この蓋のせいで助けての短い言葉が言えないんだ、情けない話だろう。
「失礼するぜ、よっこらせ」
「え……」
JBが上にあるわずかな隙間を通って個室に入ってきた。なんの悪びれもなく。跳躍力半端ないなとか覗き魔の方がまだ無害とかそんな指摘をする暇もなく、俺はこんな時にも勃起したそれを隠しながら威嚇するしかなかった。
「__初めて見た時から思ってたけど、ほんっと素直じゃねえよな」
「どうせそんな所も可愛いとか訳の分からん事言うんだろ、気持ち悪いんだよ」
「え、エスパーなの?」
「ほれみろ」
嘘だ。ほんとは気持ち悪いなんて思ってない。寧ろありのままの自分をこんな風に認められるのなんて初めてで、どうしたらいいかわからないんだ。
こうして俺とJBのトイレでの攻防は始まった。
あなたにおすすめの小説
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
腐男子♥異世界転生
よしの こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。
目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。
トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、Caitaさん、PIXIVさんでも掲載しています。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。