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おもらしフェイン16歳、筋肉は全てを破壊する。帰ってきた俺(改稿)
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じゃがいもみたいな顔をした少年、青年合わせて122名。
同い年もいたし、ずっと年上のおじさんもいた。
9割が男だった。
いわゆるアヴェンダス教練所入りした同期たちのことだ。
まるで昨日のことのように思える。
1年があっという間だった、とかでは無く、辛過ぎて記憶から自動消去されてしまったらしい。
ほんの1年経っただけなのに、たくさんいた同期たちは7人になっていた。
残り115人は、畑の土に変わったり、国境を破ってどこかに遁走したり、断崖絶壁から底の見えない谷に消えていなくなってしまった。
人の命が吹き飛ぶように失われた1年だった。
「今日、貴様らは教練課程を終え、出獄することとなる!」
教官のアネモネ・バズードだ。モンスターでは無いしオーガでも無いが、少なくとも人間では無い気がする。
見た目は人間で退役軍人らしいが、筋肉ムキムキで身長190㎝くらいのハゲ親父である。
なんなら肌は赤黒い。
やっぱりオーガのような気がする。
「世界は残酷だ! だがここで生き抜いた貴様らはどんな困難にも立ち向かえるソルジャーである! 戦え! 人生という名の戦争を勝ち抜くのは貴様らだ!!」
傷だらけのハゲ頭が日光を反射してギラギラ輝く。
彼の前で直立不動のまま話を聞いている7人。
その1人はフェイン・アルダートその人だった。
「人生は戦いだ! 正攻法にとらわれるな! あらゆる手段を講じて勝利せよ!! 勝者こそが正義だッ!!」
精悍な顔つきになり、粉砕破壊されたガラスのハートは鋼鉄のハートに置き換わり、おもらしをしなくなった彼は復讐に燃えていた。
まずはボレスを血祭りにあげねばならない。
愛しいチェルニーを奪われたのである。
きっと彼女のことだ。
何かフェインに言えないようなことで脅されたに違いない。
「いいか! 何があっても最後まで立っていろ! 貴様らが勝利者になるのだ!!」
そのあとは、そうだな。
結果オーライではあったが、地獄のような環境にぶち込んだ父バドと拳で語り合わねばならないだろう。
今ならブラックタイフーンだか何だかとまともにヤリあえそうであった。
それからの事はおいおい考えることにしよう。
「待っていろ」
1年の刑期もとい課程が終わり、教官の言葉を聞き終えたフェインは一路、故郷のシャイアンに向かう。
来た時は、護送車に揺られ、3日ほどかかったように思う。
だが鍛え抜かれたフェインの足ならもう少し早く着くだろう。
筋骨隆々のマッチョマンにはなっていないが、いわゆる細マッチョである。
服の下は筋肉バキバキで無駄な肉が全くない。
一般的にはスキルの恩恵を受けて、身体能力が向上したりするが、フェインの場合は純粋に筋肉だ。
筋肉は全てを解決する。
野を越え、山を越え、谷を飛び越え、立ちはだかった山賊を引き千切り、フェインは駆け抜けた。
筋肉と暴力こそこの世のすべてだ。
一陣の暴風と化したフェインは血に飢えたケダモノと化していた。
「フハハハハハ―――――ッ!!!」
少し頭のネジをどこかに置き忘れてきたきらいがある。
というか、まともな神経ではアヴェンダスでは生き残れなかったからかもしれない。
「ギャぁアアアア――――ッ!!!」
立ちはだかった山賊の男がゴミのようになって地に倒れ伏す。
戦闘になると正気を失うのも仕様であった。
2日後、シャイアンの町を一望できる丘の上に辿り着いていた。
旅立たされたあの日から変わっていない町を見渡し、懐かしさから目から水滴がこぼれる。
特に思うところは無いはずだったが、なんだかんだあっても故郷なのだ。
きっと心の奥底に懐かしむ気持ちがあったのだろう。
「俺は帰って来たぞ!!」
天に向かって吼えるさまは野獣である。
「今・・・・・・ここに!」
フェインはもう一度吠えると崖を駆け降り、町の入り口に歩を進めるのだった。
同い年もいたし、ずっと年上のおじさんもいた。
9割が男だった。
いわゆるアヴェンダス教練所入りした同期たちのことだ。
まるで昨日のことのように思える。
1年があっという間だった、とかでは無く、辛過ぎて記憶から自動消去されてしまったらしい。
ほんの1年経っただけなのに、たくさんいた同期たちは7人になっていた。
残り115人は、畑の土に変わったり、国境を破ってどこかに遁走したり、断崖絶壁から底の見えない谷に消えていなくなってしまった。
人の命が吹き飛ぶように失われた1年だった。
「今日、貴様らは教練課程を終え、出獄することとなる!」
教官のアネモネ・バズードだ。モンスターでは無いしオーガでも無いが、少なくとも人間では無い気がする。
見た目は人間で退役軍人らしいが、筋肉ムキムキで身長190㎝くらいのハゲ親父である。
なんなら肌は赤黒い。
やっぱりオーガのような気がする。
「世界は残酷だ! だがここで生き抜いた貴様らはどんな困難にも立ち向かえるソルジャーである! 戦え! 人生という名の戦争を勝ち抜くのは貴様らだ!!」
傷だらけのハゲ頭が日光を反射してギラギラ輝く。
彼の前で直立不動のまま話を聞いている7人。
その1人はフェイン・アルダートその人だった。
「人生は戦いだ! 正攻法にとらわれるな! あらゆる手段を講じて勝利せよ!! 勝者こそが正義だッ!!」
精悍な顔つきになり、粉砕破壊されたガラスのハートは鋼鉄のハートに置き換わり、おもらしをしなくなった彼は復讐に燃えていた。
まずはボレスを血祭りにあげねばならない。
愛しいチェルニーを奪われたのである。
きっと彼女のことだ。
何かフェインに言えないようなことで脅されたに違いない。
「いいか! 何があっても最後まで立っていろ! 貴様らが勝利者になるのだ!!」
そのあとは、そうだな。
結果オーライではあったが、地獄のような環境にぶち込んだ父バドと拳で語り合わねばならないだろう。
今ならブラックタイフーンだか何だかとまともにヤリあえそうであった。
それからの事はおいおい考えることにしよう。
「待っていろ」
1年の刑期もとい課程が終わり、教官の言葉を聞き終えたフェインは一路、故郷のシャイアンに向かう。
来た時は、護送車に揺られ、3日ほどかかったように思う。
だが鍛え抜かれたフェインの足ならもう少し早く着くだろう。
筋骨隆々のマッチョマンにはなっていないが、いわゆる細マッチョである。
服の下は筋肉バキバキで無駄な肉が全くない。
一般的にはスキルの恩恵を受けて、身体能力が向上したりするが、フェインの場合は純粋に筋肉だ。
筋肉は全てを解決する。
野を越え、山を越え、谷を飛び越え、立ちはだかった山賊を引き千切り、フェインは駆け抜けた。
筋肉と暴力こそこの世のすべてだ。
一陣の暴風と化したフェインは血に飢えたケダモノと化していた。
「フハハハハハ―――――ッ!!!」
少し頭のネジをどこかに置き忘れてきたきらいがある。
というか、まともな神経ではアヴェンダスでは生き残れなかったからかもしれない。
「ギャぁアアアア――――ッ!!!」
立ちはだかった山賊の男がゴミのようになって地に倒れ伏す。
戦闘になると正気を失うのも仕様であった。
2日後、シャイアンの町を一望できる丘の上に辿り着いていた。
旅立たされたあの日から変わっていない町を見渡し、懐かしさから目から水滴がこぼれる。
特に思うところは無いはずだったが、なんだかんだあっても故郷なのだ。
きっと心の奥底に懐かしむ気持ちがあったのだろう。
「俺は帰って来たぞ!!」
天に向かって吼えるさまは野獣である。
「今・・・・・・ここに!」
フェインはもう一度吠えると崖を駆け降り、町の入り口に歩を進めるのだった。
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