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13 4つ目の依頼
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「え!!お、俺が桃香さんの身代わりぃー!」
ボスからの電話を受けた俺は、作戦を聞いた途端、変な声が出てしまった。
何事かと、ソファでスマホを弄っていたマサトも事務所の電話口へ耳を寄せた。
ボス曰く、次は運び屋の仕事だと言う事だ。
運び屋の仕事は、よくある事だ。便利屋として宅急便がわりに使われたり、少し訳ありの品を運んだこともある。
たいてい、運ぶ物の内容は教えては貰えないが、ヤバさは空気で分かる。
そして、今回もボスの口ぶりからすると、やばい物であろう。
しかも、今回の依頼者が、桃香さんのお父さんの会社の社長であるらしかった。
その人物が桃香さんを運び屋に指名してきて、困った彼女がボスに相談したようなのだ。
「じゃあ、俺達は桃香さんを護衛すればいいんですか?
、、、はぁ、、へぇ、、成る程、、えっ?!
俺が桃香さんの身代わりにぃーー?!」
そこで、冒頭の台詞に戻るのであるが、俺が桃香さんの身代わりになり荷物を受け渡すようにと言う事だ。
つまり、マサトの弱点克服実験の時のように、桃香さんの格好をして、彼女になりきれというのだ。
ああ!まさか、こんな形で、あの実験が活かされる事になるなんて、、、。
やっぱりボスは侮れない。
「で、ゆうや、お前どうするの?」
「うう、、。やるしかないだろ。桃香さんを危ない目に合わせるわけにいかないし。」
「まぁ、そうだよな。で、何運ぶか聞いたか?」
「いや、ボスも分からないって。でも、桃香さんを指名するあたり、お父さんの研究に関わっているんじゃないかって。」
「ああ、あのヤバそうな遺伝子組換え研究ね、、。」
ボスいわく、この研究を追っていけば、マサトのハト治し薬に辿り着けるとのことだが、、、。
(はぁ、、やるしかないか。相方の健全な人間生活のためだ、、。)
「グルッポー!」
聴き慣れたハトの声がした。
「あ、3時か、、。マサト、時間切れ。」
「グルグル、、グルッボー💢」
丁度3時になってしまい、会話の途中でハトになってしまった相方が、イライラしてコツコツと机を突いている。
「マサト、どうどう。そうイライラしなさんな、きっともうすぐ戻れるさ。」
そんな相方が哀れで、俺は、身代わりを引き受ける事にしたのである。
**
「やあ、君が桃香君か、、、。そして、君は?」
「あ、俺は、桃香さんの護衛でーす。」
俺達は、指定の受け渡し場所にきていた。
そこは研究施設のある例の会社の一室であった。
窓も何もないその部屋はセキュリティシステムを何回も通る厳重な部屋であった。
今、俺の目の前に立つ依頼主は、その会社の社長であるらしい。でっぷりとした体型に、明らかに高そうな金の時計。両脇はしっかりSPに取り囲まれている。
纏う雰囲気がカタギのものではない。これは厄介な事に巻き込まれたのかもしれない。
額に汗が滲む。
「ほら、これが依頼物だ。いいか、桃香君。途中で変な気を起こしたらお父さんがどうなるか分からないぞ。」
こくり、、。声を出すと男だとバレてしまうので、無言でうなずく。
渡されたのは小さな鍵付きのアルミ製のケースだ。とても軽くて、中身など入っていないのではないかと思ってしまう。
「そいつを待ち合わせ場所に来た相手に渡して、代わりの物を持ち帰ってこい。
いいか、待ち合わせ場所には、桃香、お前が必ず行くんだ。それが相手の条件だ。」
何故だろう。どんな相手と取引するのか分からないが、どうして相手は桃香さんを知っているのか?どうして桃香さんを指名しているのか?
謎は多い。
しかし、ボスの指示がこの取引を成立させるという事ならば、やるしかないのである。
男が、ゆるりとタバコをふかしながらマサトをギロリと睨む。
「おい、護衛。桃香になんて言われてついて来たのかしらんが、変な事に首を突っ込むなよ。」
「へい!大丈夫ですっ!俺は、可愛い桃香さんが心配でついてきただけですっ!」
相変わらず緊張感の感じられないマサトの態度に、相方ながら呆れを通り越して、逆に感心してしまう。
「ふん、おおかた、桃香に下心でもあるんだろう。まぁ、いいさ。相手との取引場所は、あけぼの遊園地のメリーゴーランドの下で19時だ。そいつを狙っている他の組織もいるようだ、なるべく目立たず行動しろ。そして、渡したらすぐに、戻ってこい。」
マサトが、ふーっとタバコの煙をかけられ、盛大に咽せったところで、俺達はこくりと頷きその場を離れた。
ボスからの電話を受けた俺は、作戦を聞いた途端、変な声が出てしまった。
何事かと、ソファでスマホを弄っていたマサトも事務所の電話口へ耳を寄せた。
ボス曰く、次は運び屋の仕事だと言う事だ。
運び屋の仕事は、よくある事だ。便利屋として宅急便がわりに使われたり、少し訳ありの品を運んだこともある。
たいてい、運ぶ物の内容は教えては貰えないが、ヤバさは空気で分かる。
そして、今回もボスの口ぶりからすると、やばい物であろう。
しかも、今回の依頼者が、桃香さんのお父さんの会社の社長であるらしかった。
その人物が桃香さんを運び屋に指名してきて、困った彼女がボスに相談したようなのだ。
「じゃあ、俺達は桃香さんを護衛すればいいんですか?
、、、はぁ、、へぇ、、成る程、、えっ?!
俺が桃香さんの身代わりにぃーー?!」
そこで、冒頭の台詞に戻るのであるが、俺が桃香さんの身代わりになり荷物を受け渡すようにと言う事だ。
つまり、マサトの弱点克服実験の時のように、桃香さんの格好をして、彼女になりきれというのだ。
ああ!まさか、こんな形で、あの実験が活かされる事になるなんて、、、。
やっぱりボスは侮れない。
「で、ゆうや、お前どうするの?」
「うう、、。やるしかないだろ。桃香さんを危ない目に合わせるわけにいかないし。」
「まぁ、そうだよな。で、何運ぶか聞いたか?」
「いや、ボスも分からないって。でも、桃香さんを指名するあたり、お父さんの研究に関わっているんじゃないかって。」
「ああ、あのヤバそうな遺伝子組換え研究ね、、。」
ボスいわく、この研究を追っていけば、マサトのハト治し薬に辿り着けるとのことだが、、、。
(はぁ、、やるしかないか。相方の健全な人間生活のためだ、、。)
「グルッポー!」
聴き慣れたハトの声がした。
「あ、3時か、、。マサト、時間切れ。」
「グルグル、、グルッボー💢」
丁度3時になってしまい、会話の途中でハトになってしまった相方が、イライラしてコツコツと机を突いている。
「マサト、どうどう。そうイライラしなさんな、きっともうすぐ戻れるさ。」
そんな相方が哀れで、俺は、身代わりを引き受ける事にしたのである。
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「やあ、君が桃香君か、、、。そして、君は?」
「あ、俺は、桃香さんの護衛でーす。」
俺達は、指定の受け渡し場所にきていた。
そこは研究施設のある例の会社の一室であった。
窓も何もないその部屋はセキュリティシステムを何回も通る厳重な部屋であった。
今、俺の目の前に立つ依頼主は、その会社の社長であるらしい。でっぷりとした体型に、明らかに高そうな金の時計。両脇はしっかりSPに取り囲まれている。
纏う雰囲気がカタギのものではない。これは厄介な事に巻き込まれたのかもしれない。
額に汗が滲む。
「ほら、これが依頼物だ。いいか、桃香君。途中で変な気を起こしたらお父さんがどうなるか分からないぞ。」
こくり、、。声を出すと男だとバレてしまうので、無言でうなずく。
渡されたのは小さな鍵付きのアルミ製のケースだ。とても軽くて、中身など入っていないのではないかと思ってしまう。
「そいつを待ち合わせ場所に来た相手に渡して、代わりの物を持ち帰ってこい。
いいか、待ち合わせ場所には、桃香、お前が必ず行くんだ。それが相手の条件だ。」
何故だろう。どんな相手と取引するのか分からないが、どうして相手は桃香さんを知っているのか?どうして桃香さんを指名しているのか?
謎は多い。
しかし、ボスの指示がこの取引を成立させるという事ならば、やるしかないのである。
男が、ゆるりとタバコをふかしながらマサトをギロリと睨む。
「おい、護衛。桃香になんて言われてついて来たのかしらんが、変な事に首を突っ込むなよ。」
「へい!大丈夫ですっ!俺は、可愛い桃香さんが心配でついてきただけですっ!」
相変わらず緊張感の感じられないマサトの態度に、相方ながら呆れを通り越して、逆に感心してしまう。
「ふん、おおかた、桃香に下心でもあるんだろう。まぁ、いいさ。相手との取引場所は、あけぼの遊園地のメリーゴーランドの下で19時だ。そいつを狙っている他の組織もいるようだ、なるべく目立たず行動しろ。そして、渡したらすぐに、戻ってこい。」
マサトが、ふーっとタバコの煙をかけられ、盛大に咽せったところで、俺達はこくりと頷きその場を離れた。
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