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第三章
生きてたらいろいろ経験するもんだなあ
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俺が黙っていると、マリカちゃんはニッコリ笑った。
「爽君が好きな人は、私じゃないよね?」
「そ……その……あの……」
「ちなみに私は爽君のこと好きだけど、一人だけに絞れって言われたら爽君は選べないよ」
「はあ……そうですか……」
「それで? 爽君はどうなの?」
マリカちゃんは、未だにトイレの前でえぐえぐしゃくりあげている大地を指さした。
「私と大地君、どちらか一人を選べって言われたら、君はどっちを選ぶの?」
「そんなの……」
決まってるだろ。大地だよ。
口に出さなかったのに、マリカちゃんには伝わってしまったようだった。
「あんなに最低なことしてたのに?」
「……あいつのやったことは、多分一生忘れられねえな」
全てを知った今でも、一回殺したいくらい腹立ってるよ、俺。
でも……なんでか嫌いになれねえし、憎むこともできねえ。
それが、真っすぐすぎて歪んでしまった俺への愛情を知ったからなのか、大地に与えられた快感を忘れられないからか、はたまた俺は大地がどんなやつでも可愛く思えてしまうタチだからかなのかは分からない。
一人でうずくまって泣いている大地を抱きしめてやりたいと思うくらいには、俺は、今も大地にうつつを抜かしている。
「……マリカちゃん、ごめん。俺、実は、大地のこと忘れたくて君と付き合った。それでも忘れられなくて、大地とエロいことしてたんだ。……つまり、俺もマリカちゃんを一番にはできない」
本音を打ち明けても、マリカちゃんは全く傷心した様子がなかった。
「うん、そうだよねー! 知ってたよ」
「マリカちゃんも最低だし、大地も最低だし、俺も最低だったね」
「そういうことー。最低同士でわちゃわちゃしてるだけでおさまって良かったよー。普通の女の子に同じことしてたらマジで最低だったよ、爽君も」
「はい……すみません……」
こっちの話はまとまったね、とマリカちゃんは言って、泣いている大地を引きずって戻って来た。
ベッドに座るマリカちゃんと、床に正座をしている俺と大地。
マリカちゃんも俺らと同じくらい最低なのに、どうしてマリカちゃんだけ偉そうな態度なのかは甚だ疑問だったけど、俺たちはそこを指摘できるほど立派な人間じゃなかった。
マリカちゃんが俺と大地に問題を出した。
「どうして私は、爽君が家に来ると分かってて大地とえっちしてたでしょーかっ!」
なんて最低な問題なんだ。それに答えなんか分かりっこねえだろ。なんでだよさっさと教えろよ。
イライラとマリカちゃんを睨みつけているだけの俺の隣で、大地が淡々と答える。
「彼氏に浮気してるところがバレるっていうシチュエーションでセックスしてみたかったから」
「はい正解ー。他には?」
「彼女と親友がセックスしてるところに出くわした爽の反応が見たかったから」
「それも正解~。他は?」
えええ……マリカちゃんの性癖やべえし、彼女の性癖を理解しきってる大地もやべえ……。
三つ目の回答を求められた大地は、小さく舌打ちしてから唸った。
「3Pしてえんだろ、お前」
「はっ!?」
俺はのけぞり、マリカちゃんは大声で笑った。
「さすが大地ー!! 大正解!!」
「はあ……。ずっと言ってたもんな、お前……」
大地は気まずそうに俺に視線を送った。そして、理解が追いつかずにアホのような顔をしている俺に、説明する。
「爽……。お前が思ってるより、マリカちゃんは切れ者だし変態だしビッチだしクソだ。……俺が言えたことじゃないけど……」
「自虐はいいから早く詳しく教えてくれ……」
「マリカはたぶん、お前と別れて俺のことも解放してくれるつもりだろう。そうだな、ビッチ?」
「うんうん! さすが大地、話が早いねー」
「じゃないとこんな、話し合いの場なんて設けないだろうからな……」
「えっ、じゃあちょっと良いヤツ……」
俺がそう呟くと、大地が「んなわけ」と鼻で笑った。
「その代わり、マリカちゃんはこう要求する。『最後に3Pをしてくれたら別れてあげる』ってな」
「なんでだよ!! 3Pってなに!? 俺と大地とマリカちゃんでセックスするってこと!? 嘘でしょ!?」
「嘘じゃねえ……。俺としてる時も、最近はずっと三人でしたいって文句言ってたんだ……」
「はぁぁ!? 大地でも満足できないのマリカちゃん!? どんなけビッチなの君ぃ!!」
俺が大声で喚き散らすと、マリカちゃんは唇を尖らせる。
「だってぇー、大地君、私でイッてくれないんだもん」
「そういうこと。俺は気持ち良くはしてやれるが、イケないから……なんかマリカちゃんの自己肯定感が下がるらしい」
「そうなのー! その点、爽君とのセックスは最高! 今までえっちした人の中でも、爽君はとびきり感度良いし、すぐイッてくれるしで、自己肯定感爆上がり! だから爽君とのセックスも大好きなの~」
「……でも、爽のセックスだけじゃ、性欲オバケのマリカちゃんを満足させることはできないから……快感を与えるのが得意な俺と、感度メーターぶっ壊れてる爽との三人でセックスをしたら最高すぎるんじゃないかっていうのが、マリカちゃんの考えだ」
うーん。倫理観がブッ飛んでて聞いてても理解できねえや。
もうワケが分かんなすぎて頭からっぽにしてニコニコしてた俺と、仏頂面をしている大地を、マリカちゃんが指さした。
「正直に言うと、大地君も爽君も手放すのが惜しいよ。でも、モヤモヤしてて全然私のこと見てくれない今の二人じゃつまんないし、満足できない。君たち見てたら、なんかイライラしてくるんだよねー。なんで好き同士なのに、お互いが嫌がるような、つまんないことしてるんだろうって」
マリカちゃんの言葉に、俺も大地も身を縮めた。言い返せねえ……。
「だったらいっそのこと、別れてあげることを条件に、最後に3Pしてたっぷり私を可愛がってもらおうと思って! 感謝してよね? ぐっちゃぐちゃに絡み合って収拾つかなくなった糸を、私が一度切ってあげるんだから!」
「爽君が好きな人は、私じゃないよね?」
「そ……その……あの……」
「ちなみに私は爽君のこと好きだけど、一人だけに絞れって言われたら爽君は選べないよ」
「はあ……そうですか……」
「それで? 爽君はどうなの?」
マリカちゃんは、未だにトイレの前でえぐえぐしゃくりあげている大地を指さした。
「私と大地君、どちらか一人を選べって言われたら、君はどっちを選ぶの?」
「そんなの……」
決まってるだろ。大地だよ。
口に出さなかったのに、マリカちゃんには伝わってしまったようだった。
「あんなに最低なことしてたのに?」
「……あいつのやったことは、多分一生忘れられねえな」
全てを知った今でも、一回殺したいくらい腹立ってるよ、俺。
でも……なんでか嫌いになれねえし、憎むこともできねえ。
それが、真っすぐすぎて歪んでしまった俺への愛情を知ったからなのか、大地に与えられた快感を忘れられないからか、はたまた俺は大地がどんなやつでも可愛く思えてしまうタチだからかなのかは分からない。
一人でうずくまって泣いている大地を抱きしめてやりたいと思うくらいには、俺は、今も大地にうつつを抜かしている。
「……マリカちゃん、ごめん。俺、実は、大地のこと忘れたくて君と付き合った。それでも忘れられなくて、大地とエロいことしてたんだ。……つまり、俺もマリカちゃんを一番にはできない」
本音を打ち明けても、マリカちゃんは全く傷心した様子がなかった。
「うん、そうだよねー! 知ってたよ」
「マリカちゃんも最低だし、大地も最低だし、俺も最低だったね」
「そういうことー。最低同士でわちゃわちゃしてるだけでおさまって良かったよー。普通の女の子に同じことしてたらマジで最低だったよ、爽君も」
「はい……すみません……」
こっちの話はまとまったね、とマリカちゃんは言って、泣いている大地を引きずって戻って来た。
ベッドに座るマリカちゃんと、床に正座をしている俺と大地。
マリカちゃんも俺らと同じくらい最低なのに、どうしてマリカちゃんだけ偉そうな態度なのかは甚だ疑問だったけど、俺たちはそこを指摘できるほど立派な人間じゃなかった。
マリカちゃんが俺と大地に問題を出した。
「どうして私は、爽君が家に来ると分かってて大地とえっちしてたでしょーかっ!」
なんて最低な問題なんだ。それに答えなんか分かりっこねえだろ。なんでだよさっさと教えろよ。
イライラとマリカちゃんを睨みつけているだけの俺の隣で、大地が淡々と答える。
「彼氏に浮気してるところがバレるっていうシチュエーションでセックスしてみたかったから」
「はい正解ー。他には?」
「彼女と親友がセックスしてるところに出くわした爽の反応が見たかったから」
「それも正解~。他は?」
えええ……マリカちゃんの性癖やべえし、彼女の性癖を理解しきってる大地もやべえ……。
三つ目の回答を求められた大地は、小さく舌打ちしてから唸った。
「3Pしてえんだろ、お前」
「はっ!?」
俺はのけぞり、マリカちゃんは大声で笑った。
「さすが大地ー!! 大正解!!」
「はあ……。ずっと言ってたもんな、お前……」
大地は気まずそうに俺に視線を送った。そして、理解が追いつかずにアホのような顔をしている俺に、説明する。
「爽……。お前が思ってるより、マリカちゃんは切れ者だし変態だしビッチだしクソだ。……俺が言えたことじゃないけど……」
「自虐はいいから早く詳しく教えてくれ……」
「マリカはたぶん、お前と別れて俺のことも解放してくれるつもりだろう。そうだな、ビッチ?」
「うんうん! さすが大地、話が早いねー」
「じゃないとこんな、話し合いの場なんて設けないだろうからな……」
「えっ、じゃあちょっと良いヤツ……」
俺がそう呟くと、大地が「んなわけ」と鼻で笑った。
「その代わり、マリカちゃんはこう要求する。『最後に3Pをしてくれたら別れてあげる』ってな」
「なんでだよ!! 3Pってなに!? 俺と大地とマリカちゃんでセックスするってこと!? 嘘でしょ!?」
「嘘じゃねえ……。俺としてる時も、最近はずっと三人でしたいって文句言ってたんだ……」
「はぁぁ!? 大地でも満足できないのマリカちゃん!? どんなけビッチなの君ぃ!!」
俺が大声で喚き散らすと、マリカちゃんは唇を尖らせる。
「だってぇー、大地君、私でイッてくれないんだもん」
「そういうこと。俺は気持ち良くはしてやれるが、イケないから……なんかマリカちゃんの自己肯定感が下がるらしい」
「そうなのー! その点、爽君とのセックスは最高! 今までえっちした人の中でも、爽君はとびきり感度良いし、すぐイッてくれるしで、自己肯定感爆上がり! だから爽君とのセックスも大好きなの~」
「……でも、爽のセックスだけじゃ、性欲オバケのマリカちゃんを満足させることはできないから……快感を与えるのが得意な俺と、感度メーターぶっ壊れてる爽との三人でセックスをしたら最高すぎるんじゃないかっていうのが、マリカちゃんの考えだ」
うーん。倫理観がブッ飛んでて聞いてても理解できねえや。
もうワケが分かんなすぎて頭からっぽにしてニコニコしてた俺と、仏頂面をしている大地を、マリカちゃんが指さした。
「正直に言うと、大地君も爽君も手放すのが惜しいよ。でも、モヤモヤしてて全然私のこと見てくれない今の二人じゃつまんないし、満足できない。君たち見てたら、なんかイライラしてくるんだよねー。なんで好き同士なのに、お互いが嫌がるような、つまんないことしてるんだろうって」
マリカちゃんの言葉に、俺も大地も身を縮めた。言い返せねえ……。
「だったらいっそのこと、別れてあげることを条件に、最後に3Pしてたっぷり私を可愛がってもらおうと思って! 感謝してよね? ぐっちゃぐちゃに絡み合って収拾つかなくなった糸を、私が一度切ってあげるんだから!」
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