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王位継承権で揉めていた王宮
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「大丈夫なのかい、ユナ?」
いよいよ明日からは新社会人。独り立ちの時が来た。
学園を卒業し、就職先もゲットした私は数年ぶりに孤児院へとお礼を兼ねて訪ねていた。
これまでは寮だったし、就職先では宿舎があることもあって寝食共に迷惑はかけてないんだけども。
一応、礼儀としてけじめの挨拶ぐらいはしとかないとね。小さい頃はお世話になった場所だし。
そうやって集まってくれたみんなに囲まれて食事をしていた時だった。
顔なじみだったパン屋のおばさんが心配そうに声をかけてきた。
「何がですか?」
「いやぁねえ。じーさんから聞いた話なんだけどさ……」
どうやら先王時代に血なまぐさい王位継承争いがあったらしい。
攻略対象だったエリン王子の父である現国王はその争いの中、勝ち残った一人。
その国王の父である先王が女性好きだったため即妃がたくさんいたらしく、即妃の一人が正妃より身分が高かったことから諍いが頻繁にあり、王位継承に関して揉めていたとか何とか。
で、血なまぐさいことがあってたくさんの継承権を持つ王子が死んでいったらしく、なんとか正妃の子であった一人である現国王が無事に生き残って継承したとかどうとか。
その後、国王は先代の黒歴史を鑑みて正妃のみを娶ったけど、王子一人を産んで亡くなってしまった。
その彼が攻略対象者だったエリン王子なんだけど。
現正妃は後妻で姫二人とまだ幼い王子を産んだ人で自分の産んだ子の方ばっかを可愛がってたからエリン王子は昔から寂しい思いを抱えながら過ごしてたという背景があったわけで。
まあ、それをヒロインが埋めてあげるってのがゲームの醍醐味だったんだけどね。
あの気持ちを打ち明けるスチルは切なかったぁぁぁ。母性本能をくすぐってさっ!
……その全てをアナベルが補ってたのだから意味なかったけど!
でも幼少期からフォローしてくれていただろうから寂しく過ごしてなくて良かったと思うけどね!
もしかすると他の攻略対象者たちもそうやって救われてたのかもしれないからそれはそれでいいけども、さ。
そんな昔から支えていたらもう既にゲームは破綻してたじゃんかと今更思うだけだよ。
うう、無駄に転んだり、ものを落とす必要なんてなかった苦い学園生活!!!
「何だかその名残で今もまだ継承権争いが続いてるって噂を耳にしてね。ユナも王宮に勤めるんだから巻き込まれやしないかって心配でさ」
継承権争いがあるとは初耳。ただ現王妃とエリン王子の間に確執があったのはゲームで知ってたけどそれをヒロインが攻略の際、仲違いすら解決してたはず。
既にアナベルが解決している節がある。だって王子を攻略してたんだから。
「えっと、大丈夫だと思いますよ。そんな噂、聞いたことないですし」
「そうかい。それならいいんだけどさ……」
おばさんはため息交じりに呟いた。不安そうな表情はぬぐえなかったけど。
仮に王宮内にそういうことがあったとしても私には関係ない話。
だって貴族でもないから誰に付くとか権力には全く関係ない立場だし。
巻き込まれそうになったとしても何のしがらみもないからとっとと逃げればいいよね?
今のところそんな諍いなんかまったく見受けられないくらい平和そうだけども。
そんな風に能天気に考えるだけで何も気にする必要はなかった。
いよいよ明日からは新社会人。独り立ちの時が来た。
学園を卒業し、就職先もゲットした私は数年ぶりに孤児院へとお礼を兼ねて訪ねていた。
これまでは寮だったし、就職先では宿舎があることもあって寝食共に迷惑はかけてないんだけども。
一応、礼儀としてけじめの挨拶ぐらいはしとかないとね。小さい頃はお世話になった場所だし。
そうやって集まってくれたみんなに囲まれて食事をしていた時だった。
顔なじみだったパン屋のおばさんが心配そうに声をかけてきた。
「何がですか?」
「いやぁねえ。じーさんから聞いた話なんだけどさ……」
どうやら先王時代に血なまぐさい王位継承争いがあったらしい。
攻略対象だったエリン王子の父である現国王はその争いの中、勝ち残った一人。
その国王の父である先王が女性好きだったため即妃がたくさんいたらしく、即妃の一人が正妃より身分が高かったことから諍いが頻繁にあり、王位継承に関して揉めていたとか何とか。
で、血なまぐさいことがあってたくさんの継承権を持つ王子が死んでいったらしく、なんとか正妃の子であった一人である現国王が無事に生き残って継承したとかどうとか。
その後、国王は先代の黒歴史を鑑みて正妃のみを娶ったけど、王子一人を産んで亡くなってしまった。
その彼が攻略対象者だったエリン王子なんだけど。
現正妃は後妻で姫二人とまだ幼い王子を産んだ人で自分の産んだ子の方ばっかを可愛がってたからエリン王子は昔から寂しい思いを抱えながら過ごしてたという背景があったわけで。
まあ、それをヒロインが埋めてあげるってのがゲームの醍醐味だったんだけどね。
あの気持ちを打ち明けるスチルは切なかったぁぁぁ。母性本能をくすぐってさっ!
……その全てをアナベルが補ってたのだから意味なかったけど!
でも幼少期からフォローしてくれていただろうから寂しく過ごしてなくて良かったと思うけどね!
もしかすると他の攻略対象者たちもそうやって救われてたのかもしれないからそれはそれでいいけども、さ。
そんな昔から支えていたらもう既にゲームは破綻してたじゃんかと今更思うだけだよ。
うう、無駄に転んだり、ものを落とす必要なんてなかった苦い学園生活!!!
「何だかその名残で今もまだ継承権争いが続いてるって噂を耳にしてね。ユナも王宮に勤めるんだから巻き込まれやしないかって心配でさ」
継承権争いがあるとは初耳。ただ現王妃とエリン王子の間に確執があったのはゲームで知ってたけどそれをヒロインが攻略の際、仲違いすら解決してたはず。
既にアナベルが解決している節がある。だって王子を攻略してたんだから。
「えっと、大丈夫だと思いますよ。そんな噂、聞いたことないですし」
「そうかい。それならいいんだけどさ……」
おばさんはため息交じりに呟いた。不安そうな表情はぬぐえなかったけど。
仮に王宮内にそういうことがあったとしても私には関係ない話。
だって貴族でもないから誰に付くとか権力には全く関係ない立場だし。
巻き込まれそうになったとしても何のしがらみもないからとっとと逃げればいいよね?
今のところそんな諍いなんかまったく見受けられないくらい平和そうだけども。
そんな風に能天気に考えるだけで何も気にする必要はなかった。
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