「待ってくれ」と呼び止める彼は私の彼氏ではありません

クロユキ

文字の大きさ
3 / 6

恋より食べること③

しおりを挟む
今夜開かれる侯爵家の披露宴にエリーゼは大きな屋敷に驚いていた。
「うあ~~…さすがお金持ち…どんなお料理が出るのか楽しみ」
カサッと草木がある所から歩く人が見えエリーゼは誰だろうと顔を向けた。
「…生徒会長?…と…誰?」
エリーゼはクロードがマリーベルでない女性と一緒にいるのを見て首を傾げた。
「エリーゼ、先に来ていたの?」
「あ、ロリーナとトムソン君」
エリーゼの側に親友のロリーナと彼氏のトムが一緒にいた。
エリーゼは草木の方を見たがクロードの姿はなかった。
「…見間違いだったかな?」
「どうしたの?」
「えっ、なんでもない、二人ともお似合いだよロリーナのドレス可愛い」
「ありがとう、エリーゼのドレスも素敵よ」
「ありがとう今夜はとても楽しみにしていたんだ~っ」
「私もよ、どんな料理があるのか楽しみ」
「ね~」
エリーゼとロリーナは料理やデザートの話しをして屋敷の中へ入った。
「…俺は?」
屋敷の中にある披露宴として使われる部屋へと入りエリーゼとロリーナは華やかな会場に笑顔を見せた。
「すご~い、綺麗…学園でいた皆の制服がドレスと正装の姿でいるのがなんだか不思議」
「ほんとよね…あっ、エリーゼ凄い料理とデザートが並んでる」長いテーブルには料理人とメイドがテーブルに料理を置く姿をじっと見ていた。
「俺を置いて酷いんだが」
「あっ、ごめんトムソン」
苦笑いをして彼氏にロリーナは謝っていた。
ザワザワと人が増え父親と思う人がクロードとマリーベルを連れ挨拶をした。
「皆様ようこそお出でくださいました。今夜は婚約を致しました二人を紹介します。わたくしの息子クロード・ブランとマリーベル・ロペス令嬢が婚約をする事になりました。皆様、時間が許します限りお楽しみください」
ワーと拍手と「おめでとう」の声が響きクロードとマリーベルの周りには人が集まった。
「素敵よね。美男美少で羨ましいな~」
「そうね」
「えっ!?エリーゼもう食べているの?」
エリーゼはお皿に料理を乗せパクパクと食べていた。
「しかし、うまそうに食べるよな…」
「トムソン君も食べる?」
「俺はいいよ」
「あ!おーい、トムソン」
学園の男子がトムソンに手を振り呼んでいた。
「ロット達が呼んでいるから、ダンスが始まったら迎えに来るから」
「うん、またね」
ロリーナはトムソンに笑顔で手を振った。
「私が一緒にいて良かったの?二人の邪魔をしているみたいで」
「良いの、たまには…エリーゼは好きな人はいないの?一緒にいると楽しいよ」
「私は、恋より食べている方が幸せだから…それにぽっちゃりの私に興味がある男子なんていないわよ」
「エリーゼぽっちゃりでも可愛いのに私が男子だったら誘うのにな」
「ふふふ、ありがとう。今の私は、この料理とデザートに囲まれただけでも幸せなの」
「食べ物が恋人みたい」
エリーゼとロリーナは豪華な料理を楽しんだ。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛していたのは昨日まで

豆狸
恋愛
婚約破棄された侯爵令嬢は聖術師に頼んで魅了の可能性を確認したのだが── 「彼らは魅了されていませんでした」 「嘘でしょう?」 「本当です。魅了されていたのは……」 「嘘でしょう?」 なろう様でも公開中です。

私、悪役令嬢に戻ります!

豆狸
恋愛
ざまぁだけのお話。

婚約破棄まで死んでいます。

豆狸
恋愛
婚約を解消したので生き返ってもいいのでしょうか?

今夜で忘れる。

豆狸
恋愛
「……今夜で忘れます」 そう言って、私はジョアキン殿下を見つめました。 黄金の髪に緑色の瞳、鼻筋の通った端正な顔を持つ、我がソアレス王国の第二王子。大陸最大の図書館がそびえる学術都市として名高いソアレスの王都にある大学を卒業するまでは、侯爵令嬢の私の婚約者だった方です。 今はお互いに別の方と婚約しています。 「忘れると誓います。ですから、幼いころからの想いに決着をつけるため、どうか私にジョアキン殿下との一夜をくださいませ」 なろう様でも公開中です。

追放された令嬢は愛し子になりました。

豆狸
恋愛
「婚約破棄した上に冤罪で追放して悪かった! だが私は魅了から解放された。そなたを王妃に迎えよう。だから国へ戻ってきて助けてくれ!」 「……国王陛下が頭を下げてはいけませんわ。どうかお顔を上げてください」 「おお!」 顔を上げた元婚約者の頬に、私は全体重をかけた右の拳を叩き込んだ。 なろう様でも公開中です。

この嘘が暴かれませんように

豆狸
恋愛
身勝手な夫に一方的な離縁を申し付けられた伯爵令嬢は、復讐を胸にそれを受け入れた。 なろう様でも公開中です。

好きにしろ、とおっしゃられたので好きにしました。

豆狸
恋愛
「この恥晒しめ! 俺はお前との婚約を破棄する! 理由はわかるな?」 「第一王子殿下、私と殿下の婚約は破棄出来ませんわ」 「確かに俺達の婚約は政略的なものだ。しかし俺は国王になる男だ。ほかの男と睦み合っているような女を妃には出来ぬ! そちらの有責なのだから侯爵家にも責任を取ってもらうぞ!」

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

処理中です...