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第三騎士団ライト・グロース⑫
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「……い…痛っ……!?」
(な……だ、誰かが後ろから押された気が…)
「クスクス、蹲る姿が良く似合っているね兄さん」
「!?ラ、ライト?!」
腕を組み見下ろしているライトに驚いた僕は、周りに兄達が居ないか見渡した。
「ふっ、兄さん達は居ないよ僕一人だよ安心した?」
「……」
「あ~あ、野菜がバラバラだねーっ学校へ行っても役立たずなんだ兄さんは、こんな下働きを任されるなんてお父様が見たらなんて言うかな~っ、王族を任された騎士の家系が野菜を運んでいたなんてクスクス笑うしかないよね~」
「……」
僕は倒れ込んだ体を起こし地面に広がった芋を寄せ集めた。
「はい、僕も拾ったからあげるよ」
「……ありが……」
「あ!?」
グシャ!とライトの片足が手に持っていた芋を落としそのまま足に踏み潰した。
「うあっ!?靴の裏が芋で濡れちゃったよ~っ、あ~あ、この騎士靴お気に入りだったのに~…ごめんね兄さんお芋一つ駄目に成っちゃった」
「……」
僕は手を握り締める事しか出来ない自分に、弟さえにも言えない無力に耐えるしかなかった。
「ライト!」
ライトの名前を呼ぶ声にバッと後ろを振り向くライトは、僕とライトから離れた場所に騎士の男性が立っ姿が見えた。
「……ライト此処で何を、彼は知り合いなのか?」
「……」
騎士の驚いた顔を見せる姿を見た後ライトの方をチラッと見上げた時、ライトは何も知らない顔で騎士に笑顔を見せ駆け寄っていた。
「フレックさん、どうしたんですか?こんな所で」
(…『先輩』と呼ばず『さん』呼びで……)
「……ライトの姿を見掛け君を追いかけて来たんだが……」
話しの途中チラッと僕を見ていた騎士に気付いていたけれど、僕は地面に落ちた芋を拾い籠の中へ入れると騎士に向かって頭を下げ僕は食堂へと戻った。
「……ライト…彼は?それに……」
「知り合いに似ていましたので僕が肩を叩いたら驚いて野菜を落としてしまって、僕も拾いましたが手が滑って芋を落としてその弾みで芋を潰してしまったんです。謝ったのですが怒っているみたいで怖かったんです」
「……」
しゅんとライト騎士が落ち込む姿を見たフレック騎士はどの姿が本当のライト騎士なのか、戸惑う姿を見せていた。
(……まさか、ライトの仕業だなんて…屋敷にいた頃はここまでする事は無かった…兄達がするのを見ているだけで…僕は弟にも言い返せなかった……)
パタパタと泥や埃が着いた服をはらい籠の中の芋にも汚れを取り
「……ごめんね…」
僕は瞼をグイッと手で拭い食堂の扉を開けた。
(な……だ、誰かが後ろから押された気が…)
「クスクス、蹲る姿が良く似合っているね兄さん」
「!?ラ、ライト?!」
腕を組み見下ろしているライトに驚いた僕は、周りに兄達が居ないか見渡した。
「ふっ、兄さん達は居ないよ僕一人だよ安心した?」
「……」
「あ~あ、野菜がバラバラだねーっ学校へ行っても役立たずなんだ兄さんは、こんな下働きを任されるなんてお父様が見たらなんて言うかな~っ、王族を任された騎士の家系が野菜を運んでいたなんてクスクス笑うしかないよね~」
「……」
僕は倒れ込んだ体を起こし地面に広がった芋を寄せ集めた。
「はい、僕も拾ったからあげるよ」
「……ありが……」
「あ!?」
グシャ!とライトの片足が手に持っていた芋を落としそのまま足に踏み潰した。
「うあっ!?靴の裏が芋で濡れちゃったよ~っ、あ~あ、この騎士靴お気に入りだったのに~…ごめんね兄さんお芋一つ駄目に成っちゃった」
「……」
僕は手を握り締める事しか出来ない自分に、弟さえにも言えない無力に耐えるしかなかった。
「ライト!」
ライトの名前を呼ぶ声にバッと後ろを振り向くライトは、僕とライトから離れた場所に騎士の男性が立っ姿が見えた。
「……ライト此処で何を、彼は知り合いなのか?」
「……」
騎士の驚いた顔を見せる姿を見た後ライトの方をチラッと見上げた時、ライトは何も知らない顔で騎士に笑顔を見せ駆け寄っていた。
「フレックさん、どうしたんですか?こんな所で」
(…『先輩』と呼ばず『さん』呼びで……)
「……ライトの姿を見掛け君を追いかけて来たんだが……」
話しの途中チラッと僕を見ていた騎士に気付いていたけれど、僕は地面に落ちた芋を拾い籠の中へ入れると騎士に向かって頭を下げ僕は食堂へと戻った。
「……ライト…彼は?それに……」
「知り合いに似ていましたので僕が肩を叩いたら驚いて野菜を落としてしまって、僕も拾いましたが手が滑って芋を落としてその弾みで芋を潰してしまったんです。謝ったのですが怒っているみたいで怖かったんです」
「……」
しゅんとライト騎士が落ち込む姿を見たフレック騎士はどの姿が本当のライト騎士なのか、戸惑う姿を見せていた。
(……まさか、ライトの仕業だなんて…屋敷にいた頃はここまでする事は無かった…兄達がするのを見ているだけで…僕は弟にも言い返せなかった……)
パタパタと泥や埃が着いた服をはらい籠の中の芋にも汚れを取り
「……ごめんね…」
僕は瞼をグイッと手で拭い食堂の扉を開けた。
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