騎士の成り損ないと言われた僕は王子の騎士（恋人）に成りました

第三騎士団ライト・グロース⑬

「ただいま戻りました…」
「ありがとうロイ君……！？まあ、どうしたの？ロイ君頭が埃被って、それに服も汚れて……」
「あ…すみません、外で落として来ます」
僕は野菜籠をテーブルの上に置き頭に着いた砂を取りに外へ出た。
「どうしたんですか？おばちゃん」
「いえね、ロイ君が頭と服を汚して戻って来たのよ」
「汚れて？…この籠も芋も砂が着いているな……」
パタン！
「すみません、砂がまだ着いていたみたいで…ヨナさん転んだ時に芋を一つダメにしてしまって……」
「良いのよ気にしなくて、怪我は無いの？」
「はい、大丈夫です」
「慎重に行動するロイが転ぶなんて…」
「僕でも転ぶ時はあるよ。芋を洗って来ます」
「…ええ、お願いね」
僕は砂で汚れた芋を洗うため台所の流し台で芋を洗い、所々倒れた時に落とした芋にキズが幾つもあった。
「……」
（ライトを呼んでいた騎士が驚いたような顔でライトの方を見ていたな…上官だろうか、その後ライトは何も無かったような顔で騎士の元へ行った。僕がライトから押されたのをあの騎士の人は見たのだろうか？…例え見たとしても何も変わらないけど……）
僕は芋を水で洗いそして声に出した。
「会いたくなかった……」
（屋敷を出て騎士学校へ通うようになり、寮での生活にも慣れ僕は屋敷にいた頃より、寮の生活が楽しく兄弟達を忘れる日が多かった…僕が兄達と関わりたくないと思っていても、兄弟達が僕の方へ寄って来る事から避けることが出来ないんだ……）

ロイが弟のライトから嫌がらせを受けた数日後、その場面を見てしまったフレック騎士はモヤモヤとしたモノが消えずにいた。
（……あのあとはいつもの甘えて来るライトだったが、翌日からライトと会えない日が続いている…俺を避けているのだろうか？俺も以前のように会いに行かなく成ってしまった……）
コンコン！
「フレック俺だ居るのか？」
部屋の扉を開けて入って来たのは親友のジョエル騎士だった。
「ジョエル」
「なんだ？ゴロゴロとしていたのか？寝るのはまだ早いぞ」
ニッと笑顔を見せるジョエル騎士にフレック騎士も笑顔を向けた
「おっ、今日は笑ったな」
ゴソゴソと二段ベッドの下からボム騎士が起き出した。
「ふあ～…よう、ジョエル」
「今日は夜の護衛なのか？ボム」
「ああ、俺は外に出て来るからゆっくりしてけよ」
「ああ、ありがとう」
ポンとジョエル騎士の肩を叩いたボム騎士は部屋を出て行き、部屋の中ではフレック騎士とジョエル騎士二人だけになった。
ギシギシと二段ベッドの上から降りたフレック騎士は、ジョエル騎士に椅子に座るのを言いフレック騎士も椅子に座った。
「気分はどうだ？」
「ははは、病人みたいな言い方だな、スッキリとしない気分かな……」
「……ライトの事か？」
「…俺もどうしたらいいのか分からないんだ……」
膝の上に両手を重ねたフレック騎士は下を向き悩む姿を見せていた。
「……お前に話しておきたい事があるんだ…ライトの事だ」
「……話しとは？」
「アイツは…ライトはグロース家の人間かもしれない事だ。まだはっきりと決め付けるのはおかしいと思うが…ボムの親友からもライトの話しは出ている……」
「……そうか…」
「驚かないんだな、知っていたのか？」
「……休日の日から俺と帰り道で別れた時、サミエル隊長と一緒に歩く姿を見掛けたんだ」
「！？サミエル隊長だと？！」
「声がでかいぞジョエル」
「わ、悪い……そうか、だからお前あの日から様子がおかしかったのか…」
「すまない、俺もどうすればいいのか分からなくてお前に不安な思いをさせた…」
「気にするなお前と俺の仲だろう」
「ジョエル…」
フレック騎士は胸に支えていたモノが取れた気がして会話を続けた。
「最近お前アイツと会っていないだろう！？何かあったのか？」
「何故俺がライトと会っていない事を知っているんだ？」
「えっ、あ……その～なんだ、お前が心配だったんで任務が終わった後ちょくちょく様子を見ていたんだよ！悪い」
気まずそうに目を逸らすジョエル騎士にフレック騎士は笑顔を向けていた。
「ありがとうジョエル」
「お……おう」
「……ライトに確認しないと駄目だな自分の口で……」