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招待していない令嬢達②

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「あ…あの、カイル王子…制服が届きましたので僕は闘技場へ向かいます…」
「制服!?」
カイル王子が僕の話しを聞き、扉の近くで立つメイドに目を向けた時、メイドの身体がビクッと動く姿が見え慌てたようにメイドは頭を下げていた。
「ロイ君は闘技場へ行かなくても良いよ。俺が招待したんだから近衛騎士俺の事伝を頼んでも良いか?」
「は、はい、分かりましたカイル様…オレリア様はわたくしが闘技場まで送ります」
「ああ、頼む」
「さぁ、参りましょうオレリア様」
近衛騎士がオレリア嬢に声をかけオレリア嬢は不機嫌な顔を見せカイル王子に頭を下げていた。
「……カイル様、わたくしはこれで失礼致しますわ…」
「兄達の稽古を楽しむと良い」
「……」
オレリア嬢は何も言わず近衛騎士と一緒に部屋を出た。
部屋を出たオレリア嬢は、カッカッと歩く音を響かせ城内を歩きその後ろを近衛騎士が気まずそうに歩いていた。
「ちょっとそこの貴方!」
「は…はい?私の事だろうか?!」
「貴方しか居ませんのに誰に声をかけましたと思うの?」
「……はぁ」
「カイル様は何故わたくしをお引き留めにしないの?」
「?……それは、オレリア様が闘技場へ行きますと申されたのでは?」
「あの者には闘技場へ向かう事をお止めに成ったのに…何故わたくしにはお止めに成らないの?」
「……」
(はあ…カイル様に止めて貰いたい為に闘技場へ行くなどと言ったのか?この令嬢は……顔は美人だが性格がキツイ令嬢のようだな…ドレスも派手でもあり婚約者候補の一人だと聞いた……)
「カイル様のお知り合いのようでした」
「わたくしはカイル様の婚約者なのよ!闘技場へ行きましてわたくしに何かありましたらどうするの?」
「闘技場には歓声出来ます席が御座います。ご心配いりません」
「……そう」
近衛騎士とオレリア嬢は城を出て闘技場へ続く道を歩いていた。
「……ねぇ、闘技場にはアルフォンス様とフェリクス様がいらっしゃいますと聞いたのだけど…」
「はい、今日の剣稽古は王子達が決めました事でありますから」
「その歓声には女性は居るのかしら?」
「いえ、急の事ですので女性の方はお見えには無いと思います」
「そう…では、わたくしが王子様方を応援しなくてはいけませんわね」
(確か…お二人とも婚約者の方がいらしていたわね…クスクス…)
オレリア嬢は思い出しのように笑顔を見せ、近衛騎士に案内される闘技場へと向かった。
オレリア嬢が闘技場へ向かい、カイル王子の部屋の中にはまだ婚約者候補の二人が残っていた。
「また来ていたのか伯爵令嬢は」
不機嫌そうにカイル王子はソファーに座り腕を組んで声を出していた。
「!カ、カイル様、言葉にお気をつけ下さい…クレア様とアリーヌ様がおります前でその様な事を申されましては……」
「俺はわざと聞こえる様に言っているんだ」
「カ、カイル様!!」
慌てたように婚約者候補の二人に頭を下げるマリユスさんの顔は真っ青に成っているように見えた。
(この人も大変そうで……僕はこの場に居ても良いのかな…部外者なのに僕が部屋を出るとカイル王子に言ったけど断られて…何故か僕はカイル王子が座っているソファーに一緒に座り…僕の前にはカイル王子の婚約者達二人が座っているからとても気まずい……)









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