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招待していない令嬢達③

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「俺は一通も手紙を出した覚えは無い」
カイル王子は、令嬢二人に声をかけ手紙は出していないと声に出し、二人の令嬢達は困った顔をしてカイル王子の方へ顔を向けていた。
「カイル様、私がご令嬢の方々にお手紙をお送りしていました」
「何故余計な事をする」
「私が、お手紙をお出ししなければお会いする事が出来ないでしょう!?」
「手紙を出せとは言っていない」
「カイル様もご令嬢の方とのお時間を作るべきです。」
「俺の時間は俺の自由だ」
僕と令嬢二人は口論が続く二人が落ち着くのを待っだけだった。
「はぁ…カイル様せめてアリーヌ様とクレア様御二人にお時間を頂けないでしょうか?クレア様は今日カイル様と初めてお会いしたのです。数分…いえ数十分でもご令嬢方とお話しくださいませ」
「……」
カイル王子は不機嫌な顔で少し考えていたようで僕の方をチラッと見ているのが分かった。
(……婚約者の人達なのにどうしてカイル王子はそんなにイヤなのか分からないけど…会話をすれば気分が違うかもしれない)
「…ロイ君、席を外すけど良いかな?」
「はい、僕は大丈夫です」
「……カイル様、お尋ねしても宜しいでしょうか?」
「何?」
「隣にいます彼は何方でしょうか?私は初めてお会いしましたが……」
「以前、話しをした騎士学校に通っているロイ君だよ」
「……以前お話しをしましたとは…お名前は初めてお聞きしましたが…」
「俺も今日初めて名前を知ったんだ。」
「!?は…初めて名前を知りました学生に王室の紅茶をお出ししたのですか?」
マリユスさんが驚いたような顔と声を出し僕の方を見ていた。
「あの…マリユス様お話しの所申し訳御座いません、王室の紅茶とは王族の方がお飲みになります紅茶の事ですか?」
「はい、クレア様王様のご家族がお飲みに成ります紅茶で御座います……」
「まぁ…では彼にご家族が飲まれます紅茶を…」
驚いた声を出したクレアと名乗る令嬢が、僕を見る視線を感じ顔を上げる事が出来なかった…
「彼は俺の親友だ!俺が美味しいと思った紅茶を出して何が悪い?」
睨むようにクレア嬢に声をかけたカイル王子にクレア嬢は顔が真っ青になり、俯く姿を見ていた僕は驚いてカイル王子の顔を見上げた。
(…どうしてそんなに冷たくするのだろう…)
「カイル様、婚約者のクレア様になんて事を申されるのですか」
「……カイル王子、申し訳御座いません…わたくし……」
クレア嬢はカイル王子に頭を下げ言葉に詰まらせているように見えた…
「ク、クレア様、クレア様は何も悪くは御座いません」
「やけに侯爵令嬢に気を使っているんだな、数日前まで俺にアリーヌ嬢と会うようにうるさく言っていたのにな」
「!カ、カイル様…そ、それは……」
「……」
マリユスさんはカイル王子が言った事に慌てたようで、もう一人の令嬢に困ったような顔を見せ、空気が重く感じカイル王子がため息を吐き声に出していた。
「…はぁ、分かった彼女達と会話の場を作ろう……」
「!!カイル様」
今まで暗い顔をしていたマリユスさんに笑顔が戻った。
「ただし、数分だ」
「す、数分ですか?せめて夕刻までは……」
「俺は貴重な時間を分けてやるんだ。数分で充分だろう!?」
「…せ、せめて…三十分いえ…一時間お話しの場を御願い致しますカイル様」
「……三十分だそれ以上は無理だ」
「……分かりましたカイル様…御時間を頂けます事に感謝致します」
マリユスさんは少し不服そうな顔だったけど、二人の令嬢達に会話の場が出来た事に胸を撫で下ろす姿があった。




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