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「……ユリウス様…ユリウス様……私幸せで御座います。」
「……シルビア様……」
ユリウス父さんはシルビア王女を優しく抱き締めていた。
「こほん!分かってはいると思うが、結婚するまでは手出しは出来ぬぞブランシェ侯爵それまで絶えることが出来るのか?同じ男だから分かる事だがけっこう辛いぞ…」
王様は王妃様を見て自分達の結婚の事を思い出していたようだ。
「御父様何を言うのユリウス様に失礼ですよ」
「ハハハ、結婚まで辛いな…」
4人での笑い声の中で俺達は遠くで見ているだけだった。
シルビア王女が俺達に気付きパタパタと走って来た
「ユリーナ様…有難う御座います……何と言えば良いのか…私で宜しければいつでも相談相手に成ります…本当に有難う御座います。」
シルビア王女は笑顔で涙を流し喜んでいた。
ユリーナ母さんはそんな幸せなシルビア王女にボソッ…と呟いた
「……その涙が悲しみの涙に成らない事を祈りますわ…」
「え?」
小声でユリーナ母さんが話をした為シルビア王女は聞き取れ無かった。
「シルビア様ユリウス様に御話しが御座いますが話しても宜しいですか?」
「はい」
ユリーナ母さんは王様達と話をしているユリウス父さんの所へ向かった。
俺とルカリオ兄も行こうとした時シルビア王女から声を掛けられた。
「カイトちゃん、こんにちは今頃挨拶をして御免なさい貴方の事は良くユリウス様から聞いていたのよ」
「……僕の事ですか?」
「貴方が生まれた時から1歳になった事も私と御話しをするときはいっもカイトちゃんの事を話しをしていたのよ。私の事を姉と思っていつでもお城に遊びに来てね。ユリウス様も待って下さっているから」
シルビア王女は笑顔で俺とルカリオ兄に手を振っていた
ルカリオ兄はシルビア王女の後ろ姿をジッ…と見ていた。
「……にぃ…?」
「……幸せな笑顔を見せられると崩したく成るよね…」
「!?にぃ、恐いこと言わないでよ」
「ハハハ……冗談だよ…母様の所へ行こう」
「……うん…」
ユリウス父さんの事でルカリオ兄も何を考えているのか分からない事があるから怖いと思ってしまう事があるな……
俺とルカリオ兄はユリウス父さんの所へ歩いて行き、ユリウス父さんのそばには王様と王妃様そしてユリウス父さんの隣にシルビア王女そして少し離れてユリーナ母さんがいた。
「おおっ、子供達よ私の側に来てくれるか?」
王様が何故かルカリオ兄と俺を側に呼んでいた。
「まだそなた達の父様の結婚式には早いが私の事をおじい様と呼んで貰えると嬉しいのだが、例え両親が離婚してもお前達子供らは私の親族になる。城にも自由に出入りが出来るぞ、今日から私の孫だな」
「まぁ…随分若いおじい様ですわね…クスクス……」
側で話を聞いていた王妃が笑って話しをしていた。
王様は今年で35歳になる…まぁ孫が居てもおかしくないと思うこの国では…
「……有難う御座います…兄姉達にも伝えておきます…」
「おお伝えてくれ、皆で遊びに来ると良い!」
王様に話をするルカリオ兄は笑顔の無い話し方だった。
「……ところで…カイトだったかな…!?」
王様が俺の前で膝をつき俺と同じ目線で話し掛けて来たためビクッと体が動いてしまった。
「……」
ジーっと見つめる目が恐い…と言うかこの王様も顔はイケメンでモテていただろうな…と思った。
「…ふむ、珍しい瞳をしておるの…金に青が混ざっておるとは…」
俺の顔をマジマジと見られるのは勘弁して欲しい…
「御父様そんなに顔を近付けて見ていましたらカイちゃんが嫌がりますわ」
シルビア王女が父親の王様に注意をしていた。
「ハハハハ…すまなかった、余りにも可愛い顔をしていたからの…処で、カイト…と呼んでも良いかな?それともカイちゃんが良いかな?」
「……カイトで御願いします」
「おお…3歳とは思わない話し方をするの…その話し方はもう1人のそなたの話し方かな?」
「!?」
王様の問いかけにユリーナ母さんにルカリオ兄そして、ユリウス父さんが驚いて王様を見ていた。
王妃様とシルビア王女は何の事なのか分からず見ているだけだった。
「ブランシェ家全員が驚いて私を見ているのは皆も知っているという事かな?!」
「……はい、わたくし達兄姉快斗の事は知っています。まだ妹が知らないだけです。」
ルカリオ兄はリン姉の事を言っているようだった。
「……そうか…もう1人のそなたにも会って見たいものだが…これからはそなた達ブランシェ家も王族の仲間入りになるのだ、孫の顔が見たいのだが……」
いやいや…俺は孫といった小さな体ではないんだが…さて、どうするか…困った…俺はユリウス父さんを見たが頭に手をやり困った顔をしていた…こいつはこんな時も役にたたない奴だと思った。ユリーナ母さんもルカリオ兄の方を見てどうしましょ?見たいな顔をしていた。
「どうしたのだ?容姿に問題でもあるのか?」
「…はい、弟は恥ずかしがりな者で王様方に御見せする事に躊躇いがありますので、今は御見せする事が出来ないかと…」
ルカリオ兄が王様に快斗の姿を諦める事を進めたさすがお兄ちゃんだ…それに比べて父親は駄目な奴だな…はぁ…
「……そうか残念だな…カイト無理を言ってすまなかった」
「……いえ…」
俺はホッと息を吐き安心した。
「御父様余りカイトちゃんを困らせないで、ユリウス様が困るでしょ!」シルビア王女はユリウス父さんの顔を見て笑顔で話をしていた。その様子を黙って見ていたユリーナ母さんが口を開いた。
「…ユリウス様、王様にあなた様のこれからのお住まいとブランシェ家のメイドと使用人の事で御話しくださいませ……」
「ああ、そうだったな…」
ユリウス父さんは王様に自分の住まいとメイド40人と使用人20人の今後の相談をしていた。






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