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ユリウス父さんは王妃様に挨拶を終えメイド達の側で話しをしていた。
「皆御苦労だったね、こんなに早く皆に会えるとは王様に感謝しないといけないね」
ニコッとユリウス父さんは微笑みメイド達はユリウス父さんに会えた事が嬉しく涙を流すメイドもいた。
「旦那様御元気そうで良かったです。」
「わたくし旦那様の御側でまた仕える何て嬉しいです」
「旦那様お城のメイド達に何かされませんでしたか?心配で…」
「旦那様」「旦那様」とブランシェ家のメイド達と使用人達がユリウス父さんを中心に周りを囲みユリウス父さんは満面の笑顔を見せていた。
離れで王妃はユリウス父さんとメイドに使用人達の姿を見てシルビア王女が見たら何と思うか…とジッとその様子を見ていた。
「あ…処でユリーナや子供達は元気にしていたかい?」
「はい、奥様は御元気で坊っちゃま方も今日から学校に向かわれました。下のお坊ちゃま方も御元気でした。」
「……そうか…今日から学校に行ったんだね…」
最後までショーン兄とエミリー姉とは気まずいまま別れてしまいショーン兄は騎士の道には進まないのだろうか…と、寂しさが身にしみていた。
「あっ、奥様のご両親が御見えになってお出ででした。」
「……ユリーナの両親が!」
ユリーナ母さんの両親が来たことで、貴族中に離婚した事が知れ渡ってしまったのだと…ユリーナ母さんの両親に頭を下げ別れませんと誓った事を破る事になってしまい、いつ両親が城に押し掛けて来る覚悟を今のうちに心の準備が必要だと考え殴られる覚悟を決めていた。
コンコン!大広間の扉を叩く音がした。
「失礼致します。王妃様シルビア王女をお連れ致しました」
1人の騎士がシルビア王女が来た事を知らせ王妃は部屋に入るように伝えた。
シルビア王女と聞いたメイド達はザワザワと騒ぎだした。
シルビア王女が部屋に入るとメイド達は話す事を止め礼をしてシルビア王女が歩きそしてパタパタと走り出した。
「ユリウス様!」
シルビア王女はユリウス父さんがメイド達の輪の中に居ることに気付き走りだしメイド達の中に入り込みユリウス父さんに抱き着いていた。
!?
メイド達は驚き目の前で抱き締めているシルビア王女に皆目を見開いていた。以前はユリーナ母さんが側に居て抱き着く姿を良く見ていたメイド達は夫婦だという事もあり「また自分達の前で見せて居る」と、嫌だと思う事もあったが夫婦として2人を見ていた為割り切っていた。
だが今目の前でまだ夫婦でもないユリウス父さんとシルビア王女が抱き着く姿を目の前で見せられたメイド達は複雑な気持ちだった。
「…シルビア様メイド達の見ている前で抱き着くのは……」
「ユリウス様御戻りに成られたのでしたら真っ先に私に知らせて下さい、お帰りが遅いので心配しました。ユリウス様は私の夫に成るのです妻が夫に抱き着くのは当たり前だと思います…ユリウス様ギュッと抱き締めては下さらないのですか?」
シルビア王女は顔を上げユリウス父さんを見上げていた。
シルビア王女の抱き着く姿は嫌ではないがメイド達の居る前では困っていた。以前はユリーナ母さんを抱き締めていた為今は違う女性を抱き締める事に成るから気まずさが合った。
「ユリウス様お帰りなさい」
シルビア王女はユリウス父さんに腰に手を伸ばしギュッと握り締めていた。ユリウス父さんもシルビア王女の行動に負け抱き締め挨拶を返していた。
「ただいま戻りましたシルビア様…」
お互い抱き締め合う2人の姿を見せ付けられたメイド達は嫌な顔をするメイドも居れば呆れ顔を見せるメイド達もいた。
王妃様はメイド達の目の前で抱き締めている2人を見て早くもブランシェ家のメイド達に「貴女達の入るすきはないのよ」と見せているようで王妃様はシルビア王女も自分に似たのかもと1人クスクス笑っていた。
「王妃何を笑っておるのだ?」
王様がいつの間にか大広間の部屋の中に入っていた為メイドと使用人達は慌てて王様の方を向き礼をしていた。
「礼はいいぞブランシェ家のメイドと使用人達顔を上げると良い」
王様は歩きながらメイド達に話し終え王妃様の元へ向かった。
「王様御戻りに成られたのですね、気付きませんでしたわ」
クスクスと笑い王様にキスの挨拶をしていた。
「今戻った王妃、私の替わりに済まなかったな」
「いいえ…そのお顔ですとお会いに成りました御様子で」
「ああ、良い青年で王妃も会えばきっと気に入るぞ」
「まぁ…楽しみです事」
王様と王妃様は笑い合い王様はユリウス父さんとシルビア王女の方へ体を向けた。
「処で…メイド達の周りで何を抱き合っておるのだお前達は……」
ユリウス父さんは王様の声で慌ててシルビア王女から手を放し王様に礼をして、シルビア王女は抱き締めてくれていたユリウス父さんが離れた為ムッとした顔をして王様を見ていた。
「シルビア何も嫌そうな顔を私に向ける事は無いだろう?」
「御父様が邪魔をするからですわ」
「邪魔…とな、まぁお前達2人の仲を邪魔をして悪かったの…2人共メイド達の周りに居ないで此方に来なさい、メイド達が困っておる」
王様はユリウス父さんとシルビア王女をメイド達から離れ近くに寄せた。
「余り人前で抱き締め合うものでは無いぞ、場所を考え周りには余り良いものではないからの…」
「も、申し訳御座いません王様、わたくしが悪いのです」
「ユリウス様は何も悪くは御座いません、ユリウス様に抱き締めて貰いたくて私の我儘を聞いて下さったのです御父様」
「…まぁ、今度からは周りに気を付けて行動を取れば私は何も言わない……済まないなブランシェ侯爵娘の我儘に付き合わせてしまい…」
「いえ、私の事を想って下さっているのです。シルビア様を妻に迎える日が待ちどうしいです」
「ユリウス様……」
シルビア王女の目から涙が溜まりそれに気付いたユリウス父さんがそっと指で拭っていた。
「……」
(その甘い言葉で何人の女をモノにしたのか…シルビアも例外では無いの……このまま結婚へと進めば良いのか…悩む処だ…)
王様は寄り添うユリウス父さんとシルビア王女の姿を見て悩んでいた。
「おおそうだ、忘れておったメイド長は側に居るか?」
「はい、王様此方に…」
城のメイド長が王様達の側に寄っていた。
「明日からでも良い朝食にこれを付け加えてくれ」
王様はメイド長に1枚の紙を渡していた。
「これは…食べ物のレシピで御座いますか?」
「ああ、そうだ。サンドイッチと言うパンの食べ物だそうだ」
「え?」
ユリウス父さんが王様の食べ物の名前で反応していた。
「……サンドイッチ…ですか?」
「おおっ、ブランシェ侯爵も食べた事があるのか?今日ブランシェ家に用事で伺った時そなたの息子カイトがサンドイッチと言う食べ物を作って出してくれたのだ」
「……カイトがですか?」
「私も驚いたまさかそなたの息子がサンドイッチを作りそれを食するとは思ってもいなかったからな、特に玉子焼きと言うモノがパンに挟んで旨かったぞ」
王様はメイド長に明日から時々朝食に加える事を御願いしていた
「……」
ユリウス父さんは前世で兄快斗が良く母親が留守の頃玉子焼きを焼いてサンドイッチにして自分に食べさせてくれていた事を思い出しそれをユリウスとなった自分にではなく王様に食べさせた事に複雑な気持ちが合った。
「カイトからお願いでもあったのだ、時々ブランシェ侯爵にサンドイッチを食べさせて欲しいと…」
「!?……カイトがですか?」
「ブランシェ家の食べ物が恋しくなると思うからとカイトがそなたに食べさせて欲しいと私にサンドイッチの作り方の紙を渡したのだ」
「……そうですか、カイトが…私の為に……」
「…良い息子を持ったなブランシェ侯爵は……」
「有難う御座います」
カイトが自分の為にと言う事を聞き微笑むユリウス父さんの顔を見ていたシルビア王女が聞いていた。
「ユリウス様今の御話はカイトちゃんの事ですか?カイトちゃん料理をするのですか?あの小さな体で?」
「ハハハ、そうですね…いつか料理をする快斗に会わせてあげたいですね」
「そのカイトの事だが、城に招く事になったその時はブランシェ侯爵も再会を喜ぶと良い」
ユリウス父さんは王様が快斗が城に来ると聞き驚きが隠せなかった。






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