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「きゃあ、可愛い息子さんですか?」
「ああ、私の自慢の息子だよ!」
王様は街行く人々から良く声を掛けられる、容姿の事もあるが身長も高い為女性に良く声を掛けられていた。
すれ違う度に声を掛けてくるのは女性ばかりで声を掛け難い女性はジッと王様を見て頬を赤く染める者もいた。
声を掛けて来る皆が俺の事を「息子」と呼ぶため王様は馴れてしまったのか皆に「息子だよ」と応えていた。
今俺と王様の前にキャア、キャア、と喜び叫んでいる若い女性2人が話し掛けていた。
「息子さん可愛いですね、何歳ですか?」
「3歳だが君達は街の娘さん達かな?」
「はい、少し離れた街の中に住んでます」
「この街は好きなのかな?」
「はい、色んなお店もあるし安いから遊びに行く場所として若い子達には人気何ですよ」
1人の女性が俺の手をにぎにぎと触り俺は恥ずかしく手を離したくても女性が離してはくれない…もう1人の女性は王様と話し笑いながら聞いて来た
「クスクス…街の事を質問するからまるで王様見たいですね」
「ハハハハそうかい?王様か…良いね。ハハハ」
「あの…私達で良かったら一緒に行動しませんか?」
おおっ…まさか逆ナンパって奴なのか?
「有難う、済まないが妻と待ち合わせをしているんだよ」
ニコッと王様は女性2人に誘いの断りをしていた。
「…あ~っ、やっぱり奥さんと一緒だったんですね…こんな素敵な人が1人で居るわけ無いよね……あの…あの…こんな事を聞くのは失礼と思いますが……あ、後妻を…取る事は無いのですか?」
「え…」
「ラ……ラナ!?」
俺は驚きまさか女性から王様に後妻の事を聞くとは思いもしていなかった。俺は声もでず王様の顔を見上げて見ているだけだった
王様に後妻の事を聞いた女性は真っ赤な顔で目に涙を溜めているのが分かり少し話しをしただけで王様の事を好きになってしまったのだろうか……と思ってしまった
「……済まない私は後妻を取る積もりは無いんだ……後妻にと思っている人は居るが…それが出来ない人が私には居る…今はその人を見守り大切にしたいと想って居る……だから今の私は後妻は取らない事にしているんだよ…」
王様は目の前で泣いている女性に声を掛けて上げる事しかできず隣で一緒に居る女性は泣いている女性を慰めていた。
「……ご、ご免なさい…突然泣いて仕舞って…この街には時々来るのですか?」
「あ……ああ、時々ではあるが来る時はある…」
「もし、偶然通り掛かりましたらお話ししても良いですか?」
「ああ、それは構わないが…」
「ふふふっ、今日はお話し出来て嬉しかったです。私達はここで別れます。有難う御座います」
「……いや、私も君達と話が出来良かったよ」
女性2人は手を振り俺と王様に別れの挨拶をしていた。
「……初めて見ました女性から後妻にとお願いをする人に…」
「以前もあったが久しぶりに後妻にと言われドキッとしてしまった……王妃の顔を思い出し真っ青に成り掛けた…」
「……王様は王妃様が怖いのですか?」
「……昔は怖かった…今は何を考えて居るのか分からない処があるからそれも怖い…」
俺は王様に後妻にと言って来た女性の通り過ぎる姿を眺めユリーナ母さんとの待ち合い場所の噴水広場に向かった。







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