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「クスッ…快斗から抱き締めてくれるとは嬉しいね…」
俺の上を覆い被さる姿が分かり俺はユリウスの体を触り始めた。
「……透明人間でも服は着ているんだな」
「裸のままだと恥ずかしいだろう魂だけと成っても服は着ているよ。快斗に脱がして貰う為に着て居るみたいな物だからね」
「脱がして…って脱いだ服が分から無いと思うが……それにこんな所を兄達が部屋に来たらどうするんだ?俺だけ足を上げて居る状態を見られたら嫌だぞ」
「大丈夫だよ扉に鍵を掛けたから」
「やっぱあの音は鍵を掛けた音だったんだな最初からヤる目的だったのかお前は……んんっ!?」
俺は話しの途中口を塞がれ姿が見えないと驚いてしまう
「会話が多いよ快斗、中々前に進まないから黙って私に身を任せ感じていれば良いよ」
「…っ、姿が見えないのにそんな余裕は無い」
「はぁ…困ったお姫様だ」
「誰がお姫様だ」
クスクスと笑い俺の額にキスをするのが分かった。
「快斗お前の中に私の治癒能力を持っている、その力を使い目に治癒を施すんだ……その力を使えば私の見えない姿が見えるかもしれないが試してみるかい?」
「それを早く言え!」
「早く言え…って、私も治癒で見えない物を見るという事に使った事が無い為今思い付いた事なのだよ」
「少し黙っていろ集中出来ない」
「ええっ?……勝手だな…相変わらず」
クスッとユリウスの笑う声が聞こえ俺はユリウスに言われた通りに治癒を自分の目に集中させた。
目の周りが暖かく感じ今冷静に考えればユリウスが刺された傷を全力で治し続けその傷が消えていく様子をまの当たりにすると本当に自分の体に治癒能力が在るのだと今改めて思った。
俺は目に治癒をした後閉じていた瞼をゆっくりと開け俺の上に覆い被さるユリウスの姿を見た。
金色の長い髪の毛を後ろに束ね金色の瞳が見馴れた容姿が俺の側にいた。
「…ユリウス…」
「その驚いた顔をしていると…私の姿が見え……ん!」
俺はユリウスの話しの途中ユリウスの唇を重ねキスをした。
ユリウスの後ろ首に腕を回し頭を俺に寄せ口付けを交わした。
体温が戻った様に暖かくユリウスの姿を見る事が出来た事に嬉しく何度も唇を重ねた。
生きて居る頃と変わらない舌を絡ませお互いの舌が離れた時唾液が糸を引きユリウスでも唾があるのだと分かった。
「…快斗から激しいキスを貰い驚いてしまったがその様子だと私の姿が見える様だね」
「ああっ…ユリウスの体温が暖かく感じお前が魂だけだという事を忘れてしまいそうだよ……」
俺は目に涙を溜め生きて居る頃と変わらない暖かさを感じていた。
「…魂が暖かいのは多分、治癒能力で目が見える事と魂に触れると暖かみを感じる事が出来る様に成ったのかもしれないね…私の息子は凄いね」
「今は3歳のカイトでは無いぞ」
俺はユリウスを触れる喜びでユリウスの頬を両手で何度も触り続けた。







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