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「シルビア!」
「御父様…」
王様は「はあはあ」と息を切らし白いテーブルの側に立っているシルビア王女の側に笑顔を見せ近付く姿があった。
「……御父様汗がこんなに流れて、それに寝服のままでどうしたのですか?」
シルビア王女は分かってはいた王様が自分を探していた事を…メイドが部屋に挨拶をする為に来た時に部屋の中にシルビア王女が居ない事を王様に伝えそして王様自ら探していただろうと……
「私が聞きたいくらいだよシルビア、早朝から部屋を抜け出す事は今までに無いため探したのだよ」
王様はテーブルの椅子に腰掛けシルビア王女を探していた事を話していた。
「……ごめんなさい御父様眠れなくて、部屋の窓から外を眺めていましたら明るくなって居ましたので私付きのメイドが来るのが待ちきれなくて…庭園に行きたい気分だったの……外に出る前に廊下でメイドに会いましたので庭園で紅茶を持って来てと頼んで用意して貰っていたの」
王様が座ったテーブルの周りには紅茶が入ったポットにカップが二つありクッキーのお菓子も器に添え他に誰かを待って居るようにテーブルの上に用意していた。
「……」
王様はテーブルの上に用意していたカップが二つあるのを見て誰と一緒に紅茶を飲むのか分かっていた。
シルビア王女は周りに咲く花を積み始め小さな花瓶に生けていた
「ふふっ、御父様今日だけ特別ですわよ本当はこのカップはユリウス様用に用意したのですよ、でもユリウス様はまだ御見えに成りませんので御父様に紅茶を御馳走致しますわ」
「…シルビア……」
シルビア王女はカップの二つに紅茶を注ぎ入れ王様に紅茶を入れたカップを渡しシルビア王女も椅子に腰掛けていた。
「御父様冷めない内にどうぞ!御父様に紅茶を出しますのは久しぶりですわ」
「…ああっ、そうだったな久しぶりにシルビアから紅茶を入れて貰えたよ」
王様は紅茶が入ったカップを飲みシルビア王女に話し掛けていた
「シルビアそろそろ戻るとしょう、皆が心配をしているぞ王妃も部屋で待っている」
王様はシルビア王女に部屋に戻る事を告げシルビア王女の左手を握り締めていた。
「…御父様わたくしが御入れしました紅茶はいかがでしたか?」
「ああっ、とても美味しく頂いたよ」
王様はシルビア王女の顔を見て微笑み紅茶が美味しいと応えシルビア王女は喜び王様に話し掛けていた。
「御父様に喜んで貰えて嬉しい…ユリウス様が御仕事が御休みの日にこの庭園でわたくしが入れました紅茶を飲んでそしてこのテーブルであの日の様に笑って御話しを一緒にしたいと思っていました……」
「シルビア…」
シルビア王女は王様の顔を見て微笑んだ後左手を握り締めている王様の手を右手でそっと手を重ねていた。
「ユリウス様の御話しは必ず御子様達の御話しをするのですよ…そしてカイトちゃんの御話しをするユリウス様は幸せそうな笑顔で御話しをしておりました。
わたくしもユリウス様と幸せな家族を持ちたいと思っていました」
シルビア王女は顔を上げ明るくなった空を見上げていた。
「ユリウス様がわたくしに求婚をして下さいました時も晴れた日でこの場所だったのですよ御父様」
「……そうか…この庭園でブランシェ侯爵と……」
「はい…幸せな日々でした……」
シルビア王女は笑顔で涙を流しユリウスと庭園で一緒に過ごした日を思い出していた。
王様とシルビア王女の姿を離れた場所から王様の護衛騎士のアノルドさんと騎士の一人そしてシルビア王女付きのメイドが二人の様子を見守り見続けていた。
王様は後ろに控えているアノルドさん達に気付きシルビア王女の手を放し側を離れた。
「暫くシルビアの側にいるように…ブランシェ家が城に着いた頃シルビアを部屋へ連れて行ってくれ」
「はい、分かりました……」
王様はシルビア王女付きのメイドに暫く庭園で過ごした後に部屋に行く事を伝え王様はシルビア王女の顔を見た後護衛騎士のアノルドさん達と一緒に城の中へ戻りブランシェ家の家族が来るのを待っていた。








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