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第八章「腐れ縁は切れるなら切りたい」
34.小間使いと新たな住民
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「……ショコラ、ホントにゴメンって」
「口より早く手を動かせろ」
ハルが怒りにまかせて応接室をボロボロにした事件から数日後。ショコラの監督の下ルチアは今日も今日とて小間使いのように扱われていた。魔法で楽に終わるのだが、ショコラがその使用を禁じたため、手作業で行っている。
「いくら何でもヒドすぎないか!?」
「オマエがやったことの方がヒドいと思うが? 自業自得だ、バカタレ」
「ええー……そんなぁ」
「あ、この部屋の掃除終わったら次畑の方頼むね」
「無慈悲だ!!」
慣れない炊事や掃除に弱音を吐くルチアだが、ショコラのあたりは強く、次の仕事を言いつけた。その様子を見たハルは(私も人のこと言えないけどショコラさんもやったことないんじゃあ)と心の中で思っていた。
「……そろそろここに住みたいと思っていてね」
「は? オマエ何言ってんの?」
ルチアがここに来て半分……いやもう九割がた小間使いとして働かされてから数日後。ショコラとハルと3人でお茶会をしていたルチアは唐突にこんなことを言った。その発言にショコラは立ち上がり言った。
「いや、オマエみたいな犯罪者匿うわけにはいかないだろ!」
「犯罪者ってそこまで言うかい?」
「オマエみたいな奴を犯罪者って言わずなんて言うんだよ!」
「まさか、この前と同じ事をやったんですか?」
「かれこれ5回は……」
「嘘つけ、それの倍はやってる癖に」
目の前で繰り広げられている物騒な会話にハルは唖然とした。まさか、この前のようなことを起こしているとは思わなかったのである。
しかし、ハルはいつもと同じように言った。
「私は別にいいですよ。妖精達から手際がいいと評判も高いし、リリィ達も褒めてたんですよ。ただこの前のモンスター氾濫を起こして私の読書の邪魔をしなければいいから……」
「ハル!」
「分かってくれるか!読書のお嬢さん! 分かったモンスターの騒動は起こさないって約束するし、喧嘩も外でやる事にするよ!」
「オマエの口約束ほど信頼できないものはないんだよなぁ……」
恐らく一番被害を被っているであろうハルが賛同したことにより、ショコラは頭を抱える。そこでショコラは2人に今日の夕食後の会議で決めようと提案した。
さて、夕食後人数も大分増え、そろそろ狭くなった食堂に11人全員が集まっていた。話すのはもちろんルチアのことについてである。
「私としては反対する。なんせ昔から女癖が悪く、下手したら屋敷の皆食われる可能性がある」
「さすがに節度は守ります」
「嘘だな」
重々しくルチアは言うが、ショコラはそれを一蹴する。しかし、他の屋敷のメンバーは少し違った。
「私は昼も言ったけど、騒動さえ起こさなければ別にいいと思ってるよ」
「ルチア様、掃除も炊事もすぐに覚えて凄く役に立ってるんです!」
「ショコラ師匠と同類の魔女様に教わるなんてこんな嬉しいことありません!」
「ルチア私の修行にも付き合ってくるんだよな! 強いから結構いい修行になるぞ!」
「薬の知識も凄く豊富で……また新しい薬が出来そうなんです」
次々と来るルチア肯定意見にショコラは頭を抱え、そしてルチアの方を見る。ルチアは首をかしげたがその反応がショコラのかんに障ったのか、ショコラは掴みかかり怒鳴った。
「オマエ、まさか洗脳魔法使ったとかしてないだろうな……!」
「あのね、ボクを小間使いとして使ってる奴が何を言うんだい? 少なくともボクは洗脳魔法をかけてはないよ」
「ホントだな?」
「うん」
しばらく見ていたショコラだったが、やがて落ち着き、鑑定魔法で皆を見る。どうやらルチアの言っていたことは正しかったらしく、洗脳されていなかった。この結果にショコラはため息をつき、言った。
「もう、いいよ別にここに住んでも」
「ホントかい!? いや~~嬉しいなぁ~~」
「ただ1つだけ条件がある」
「え? なに?」
「この前のモンスター騒動の騒ぎを町の人から全て消去しろ」
「そんな無茶な……」
「やれ」
「はい」
というわけで、ここの屋敷にまた新たな住民が住むようになった。そして、――
「何とか……終わったけど……魔力切れは……辛い……」
「このポーション飲んだら次の仕事なー」
「ショコラさん、休ませてあげてください……」
が、ショコラのルチアに対するあたりは相変わらずだった。
「なぁ、サフィ洗濯ってどうやるんだ?」
「え、ショコラ様どうしたんです!?」
「……対抗意識だよ」
ショコラもルチアと同じように家事を覚え始めたのだった。
「口より早く手を動かせろ」
ハルが怒りにまかせて応接室をボロボロにした事件から数日後。ショコラの監督の下ルチアは今日も今日とて小間使いのように扱われていた。魔法で楽に終わるのだが、ショコラがその使用を禁じたため、手作業で行っている。
「いくら何でもヒドすぎないか!?」
「オマエがやったことの方がヒドいと思うが? 自業自得だ、バカタレ」
「ええー……そんなぁ」
「あ、この部屋の掃除終わったら次畑の方頼むね」
「無慈悲だ!!」
慣れない炊事や掃除に弱音を吐くルチアだが、ショコラのあたりは強く、次の仕事を言いつけた。その様子を見たハルは(私も人のこと言えないけどショコラさんもやったことないんじゃあ)と心の中で思っていた。
「……そろそろここに住みたいと思っていてね」
「は? オマエ何言ってんの?」
ルチアがここに来て半分……いやもう九割がた小間使いとして働かされてから数日後。ショコラとハルと3人でお茶会をしていたルチアは唐突にこんなことを言った。その発言にショコラは立ち上がり言った。
「いや、オマエみたいな犯罪者匿うわけにはいかないだろ!」
「犯罪者ってそこまで言うかい?」
「オマエみたいな奴を犯罪者って言わずなんて言うんだよ!」
「まさか、この前と同じ事をやったんですか?」
「かれこれ5回は……」
「嘘つけ、それの倍はやってる癖に」
目の前で繰り広げられている物騒な会話にハルは唖然とした。まさか、この前のようなことを起こしているとは思わなかったのである。
しかし、ハルはいつもと同じように言った。
「私は別にいいですよ。妖精達から手際がいいと評判も高いし、リリィ達も褒めてたんですよ。ただこの前のモンスター氾濫を起こして私の読書の邪魔をしなければいいから……」
「ハル!」
「分かってくれるか!読書のお嬢さん! 分かったモンスターの騒動は起こさないって約束するし、喧嘩も外でやる事にするよ!」
「オマエの口約束ほど信頼できないものはないんだよなぁ……」
恐らく一番被害を被っているであろうハルが賛同したことにより、ショコラは頭を抱える。そこでショコラは2人に今日の夕食後の会議で決めようと提案した。
さて、夕食後人数も大分増え、そろそろ狭くなった食堂に11人全員が集まっていた。話すのはもちろんルチアのことについてである。
「私としては反対する。なんせ昔から女癖が悪く、下手したら屋敷の皆食われる可能性がある」
「さすがに節度は守ります」
「嘘だな」
重々しくルチアは言うが、ショコラはそれを一蹴する。しかし、他の屋敷のメンバーは少し違った。
「私は昼も言ったけど、騒動さえ起こさなければ別にいいと思ってるよ」
「ルチア様、掃除も炊事もすぐに覚えて凄く役に立ってるんです!」
「ショコラ師匠と同類の魔女様に教わるなんてこんな嬉しいことありません!」
「ルチア私の修行にも付き合ってくるんだよな! 強いから結構いい修行になるぞ!」
「薬の知識も凄く豊富で……また新しい薬が出来そうなんです」
次々と来るルチア肯定意見にショコラは頭を抱え、そしてルチアの方を見る。ルチアは首をかしげたがその反応がショコラのかんに障ったのか、ショコラは掴みかかり怒鳴った。
「オマエ、まさか洗脳魔法使ったとかしてないだろうな……!」
「あのね、ボクを小間使いとして使ってる奴が何を言うんだい? 少なくともボクは洗脳魔法をかけてはないよ」
「ホントだな?」
「うん」
しばらく見ていたショコラだったが、やがて落ち着き、鑑定魔法で皆を見る。どうやらルチアの言っていたことは正しかったらしく、洗脳されていなかった。この結果にショコラはため息をつき、言った。
「もう、いいよ別にここに住んでも」
「ホントかい!? いや~~嬉しいなぁ~~」
「ただ1つだけ条件がある」
「え? なに?」
「この前のモンスター騒動の騒ぎを町の人から全て消去しろ」
「そんな無茶な……」
「やれ」
「はい」
というわけで、ここの屋敷にまた新たな住民が住むようになった。そして、――
「何とか……終わったけど……魔力切れは……辛い……」
「このポーション飲んだら次の仕事なー」
「ショコラさん、休ませてあげてください……」
が、ショコラのルチアに対するあたりは相変わらずだった。
「なぁ、サフィ洗濯ってどうやるんだ?」
「え、ショコラ様どうしたんです!?」
「……対抗意識だよ」
ショコラもルチアと同じように家事を覚え始めたのだった。
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