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第十三章「天使と悪魔っているんだ」
57.読書すれば騒動にあたる
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ハルはただいま困惑している。それは彼女の目の前で鎖に巻かれている2人もそうなのかもしれない。
ハルはため息をついて、こう呟いた。
「何が、どうして、こうなった?」
――事の起こりは数時間前に遡る。
その日ハルは何の気まぐれか外で読書をしようと思ったのだ。秋もだいぶ濃くなっていたおかげか暑さも和らいでおり、風も気持ちよかった。
ハルは外行ってくると言い、いくらかの本を持って、草原や森から少し離れている湖の方へと来たのだ。
なお、ハルがこの発言をして屋敷内が大騒ぎになったのは別の話である。
湖の近くの木陰に腰掛け、ハルは本を開き、読見始める。今回持ってきた本はマーシャとリリィが忙しい中書いてくれた小説だ。
ハルはそれを楽しそうに読んでいく。
「にしても、2人ともホントに魔法だけじゃ無く、特技や小説の才があるわね~。弟子にしてよかったー」
ハルはそう言いながら、バスケットの中に入ったパンの1つをとって食べる。これはこの前売られ始めたあんパンであり、ハルはよく気に入っていた。
「まぁ、マーシャのはこういう穏やかなところで読むべきじゃ無いと思うけどね……」
ハルはそう言いながら、マーシャが書いた本を置き、続いてリリィの書いた本を読む。
マーシャが書いているのは内容的にかなりダークであり、しかしそれが一部の読者に絶大な人気を誇っていた。
対して、リリィは穏やかでほのぼのとした内容のものであり、ハルとしてはこっちの方が好きである。
そんな感じで穏やかに読書していたハルだったが、ふと目線を対岸の方にやると、2人の少女が来ていた。
1人は吸い込まれるような黒髪の短髪で角が生えており、魔族と思われる少女でもう1人は輝く金髪のロングヘアーで頭の上にわっかがある天使の少女だった。
「あら、何かしら」
ハルは少しの間読書をする手を止め、2人の少女をみていた。
遠くからでも分かるが2人は知り合いだったが、天使と悪魔ということかあまり仲は良くなく、何やら言い合いをしていた。
すると、いきなり魔族と思われる少女の方が黒い弓を取り出し、もう一方の天使と思われる少女も白い弓を取り出して喧嘩を始めたのだ。
普通の人ならばこの光景を見たら即座に逃げるであろうこの場面。
しかし、ハルは全く動じず読書を再開したのだった。
ハルとしてはこちらに被害が無ければまぁ、何でもいいやということで読書を続けていた。
だが、2人の喧嘩はますます凄まじい事になってゆき、とうとう湖の水がいくらか干上がるほどになっていた。
それでもハルは読書を止め無かったが、とうとう2人の攻撃がハルの方に向いてきた。とっさに防御魔法で庇ったものの、危うく本がダメになりそうなのを見てハルはブチ切れた。
「にゃろ、やってくれたな!」
ハルがこの世で最も嫌うのは読書の邪魔。
それをやった2人に対してハルは少しきつめにお灸を据えてやろうと思い、魔法をかけたのだ。
――それが強制契約魔法と言うことも知らずに。
そして、話は冒頭に戻る。
見事に鎖にまかれふて腐れた表情をする2人に対し、ハルはこう言った。
「……とりあえず、うち来る?」
ハルはため息をついて、こう呟いた。
「何が、どうして、こうなった?」
――事の起こりは数時間前に遡る。
その日ハルは何の気まぐれか外で読書をしようと思ったのだ。秋もだいぶ濃くなっていたおかげか暑さも和らいでおり、風も気持ちよかった。
ハルは外行ってくると言い、いくらかの本を持って、草原や森から少し離れている湖の方へと来たのだ。
なお、ハルがこの発言をして屋敷内が大騒ぎになったのは別の話である。
湖の近くの木陰に腰掛け、ハルは本を開き、読見始める。今回持ってきた本はマーシャとリリィが忙しい中書いてくれた小説だ。
ハルはそれを楽しそうに読んでいく。
「にしても、2人ともホントに魔法だけじゃ無く、特技や小説の才があるわね~。弟子にしてよかったー」
ハルはそう言いながら、バスケットの中に入ったパンの1つをとって食べる。これはこの前売られ始めたあんパンであり、ハルはよく気に入っていた。
「まぁ、マーシャのはこういう穏やかなところで読むべきじゃ無いと思うけどね……」
ハルはそう言いながら、マーシャが書いた本を置き、続いてリリィの書いた本を読む。
マーシャが書いているのは内容的にかなりダークであり、しかしそれが一部の読者に絶大な人気を誇っていた。
対して、リリィは穏やかでほのぼのとした内容のものであり、ハルとしてはこっちの方が好きである。
そんな感じで穏やかに読書していたハルだったが、ふと目線を対岸の方にやると、2人の少女が来ていた。
1人は吸い込まれるような黒髪の短髪で角が生えており、魔族と思われる少女でもう1人は輝く金髪のロングヘアーで頭の上にわっかがある天使の少女だった。
「あら、何かしら」
ハルは少しの間読書をする手を止め、2人の少女をみていた。
遠くからでも分かるが2人は知り合いだったが、天使と悪魔ということかあまり仲は良くなく、何やら言い合いをしていた。
すると、いきなり魔族と思われる少女の方が黒い弓を取り出し、もう一方の天使と思われる少女も白い弓を取り出して喧嘩を始めたのだ。
普通の人ならばこの光景を見たら即座に逃げるであろうこの場面。
しかし、ハルは全く動じず読書を再開したのだった。
ハルとしてはこちらに被害が無ければまぁ、何でもいいやということで読書を続けていた。
だが、2人の喧嘩はますます凄まじい事になってゆき、とうとう湖の水がいくらか干上がるほどになっていた。
それでもハルは読書を止め無かったが、とうとう2人の攻撃がハルの方に向いてきた。とっさに防御魔法で庇ったものの、危うく本がダメになりそうなのを見てハルはブチ切れた。
「にゃろ、やってくれたな!」
ハルがこの世で最も嫌うのは読書の邪魔。
それをやった2人に対してハルは少しきつめにお灸を据えてやろうと思い、魔法をかけたのだ。
――それが強制契約魔法と言うことも知らずに。
そして、話は冒頭に戻る。
見事に鎖にまかれふて腐れた表情をする2人に対し、ハルはこう言った。
「……とりあえず、うち来る?」
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