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第一章
美しい変化(16)
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でき上がった料理を、三人で食堂のテーブルまで運んでいく。
「チクワ!」アケルが待ちきれないといった風に、切り株の椅子の上で飛び跳ねた。
「それじゃあ食べようか?」
「食べる!」
サラダに煮物、焼き物に炒め物。まさに竹輪祭だ。こんな素敵で幻想的な大広間の大食堂のど真ん中のテーブルで私はアケルと竹輪料理を食べ始めた。
「わたくし、お詫びとして音楽を奏でさせていただきます」
仮面の男がせめてもの償いにと食堂の奥へと歩いていき、パイプオルガンの前に腰を下ろすと、幻想的な音を奏で始めた。
食堂は大きなワンフロアになっていたが、天井は四つの部位に分けて支えられているようで中央奥に大きな柱が設置されていた。その中央部の柱に添えつけられるように、大きなパイプオルガンが設置されている。パイプは長く伸びて、天井へと通じ、あちらこちらから突き出している。這わせられたパイプの音色はこの食堂の全域を渡って音響を醸すように設計されているようだった。本当、どうなっているのだろう。東京、初台にあるオペラシティみたいな造りだわ。アナログなサラウンドが響き、エコーが掛かるように幻想的に音が紡がれていく。竹輪を食べているのを忘れそうなくらいに、溜め息が出そうな心地好さだ。
いつの間にかその音に引き寄せられるかのように、様々な鳥たちが食堂の木々に留まっていた。鳥たちでさえが囀りを忘れて、パイプオルガンの音色に聴き入っているように思えた。音色が食事に花を咲かせるように、咲いている花々の色合いが映えて感じられる。
鳥をも魅入るこの音色の中、アケルは夢中で竹輪を食べていた。そんなアケルを私はとてもかわいらしく思いながら、その時間がとても充実したものに感じていた。
素直で無邪気なアケルに、一見完璧で人を寄せつけそうにないが、どこかぬけているケルビム。変な組み合わせだけど、なんだかこのふたりといるとすごくリラックスできる。
食事が終わってからもケルビムはパイプオルガンを奏で続けてくれた。この食堂にいる者すべてが、彼の奏でる音色に聴き入っていた。その心地好いパイプオルガンの音色はいつの間にか子守唄のようにこの空間を包み込んでいく。気がつけば、私はアケルを膝の上に乗せたまま、ともに眠りこんでいたようだった。
「チクワ!」アケルが待ちきれないといった風に、切り株の椅子の上で飛び跳ねた。
「それじゃあ食べようか?」
「食べる!」
サラダに煮物、焼き物に炒め物。まさに竹輪祭だ。こんな素敵で幻想的な大広間の大食堂のど真ん中のテーブルで私はアケルと竹輪料理を食べ始めた。
「わたくし、お詫びとして音楽を奏でさせていただきます」
仮面の男がせめてもの償いにと食堂の奥へと歩いていき、パイプオルガンの前に腰を下ろすと、幻想的な音を奏で始めた。
食堂は大きなワンフロアになっていたが、天井は四つの部位に分けて支えられているようで中央奥に大きな柱が設置されていた。その中央部の柱に添えつけられるように、大きなパイプオルガンが設置されている。パイプは長く伸びて、天井へと通じ、あちらこちらから突き出している。這わせられたパイプの音色はこの食堂の全域を渡って音響を醸すように設計されているようだった。本当、どうなっているのだろう。東京、初台にあるオペラシティみたいな造りだわ。アナログなサラウンドが響き、エコーが掛かるように幻想的に音が紡がれていく。竹輪を食べているのを忘れそうなくらいに、溜め息が出そうな心地好さだ。
いつの間にかその音に引き寄せられるかのように、様々な鳥たちが食堂の木々に留まっていた。鳥たちでさえが囀りを忘れて、パイプオルガンの音色に聴き入っているように思えた。音色が食事に花を咲かせるように、咲いている花々の色合いが映えて感じられる。
鳥をも魅入るこの音色の中、アケルは夢中で竹輪を食べていた。そんなアケルを私はとてもかわいらしく思いながら、その時間がとても充実したものに感じていた。
素直で無邪気なアケルに、一見完璧で人を寄せつけそうにないが、どこかぬけているケルビム。変な組み合わせだけど、なんだかこのふたりといるとすごくリラックスできる。
食事が終わってからもケルビムはパイプオルガンを奏で続けてくれた。この食堂にいる者すべてが、彼の奏でる音色に聴き入っていた。その心地好いパイプオルガンの音色はいつの間にか子守唄のようにこの空間を包み込んでいく。気がつけば、私はアケルを膝の上に乗せたまま、ともに眠りこんでいたようだった。
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