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⑪初めての−1(R−18)
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呆然とした信乃に慶太郎が口付けた。
くちゅ、と濡れた音にハッとしたように信乃が慌てて首を捻って唇を離す。
「お前、何を考えてんだよ!? 相手を間違えてるんじゃないか? 俺は男で、いい年をしたおっさんで、鬼の血が混じっているって言われてて――」
「信乃さんでしょう。俺の目の前にいるのは、俺がずっと見てきた信乃さんです」
じっとりと肌蹴た胸を見詰められて信乃の頬がサッと色付いた。
普通の日本人とは違う、陰性植物のように蒼白い肌に体毛の薄い身体。そんなものを太陽のように明るい青年に見られたくなかった。
「見るなっ! 俺を……見るな。俺は、見世物なんかじゃない……」
必死に顔を背けながら泣きそうな声で言った信乃に、慶太郎は躊躇いなく手を伸ばした。
指先でなだらかな胸の線を辿り、そのまま撫で下ろしていく。
「やっ……」
「あなたが見世物? まさか。誰にも見せるつもりはない。俺だけが見て、触れて……味わうんだ」
かり、と指先に引っ掛かった胸の尖りを引っ掻かれてぴくんと信乃の身体が跳ねた。カリカリ、カリカリとしつこく引っ掻かれてむず痒さに耐えていたら乳首がぷくりと赤く色付いて立ち上がった。主張するように膨らんだ実を、慶太郎がそっと口に含んだ。
「ばっ、何を……!?」
信乃が見下ろす視線の先で、慶太郎は濃い睫毛を伏せて熱心にそこを舐った。
舌で乳輪を丸くなぞり、ヒルのように吸い付いて、乳首を舌先で突っついては転がして刺激した。
「やっ、止めろ、そんな事……」
「された事はない?」
「当たり前だろう!」
「良かった。されてたら、酷くしてしまうところだった」
低く淡々とした喋り方で言われて信乃の背筋がゾッとした。
何がどうしてこうなったのか分からないが、どうやら慶太郎は本気で自分を抱くつもりらしい。いやここまでされてつもりもらしいも無いのだが。
「あなたはいつも無防備だから……肌蹴た着物から覗く足や剥き出しになった腕に、何度劣情をそそられた事か」
べろり、と腕の裏側を舐められてゾクゾクとしたものが信乃の身体を奔った。
そんなところは誰にも触れられた事が無い。
信乃だって一応は女性との経験があったし、若い頃には悪所通いもした。けれど情の通わぬそれは何処か虚しく、熱情とは程遠いものだった。
「この冷たそうな皮膚の下に、熱い血が流れていると知りたかった。触れて、口付けて、色付く様を見たかった」
腕を脇に向かってゆっくりと撫で下ろし、その後を口付けで辿る慶太郎を何とか引き剥がしたい。けれど身を捩る事しか信乃には出来ない。
小さな口付けと濡れた舌がゆっくりと肌を這い、チクリとした痛みと共に幾つもの紅が刻まれていく。
「あっ……」
(畜生、そんなものを俺に残すな)
信乃は刻印と共に肌が塗り替えられていくようで胸がチリチリとした。
「慶太郎、よすんだ」
信乃は声を抑えて努めて冷静に言う。
しかしもっと冷静な、揺らぎの無い声で慶太郎がきっぱりと断った。
「無理です。もう引き返せはしません」
「なんで、そんなに……」
信乃にはどうしても信じられない。女性など幾らでも選び放題だろう慶太郎が、自分にこんなに執着するだなんて。
「あの人には渡さない。あなたを誰にも――渡さない」
真っ直ぐに見詰めてきた目の光の強さに信乃は怯んだ。
(慶太郎は本気だ。本気で俺を自分のものにしようとしている。奪って、中に入ろうと――)
信乃は自分の考えた事にギクリとした。
(中に入る? 他人が俺の中に入る?)
冗談じゃない、と信乃は思う。慶太郎に憧れてはいたが、見ているだけで良かったのだ。
自分から寄って行く気はあっても、向こうから来られる事は考えもしなかった。
そもそもそんな事は起こりえないと思っていたし、こうして侵食されそうになってもやはり逃げる事しか考えられない。
「俺は誰も受け入れないよ」
「俺もそう思っていました」
眉を僅かに寄せた慶太郎の表情が悲しそうにも辛そうにも見え、信乃は何だか悪い事をしている気分になった。
くちゅ、と濡れた音にハッとしたように信乃が慌てて首を捻って唇を離す。
「お前、何を考えてんだよ!? 相手を間違えてるんじゃないか? 俺は男で、いい年をしたおっさんで、鬼の血が混じっているって言われてて――」
「信乃さんでしょう。俺の目の前にいるのは、俺がずっと見てきた信乃さんです」
じっとりと肌蹴た胸を見詰められて信乃の頬がサッと色付いた。
普通の日本人とは違う、陰性植物のように蒼白い肌に体毛の薄い身体。そんなものを太陽のように明るい青年に見られたくなかった。
「見るなっ! 俺を……見るな。俺は、見世物なんかじゃない……」
必死に顔を背けながら泣きそうな声で言った信乃に、慶太郎は躊躇いなく手を伸ばした。
指先でなだらかな胸の線を辿り、そのまま撫で下ろしていく。
「やっ……」
「あなたが見世物? まさか。誰にも見せるつもりはない。俺だけが見て、触れて……味わうんだ」
かり、と指先に引っ掛かった胸の尖りを引っ掻かれてぴくんと信乃の身体が跳ねた。カリカリ、カリカリとしつこく引っ掻かれてむず痒さに耐えていたら乳首がぷくりと赤く色付いて立ち上がった。主張するように膨らんだ実を、慶太郎がそっと口に含んだ。
「ばっ、何を……!?」
信乃が見下ろす視線の先で、慶太郎は濃い睫毛を伏せて熱心にそこを舐った。
舌で乳輪を丸くなぞり、ヒルのように吸い付いて、乳首を舌先で突っついては転がして刺激した。
「やっ、止めろ、そんな事……」
「された事はない?」
「当たり前だろう!」
「良かった。されてたら、酷くしてしまうところだった」
低く淡々とした喋り方で言われて信乃の背筋がゾッとした。
何がどうしてこうなったのか分からないが、どうやら慶太郎は本気で自分を抱くつもりらしい。いやここまでされてつもりもらしいも無いのだが。
「あなたはいつも無防備だから……肌蹴た着物から覗く足や剥き出しになった腕に、何度劣情をそそられた事か」
べろり、と腕の裏側を舐められてゾクゾクとしたものが信乃の身体を奔った。
そんなところは誰にも触れられた事が無い。
信乃だって一応は女性との経験があったし、若い頃には悪所通いもした。けれど情の通わぬそれは何処か虚しく、熱情とは程遠いものだった。
「この冷たそうな皮膚の下に、熱い血が流れていると知りたかった。触れて、口付けて、色付く様を見たかった」
腕を脇に向かってゆっくりと撫で下ろし、その後を口付けで辿る慶太郎を何とか引き剥がしたい。けれど身を捩る事しか信乃には出来ない。
小さな口付けと濡れた舌がゆっくりと肌を這い、チクリとした痛みと共に幾つもの紅が刻まれていく。
「あっ……」
(畜生、そんなものを俺に残すな)
信乃は刻印と共に肌が塗り替えられていくようで胸がチリチリとした。
「慶太郎、よすんだ」
信乃は声を抑えて努めて冷静に言う。
しかしもっと冷静な、揺らぎの無い声で慶太郎がきっぱりと断った。
「無理です。もう引き返せはしません」
「なんで、そんなに……」
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「あの人には渡さない。あなたを誰にも――渡さない」
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