流星の棲み家で

桜井凪

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四話②

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 ネットサーフィンをしながら水を約500mlくらい飲んで、やっとのぼせから回復してきた俺は性懲りも無く冷蔵庫から缶ビールを取り出して喉を鳴らした。
 ネットを見ていても、別に何かが頭に入ってくるわけじゃない。なんとなく、本当にただなんとなく、この夜の暇を潰していたかっただけだ。頭も体も疲れているのに、全然眠りにつこうと思えないこの時間を、本当に持て余していた。
 動画投稿サイトでヒーリングのケルト音楽を見つけた俺は、ヘッドホンをしてそのまま目を瞑った。別に今日くらいいいか。ゲーミングチェアで寝ちゃっても。それくらいの贅沢はきっと許されるはずだ。だって今日、俺はめちゃくちゃ混乱していたのだから。


 そんなことを考えていたら電話が鳴った。スマホとPCは連動しているので、ヘッドホンから着信音がダイレクトに響いて、癒しの時間が台無しだ。腹立たしく思いながら表示されている名前を見ると『間宮』とある。
 普段ならこのまま無視してやるところだが、俺の苛立ちは結構なものだった。一言物申してやろうという、凶暴な気持ちで通話ボタンを押し、「てめぇ、時間考えて電話してこいや。どうせ大したことない要件だよな?ふざけんじゃねぇぞ」と、向こうの第一声を聞く前に罵詈雑言を浴びせてやった。
 流れるような罵倒にこちらはスッキリしたので、行儀良く向こうの返答を待ってやることにして、缶ビールを一口煽ると向こうから『えぇと、ごめんね?』と、間宮ではない声が聞こえてきた。そして、その声の向こう側から「えっ、詠兎に何言われたんすか!!?」という間宮の声が聞こえてくる。
 一気に血の気が失せていくのがわかった。
 「ごめんね?」と言うその声が、紛れもなく瑞稀みずきの、吉名よしな先輩の声だとわかってしまったからだ。
 すぐに受話口を変わったらしく、慌てた様子の間宮の声になった。

 『お前、瑞稀さんに何言ったんだよ?』と聞かれ、「いや、割といつもお前に言ってるようなテンションのやつ」と答えたら、深めのため息が聞こえてきた。

 『馬鹿だなぁ』

 反論も出来なくて黙ることにした。

 『今回の企画のお礼が言えなかったからって、瑞稀さんが電話したいって言ってくれたんだよ』

 「え、てか。まだ一緒にいんの?」

 相手が間宮なら、話をぶった斬る無礼もなんとも思わない。しかし、その後の言葉で今年度最大の反省をするのだった。

 『いや、撮影の後は打ち上げがあるって言っただろ。なんで帰ってんだよ、馬鹿野郎』


 瞬間、脳裏に『打ち上げのお知らせ』というタイトルのメールの文面が浮かんでくる。
 ご贔屓の企業さま直々の使命モデルが参加する打ち上げに、デザインの責任者がいないのはどう考えても構図的におかしいだろ…っ!!!
 思わず、自己ツッコミをしてしまう始末である。

 「ごめん…まじごめんんんん」


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