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ラブホへ
しおりを挟む夏休みになり、那由多も18歳になった。
毎年、京は那由多に文具をプレゼントしていたが、今年はそれ以外のプレゼントも用意していた。
それは、京自身。
家で、那由多の誕生日を祝った翌日決行する。
「お母さん、明日鈴達と、N駅行ってくる。朝から行くから、仕事行く前にいつもの駅迄乗せてって欲しいんだ。」
「何だ、お前も出掛けるのか、京。母さん、俺も一緒に乗せてってよ。学校の友達の洋輔と映画行く約束してるんだ。」
勿論、これは口実。
このままデートをし、那由多と京の初体験を済ます予定だった。
アリバイ工作もしてある。
那由多は映画に行く事で、スマホの電源を切り、京は友達の鈴にスマホを預け、何かあったら、鈴から那由多に連絡が入るようにしてあった。
京のスマホにはGPSが設定してあるからだった。
それは勿論、両親が京の外見でナンパが絶えず、心配されての事。
「ごめんね、鈴。電話掛かってきてもスルーしていいからね。」
「分かってるよ、楽しんできてね。」
「また後でね~。」
鈴にスマホを預け、待ち合わせ時間を決めて別れた京。
その様子を見守り、那由多もスマホの画面の時間を見て、アラームをセットした。
「お待たせ、那由多。何処に行く?16時集合にしたけど、今9時過ぎだから………。」
「本当に映画行くか?それから飯食って………だな。」
「う、うん。」
「何か観たいのあるか?」
スマホで映画上映予定を調べ、京と一緒に見る那由多。
「………あ、これ観たかった!」
「あぁ、言ってたな……時間も間に合いそうな映画館も近いし、これ観るか。」
「じゃ、コレな。………ほら。」
スマホをポケットに仕舞い、京に手を差し伸べた那由多。
指を絡め、寄り添って歩き、映画を楽しんだ。
食事も映画館の近くのカフェで済まし、本題の初体験へ……。
「この近くに意外とラブホ多いんだな。」
「へ、へぇ~。」
「………緊張すんなよ、俺も伝染るよ。」
「だ、だって分かんないもん。」
「…………ここでいいか?」
「…………う、うん。」
今の所、家から連絡は無い。
このまま無事でいられるか、と那由多も緊張感が凄いが、それを京に伝えてはいけない。
レシートを取り、那由多は席を立つ。
「行こう、京。」
「………うん。」
ラブホに着き、部屋を京に選ばせる那由多。
少しでも、京が気に入る部屋にしたかった。
選んだ部屋に入り、初めてのラブホの室内を見て浮足立つ京。
「京、シャワー浴びてくる。出てきたらお前も浴びろよ?汗かいてるだろ?」
「………う、うん。」
「ボディーソープやシャンプー使うなよ、家と違うの使って帰ったらニオイでバレるかもしれないから。」
那由多も初めて入る割には、何処で情報を仕入れたのか、慎重に行動している。
京も、そんな那由多を見て自分を見習わなければならない、と思うのだった。
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