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番外編【トーマス邸】
しおりを挟むその夜、リュカリオンとタイタスと共に、ウィンストン公爵とセシルから説教を受けたトーマスが、邸に戻って来た。
「とんでもない日だった………まさかこの歳になって、説教食らうとは……。」
トーマスは媚薬がある程度どういう物かを知っていて、リュカリオンの話に乗ったのだ。
自分でも持っているが、塗る媚薬を持ってはいるが、使った事はまだ無い。
飲む媚薬もあるのも知ってはいたが、レングストンでは薬の類は全てウィンストン公爵家が管理しており、トーマスが持つ媚薬はトリスタンから仕入れた物だった。
タイタスの事を聞き、手に入れたいと思っていた所、リュカリオンも欲しいと思っていたと知り、タイタスを捕まえて、話をしていた所に、何故かウィンストン公爵とセシルにバレていた。
「カイルではない、て言ってたな………何か含み的な言い方ではあったが………。」
カイルも妹大事な男の1人、いくら親友が望む物だろうと、妹が関わる事が何よりも優先なのだ。
リュカリオンが媚薬を手に入れ使われ、抱き潰されてはかわいそうだ、と思う兄の思いやりである。
リュカリオンが朝ご機嫌な様子になると、ナターシャは眠そうで、うっ血痕が増え腰に手を当てマッサージ等していたら、自ずと分かってしまう為、皇子兄弟達は絶倫だ、という結論をウィンストン公爵家男達は察知した。
特に、第二子アスランが妊娠する前等、酷い有様だったのは言うまでもない。
世継ぎが出来たのだから、もうほどほどにして欲しい、というのが本音なのだ。
「ただいま。」
「あ、お帰り、トーマス。」
「イアンとアロンは?もう寝た?」
「うん、もう夜中だし。」
「ラメイラは起きて待ってたんだ。」
お帰りのハグをすると、トーマスはラメイラにキスをしようとするが、ラメイラは引き離す。
「ラメイラ?」
「…………トーマス……私に何か隠してるよな?」
「隠してる事?何だろ………。」
トーマスは疲れ過ぎて、頭が回らない様子。
「トーマス、好きだよなぁ、道具とか、サディスティクな事。」
「………そりゃ、まぁ………………ん?」
トーマスの頭が回り始める。
そして、また顔が蒼白になっていく。
「思い出した?隠し事。」
「…………いやぁ……その……どんな物かな、と興味が沸いて………。」
「で?自分で試したかった訳だ。」
「え?試したかったのはラメイラに…………げっ!」
「…………へぇ………私に……飲んで如何なるか見たかった、と………。」
ラメイラは仁王立ちをし、腰に手を当てている。
「いや!もうあれは諦めたから!」
「諦めた?」
「宰相とセシルにバレたんだ!だから、入手は出来ないと思う!」
「……………あ、じゃあ、ナターシャが止めたんだ。」
「ナターシャ?何でナターシャが出て来る?」
「だって、ナターシャがリュカの様子見て、まさか媚薬を取り寄せようとしてるんじゃないか、てアニースが言ってたんだ。それでセリナとライアに宰相へ報告行ったんだと思う。」
「……………兄上……隠しきれなかったのか……。」
「それもあるけど、出処はカイルだってさ。」
「!!………カイルかぁ!!」
トーマスが親友に裏切られた事にショックを受ける。
考えれば納得するトーマスだが、やはり腹立たしい様子。
「仕方ないよね、トーマスが絶倫なのは知ってたけど、ナターシャから聞けばリュカもだと言うし、今日もアニースから媚薬を飲まされたタイタスとの閨も絶倫過ぎて、アニースはセシルから、体力回復と筋肉痛の薬茶を何度も作ってもらった、て言うし………夜通しで朝までなんて、私らには無理なんだよ。体力持たないから、断固として拒否するね!」
「………ぜ、絶倫………なのか?俺………。」
「うん、そう思うよ?侍女達にも聞いたもん。大体1回から2回が大半。トーマスそれじゃ足りないじゃない。」
「……………い、いや……それは……ラメイラを抱きたいからであって……。」
「うん、それは分かってるよ。でも朝から公務があったりすると、本当にキツイんだって!だから、絶対にトーマスに飲ませたら、私抱き潰されて起きれなくなるし、私が飲んだとしても同じようになるなら、飲みたくないんで、取り寄せなんてしないでね!」
「……………興味は………?」
「無い!!………返事は?」
「………分かった……。」
「………じゃ、おやすみ!!」
パタン。
ラメイラはトーマスを置いて寝室に入って行った。
トーマスは1人寂しく、リビングに置いて行かれたのである。
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