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「さて、お前に仕事を教えながら、説明してやろう………光月も待ちきれないようだしな」
「やった!俺乳だよね!?」
「な、何を………」

 光月からと言われ、急に身体を強張らせた蝶子。逃げようとベッドから降りれるかと試みる。

 ジャラッ!

「うっ!」
「ほらほら、逃げないの」
「!!…………くる……し……」
「新月」
「はいはい……ちょっと身体触るよ~」

 首輪に繋がる鎖を新月に引っ張られ、新月が蝶子の身体を元の位置に戻された。そして、脇腹から肩へと羽交い締めされる。新月の上半身の肌が、蝶子の背中に触れた。

「さ、触らないで!!」
「首締まっちゃうからねぇ……動くと………死ぬよ?…………クククッ」
「!!………この様な仕打ち、死んだ方がマシです!!」
「なら、舌でも咬んで死んじゃう?」

 満月の声がとてもこの状況を楽しんでいる様子。

「満月、蝶子が死んだら困るんだ……自害しない様に口枷してもいいがな……」
「そうしたら、月夜の仕事なくなっちゃうよ?」
「構わん………蝶子の仕上げが出来てからでも充分間に合う………その頃には蝶子も従順になってるだろうしな」
「三日月、口枷取って………蝶子に着けるから」

 背後から蝶子を抱き締めている新月が三日月に頼む。

「これでいいか?」
「あぁ、これなら声も出しやすい」

 新月により、蝶子の口を開けさせられる。

「んぐっ……や……めっ………!!」

 口の中に丸い物が詰め込まれ、玉かと思いきや完全に玉ではなく、空気が蝶子の口の中には入るので、呼吸は出来る。だが、口は閉じられず、唾液が飲み込めなかった。

「蝶子、このまま聞け」
「……………」

 蝶子は月夜の声に耳を傾ける。

「高蔵寺家の破産により、お前にを斡旋したのは、我々の主人だ」
「……………」

 コク、と頷く蝶子。紹介してくれた親族の知り合いの家だと聞いている。働いた事の無い蝶子が、働ける様な職場等無きに等しい。何でも、家のメイド達が蝶子の世話をしていたからだ。料理も出来なければ、掃除もした事もない蝶子が、メイドで良ければ、と雇いたいと言う家があると聞き、それだけでも有り難い事この上ないのだ。

「お前のは、主人の身の回り…………特に、夜伽の相手…………」
「んんっ!!」

 蝶子は聞いてない。反抗的な事を言おうとしたのは明らかだが、月夜は続ける。

「主人が命令すれば、主人以外のが待っている………主人以外の子が孕まぬ様に、客との接待中は我々の監視下での夜伽………お前は常に我々と共に過ごしながら、男を喜ばせる身体になる事が仕事だ…………簡単だろう?仕事もした事のない元華族令嬢だ……露頭に迷ってその辺の貧乏達の相手をする娼館で働くより、金持ちの相手だ………お前が金持ち1人相手をする度に、高蔵寺家に金を落としてやる、と主人からの温情付だ」
「んんんんんっ!!」

 何がと言うのか、蝶子ば聞けば聞く程、抗議をしている様だった。

「蝶子が何言ってるか分からないよ?月夜」

 よだれを垂らし訴える蝶子だが、誰も何を言ってるか分からない。光月が月夜に物言うが、月夜には関係ないらしい。

「放っておけ………どうせ、嫌だと言うだけだ、自害されては堪らん………自害されたら、主人から咎められるのは俺達だ」
「確かに………罰や給料減ったら困るもんね」
「そうそう…………私達は、この子を最上級の情婦にさせるのが仕事。この子は情婦になる事が仕事だからねぇ…………あぁ、綺麗な肌だ………更に磨きを掛けてあげなきゃねぇ……ふふふ……」

 光月と満月の声もする。

「あぁあ………こんなによだれ垂らして……口は月夜の仕事だけど、口に手を出さなきゃいいよね?」
「!!」

 新月が蝶子の顎を持ち、横に向けさせると、顎から舌で唾液を舐める。

「びっくりするかい?………目隠しされてるから突然触れられる事は予測し辛いだろ?いつまでもこの状態にはしないから安心しなよ」
「そうそう………突然、こんな事しても怒って抵抗しない様に、調教するから」

 光月が胸の両蕾を摘み上げる。

「んんっ!!」
「まだ摘み難いから、いっぱい弄ってあげなきゃね」
「ふふふ…………私は足よ~……太腿ギリギリ迄、感度良く仕上げてあげる」
「俺は腕と背中と尻だ………ツボを刺激すると、より絶頂を呼ぶ……」

 満月は、足を、三日月は腕と背中と尻、光月は胸と言うが、蝶子はどれも嫌だ。口枷を外そうにも、口枷を嵌められた時点で、誰かに握られているのだ。

「俺は耳と首ね………耳も性感帯だから……」
「!!」

 新月の声は色気のある声で、ゾクっと蝶子は身体を跳ねさせた。
 蝶子は我慢ならず、首を振り自分の舌で口枷を外そうと藻掻く。

「抵抗しようとするんじゃない」
「んぐっ!!」

 誰かの指が蝶子の口に入る。

「舌は動かせる筈だ………お前は俺の指を舐めて想像しろ…………男の………主人の杭を舐めて喜ばせる練習だ」
「月夜、杭って言って分かるか?まだ蝶子は未通だろ?」
「…………そうだったな……蝶子、夜伽では子種を貰う時、女の下の孔から男の股にある肉棒が入る………その棒を舐めるのは夜伽では当たり前だ」
「知ってるよねぇ?流石に」

 だが、見る見る内に蝶子は顔を青褪める。華族令嬢として女学校に通い、教師から教えられた夜伽の勉強と言えば、『雌しべに雄しべが入る』ぐらいで後は『夫に全て委ねよ、嫌がらず痛みに耐えよ』という程度。男の杭という物が『雄しべ』なら『舐める』等との行為は教わってないのだ。

「んんんんんんっ!!」

 蝶子は首を振って月夜の指から逃れた。



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