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事故後

憂鬱のお茶会

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 王宮へ着いたロゼッタ。案内された庭へ行くと王太子妃の招待された令嬢や夫人が既に居る。空席は1席しかない。時間前に到着したのだが、既に始まっていた様で、ロゼッタはと思った。歓迎等されていない。これはだと。

「失礼致します。リヴァブルー侯爵がお見えになりました」
「…………あら?やっとご到着?遅れていらっしゃるならご連絡頂ければ宜しかったのに」

 クスクスと王太子妃の一声で笑いが漏れる。こういう嫌がらせはロゼッタは馴れていない。だが、泣いて帰る訳にはいかない。おそらく、を作った原因はサブリナなのだから、姉として責任を取らなければならない、と。

「初めてお目に掛かります。ロゼッタ・リヴァブルー侯爵でございます。何やら会場を間違えたかと………招待状にはこの時間から、と記載があるものですから、この時間に伺ったのです。もしかして、今のお茶会が押して
にまたお茶会が開かれるのでしたら、私は庭を眺めております」

 わざと、招待状をバックから出し、時計と見比べ、開始時間と時計を晒す。嫌がらせには応じない。話があるなら話す、という意気込みだ。その威圧に、他の招待客は王太子妃を冷や汗を流しながら目線を送る。

「………始まったばかりですわ、どうぞお掛けになって」
「失礼致します、王太子妃殿下、皆様」

 ロゼッタが椅子に座ると、ロゼッタには聞こえない様にひそひそ話が始まる。だが、その空気を王太子妃は変えた。

「リヴァブルー侯爵は離婚されたばかり、とか?大変でしたわね、妹も貴女も男漁りが………何でも既にご婚約された、とか?」
「…………はい。と婚約中に知り合った方とこの度婚約を………は父が私の意見を聞かず、勝手に婚約者にし、遺言書にのっとって結婚した迄の事………3年も結婚しておけば、面目も立ちますから、離婚したのです」
「それでも、男漁りは妹も然ることながら、姉の貴女も相当ではないかしら?……リヴァブルーの美人姉妹の評判は、王都にも耳に届きましたから、ねぇ皆様?」

 クスクスとまた笑いが起こる。領地に来る観光客は、領主姉妹の評判も耳にし、見に来る場合もあった。男達が好評価の太鼓判を押せば、女達は悪評を流す図式だったのだと分かる。だからこそ、サブリナが王都でどれだけ頑張っても女達からのレッテルを貼られ、サブリナはそれに応じてしまったようだ。

「評判は嬉しい事です。領地の魚を食べて頂ける場が悪評でも評判でも興味が持たれますもの………風評被害にあってないだけマシですわ……私は領主として誇りに思います。サブリナは今はもう戻りませんが、王都で働く前迄は、男性経験もありませんでしたし、私の後を控え目に歩く子でした。変わってしまった事は残念ですし、今更取り繕えと言われても、もう出来ません。男漁りと申しますが、と言うものもございます……性格、価値観、身体……私はとは全て合いませんでした。だから婚約し、結婚したのです………私には父の言葉が絶対で、妹から言わせればなのだそうです………反抗もせず、ただ領主の父の手伝いをし、自分も領地を繁栄させよう、妹を幸せにしてくれる人を探す為に、王都へ行かせよう、と。リヴァブルーの知名度を掲げ、妹の美しさを見れば必ず
いい男性とめぐり逢い侯爵より上の地位の方に見初めて欲しいと思ってました。でも、女性方は違いますのね………妹の本質を見る事なく毛嫌いし、悪評を鵜呑みにされ、傷付いた妹はをしてしまった。サブリナは弱かったのです。私が庇い過ぎました………ですから、王太子殿下や王太子妃殿下にご迷惑をお掛けした事を、この場を借り、謝罪したいと思います…………女ですもの……嫉妬心はありますわ……妹は手当り次第漁ったのだと思います………ですが、サブリナは罰せられました。ですから、もうこの話はここだけに留めていただけませんか?私がサブリナの様な女かどうかは、これから見ていて頂ければ良いのです……私は愛している方が居りますし、その方から愛して頂いておりますから、浮気や離婚はしませんわ」

 ざわめきが起こる。サブリナのした事を正当化しようとは思っていないが、図式を述べただけのロゼッタ。無言が続く。頭を王太子妃に下げたままのロゼッタは、無言が続くので、頭を上げれない。すると、ため息が何処からか漏れる。

「頭をお上げになって、リヴァブルー侯爵……いえ、ロゼッタ様……貴女がサブリナの様な人だったら、サブリナの代わりに詰ってたでしょうね………皆様……彼女がサブリナと違う事がお分かり頂けた?………もう悪評を流すのはお止めなさい」
「王太子妃殿下!私は夫を寝取られたんですよ!」
「私も!」
「でも、罪を償っているでしょう?………私はサブリナだけのせいだとは思っていないの………夫に見向きされなくなった原因は自分にもある、とサブリナで気付いたから……」
「でも!!」
「………だから、ロゼッタ様に詰って気が済むの?」
「……………」
「………では、もうお茶会は解散……今後また
噂が流れたら、今後王太子妃主催のお茶会は招待しませんから」

 解散になり、ロゼッタも帰ろうとすると、ロゼッタだけ王太子妃から声が掛かる。

「もう少し、お時間頂ける?」
「……………はい、大丈夫です」

 場所を変え、王太子妃に案内されたガゼボに促された。




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