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第37話 店員のサルのものまねと豚の鳴き声に皇太子殿下はご満悦だったが…
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レストランの前に恐ろしく派手な色彩の贅沢を極めた馬車が止まりました。
質素な馬車に乗っていた付き添い人が馬車から降りると足早に歩いて豪華な馬車のドアを開けると中からはアンドレ殿下にドミニク辺境伯が姿を見せる。
「いい店だろ。僕はここをけっこう気に入ってるんだ」
「素晴らしい外観ですな」
アンドレ殿下が圧倒的なドヤ顔で言うとドミニク辺境伯は店の印象を口にした。これから店に入ろうとした時に店の授業員達が店の前に現れお出迎えをしてきた。
「ようこそお越しくださいました」
「うむ。今日の食事は楽しみにしているぞ」
「必ずやご満足できるお料理をお約束いたします」
支配人は頭を下げて挨拶すると上機嫌なアンドレ殿下も満足そうに顔をほころばせる。ここのレストランの料理は評判で舌が肥えている貴族階級に贅沢三昧に暮らす富裕層にも認められている。
まず付き添い人の数人が店内に入った。アンドレ殿下が座るテーブルの下調べをする。店の中を隅々まで見て回り話し合いが終わると再び馬車に戻ってきます。
「殿下、安全確認をいたしました。問題ございません」
「お前達ご苦労だったな」
付き添い人に労をねぎらうアンドレ殿下は護衛を引き連れて店の中に入る。高級そうな柔らかいソファに座るとアンドレ殿下の後ろには護衛が二人立つ。
それから店内に入っていく支配人に従業員達。付き添い人が店の中を調べている時にも寒くてもずっと外で黙って立っていました。
正直言うと店の中に入って他の客の対応もしたかったのですが、皇太子殿下を放置してこの場を離れることはできないとじっと我慢していたのです。
店の中で食事をしていた人達は好奇心に溢れた目でアンドレ殿下を見て、一緒のテーブルにいる相手とささやき声で会話する。
「あれが皇太子殿下か」
「モテなそう…」
「小さくて体型が太いね」
「僕のほうが数倍いい男だな」
「どう思う君は?」
「でもお金持ちだから愛人にはなりたいかな?結婚は無理だけど…」
「私は結婚したいわ。一生贅沢できるんだから」
「そうよね…多少醜くても目をつぶるわ」
「いや、私は好きな人と結婚したい。愛のない結婚はダメかな」
生まれながらに貴族という運命を掴んで恵まれている者にどこぞの綺麗な令嬢達も思い思いに言いたいことをしゃべる。大勢の人々が好き勝手にアンドレ殿下を批評していた。
その声は蚊の鳴くような小さい声なのでアンドレ殿下の耳には届いていなかった。もし届いていればただでは済まなかっただろう。
皇太子殿下が厳しい処罰を下せば貴族であろうとひとたまりもないので小声で会話を楽しむ。
「やはりうまいな」
「そうでございますな。いやあ、大変美味です」
「これも美味しいから食べてみろ」
「おお、素晴らしいですな。舌がとろけますな」
美食を堪能するアンドレ殿下とドミニク辺境伯は居心地のいい場所をみつけた外で暮らしていた動物のような心境で食事の美味しさに体中がほぐれるような喜びを感じていた。
「食事を、お、お持ちい、いたし…ました」
ひどく緊張して足がすくんでしまうような身も縮む思いで料理を運んできたのは新人ウェイターのマイケルです。
皇太子殿下に辺境伯という王族に上位貴族に粗相のないようにすることを支配人から耳にタコができる程言われ義務付けられている。単なる間違いであった場合でもひどく面倒なことになるからです。
自分のような小さな存在は皇太子殿下にひと睨みされるだけで、虫ケラのように吹き飛ぶのは頭で分かっているのでプレッシャーを感じている。
怖くて気が狂いそうなマイケルはこの場から逃げ出したかった。なぜ新人の自分が皇太子殿下の席に料理を運ばなくてはならないのかと。
結局のところ、皇太子殿下にビビったホール担当の先輩に頼み込まれて役目を押し付けられて仕方ないと引き受けた。
「なんだお前緊張しているのか?」
「は、はい!申し訳ありませんで…ご、ございまする」
「別に謝ることではないだろう」
「そうですな。今日の殿下は大変気持ちが良くて心が舞い上がっておられるのだぞ」
「そ、それは自分も嬉しいで喜ばしく思いますでございます!」
「はははは…そうかお前も喜んでくれるか。だがかしこまった丁寧な言葉が苦手なようだな」
「す、すみませんでありまっす!」
「まあそう緊張するな。普通に話していいぞ。今日は気分がいいからな」
「は、はい!」
「ところでお前はなんという名前だ?」
「マイケルと言います!」
「マイケルか…それなら何か僕を愉快にさせる芸をしてみろ」
頭が痛いほど緊張して唇が震えるマイケルは慣れない言葉でアンドレ殿下に喜びを示すが舌が滑らかに動かない。
それでも機嫌がいいアンドレ殿下は微笑を浮かべる。店員のマイケルが気に入って楽しませて見せろと言うのです。
そう言われてもマイケルには特技がなかった。すぐにアンドレ殿下を喜ばせることを思いつかない。
だが、ハッと頭に閃く。自分は昔ながらの仲の良い友人達に会った時にはいつもサルと豚のものまねをして喜ばせている。それを見た友人達も声を出して笑ってくれて我慢してる友人も耐え切れずに最後には笑みが浮かべる。
「これはいいな。ははは…マイケルは動物のものまねがうまいな」
「ずいぶんと楽しませくれる店員ですな。実におもしろい」
マイケルはサルのものまねをして豚の鳴き声を繰り返しアンドレ殿下とドミニク辺境伯の目の前で披露しました。自分よりも遥に偉い二人に喜んでもらってマイケルも誇らしく感じて胸を張ります。
「マイケルちょっと待て」
「は、はい!」
一発芸が終わりアンドレ殿下のテーブルから離れようとした時にマイケルは呼び止められた。どうなるのか?怒られるのか?それとももっと酷いことになるのかと。
この時、自分は調子に乗り過ぎてしまったかな?と思い冷や汗が出て体がかゆくなり始め心が掻きむしられるように焦る。激しい後悔が胸に広がり心臓が痛むマイケル。
「な、なんでしょうか?」
短い時間の間に、これから自分は八つ裂きにされるのかと頭で考えるほど思い悩み後ろを振り返って返事をした。そのマイケルの顔は苦痛そのものだった。
「お前にこの中から一つ宝石をやろう」
アンドレ殿下は羊皮の袋を懐から取り出して袋を逆さにしてテーブルの上に全部出す。
煌びやかな美しい宝石の数々が並ぶ。溶けそうなほどに輝き流氷のように鋭く光るカラフルな宝石たちにマイケルは生唾を飲み込む。
どれも大きさがゴルフボールほどの宝石。それを皇太子殿下は自分に一つくれると言う。
「おいマイケル早く選べ」
「は、はい!」
マイケルはどれでもいいので青白いキラキラ光っている宝石を一つ取りました。自分の生涯稼ぐお金よりも間違いなく価値がありそうな宝石をもらい天にも昇る極上の気持ちです。
「これは僕を愉快にさせてくれた礼だ。遠慮なく受け取れ」
「あ、ありがとうございます!」
マイケルは頭を深々と下げると沸きあがる喜びに身を任せて勝ち誇ったしたり顔で店の奥に急いで戻って行く。
「殿下よろしいのですか?あのような高価な物を…」
「僕は晴れやかな気分だからな…あのくらいのサービスはしてやる」
「殿下がそのようにおっしゃるなら問題ございません」
ドミニク辺境伯も店員に過剰な施しだと言う。やり過ぎなサービス。何しろあの宝石一つで普通の者ならそれなりに贅沢もできてこの世を去る寿命まで人生を過ごせるのだから。
だけどアンドレ殿下は何も動じない。確かにただの店員に軽々しくあげるような物ではないが、店内の雰囲気に美味しい料理に本当に心の底から僕は今幸せだと感じて飛び立つような喜びだった。
マイケルにあげた宝石はアンドレ殿下が現在羊皮の袋に持っている宝石の中で一番価値があった物だった。マイケルはそれを運よく手に掴んだ。実に巡り合わせが最高のウェイターの新人バイト。
「すごいだろう!皇太子殿下にもらったんだぞ!」
店の奥で従業員達にアンドレ殿下に豪華すぎるプレゼントをもらったマイケルは宝石を出して自慢していた。
「マイケルばかりずるいぞ!」
「羨ましい」
「ちょっと触らせろよ」
「なんか奢ってよ」
「私も殿下のところに行って見ようかな」
「これから行こう。私も宝石欲しい!」
自分が皇太子殿下の席に料理を運びたかったと切実にその場にいた全員がしみじみ思う。身体の中に温泉が湧き上がってくる悲しさで天を仰いで悔し泣く者や悔しげにうつむく多数の店員達。
いつもは騒がしく明るく喋っているかわいいウェイトレスの数人が、うつむけないほど悲痛な顔で涙を流し声を少し高くして泣く声が響いていた。
店員達が限りない不満を覚えるのは当然で悔しくて仕方がない気持ちになるのもしょうがない。
マイケルの心の中では運と言われても罵られてもどうでもいい。あんな立派な宝石をもらったのだから。
絶望な不平を感じる店員は無視してこれからの人生はバラ色だとマイケルは飛び上がる。アンドレ殿下の前で披露したサルのものまねをして豚の鳴き声で一人だけ馬鹿騒ぎしていました。
アンドレ殿下は食後のコーヒーを飲みながら、実にいいところだなと思いながら店内を見渡していた。
「ヴィオラ!?」
その時、意表をつかれたように想い人をレストランで発見した。アンドレ殿下は思う。僕は幸運に恵まれていて神様の采配により再び運命の出会いをヴィオラ令嬢としたのだ。
ハイグレードな料理店で貴族も好んで訪問するので、ヴィオラ令嬢が偶然いても何ら不思議ではない。
(でもどうしよう?話しかけたいけど迷う)
本音では、アンドレ殿下は疾風のようにヴィオラ令嬢の元へ行って会話をしたい。しかし最後に会った時は完膚なきまでに嫌われたので勇気がなかった。好きな人に気持ち悪いとまで言われたのだから。
度々ヴィオラ令嬢のことを自分のものとドミニク辺境伯に言っているが、実のところは虚勢を張っているだけだった。勿論そんなことは頭が回るドミニク辺境伯も気づいているが手ごまの立場としては言わない。
(それより僕のヴィオラと楽しそうに食事をしてるのは誰だ?)
恋心を注ぐ好きな人が食事をしている相手が気になった。ヴィオラ令嬢は正面に座っている誰かに心から信頼するような笑顔を向けている。それを目にしたアンドレ殿下は酷く嫉妬します。
(僕の恋愛の対象ヴィオラと食事をしているのは誰なんだ?どこのどいつだ。彼女の笑顔を独り占めにして許さないぞ!)
いても立ってもいられないアンドレ殿下は席を立ちヴィオラ令嬢のテーブルに向かう。
「殿下どうしました?」
いきなり立ち上がったアンドレ殿下にドミニク辺境伯は問いかけますが返事はなく走っていたので既に遠くにいた。
もう少しでヴィオラ令嬢と話している奴の顔が見えるところまで来ていた。
(誰だ?僕が思いを寄せているヴィオラをあんなに笑顔にさせてる奴は誰だ?)
「な…なんで奴が!?」
相手の顔を見て目を見開き呼吸困難を起こしたように心臓が止まりかけるアンドレ殿下の体は震える。ため息をつく余裕さえもなく絶望で顔が干からびる。
一瞬の静寂の後ピアノが鳴り出す。それに驚いたアンドレ殿下は思わず尻もちをついた。
「殿下大丈夫ですか?」
魂を奪われたみたいになり、そのまま護衛に声をかけられるまで動けなかった。
ヴィオラ令嬢の正面に座っていて食事をしていたのはレオナルド令息だったのです。
最初は我が目を疑った。死んだと思っていた人間が生きていたら驚くのも無理もない。
稲妻が頭に落ちたような衝撃で魚のように口を情けなく動かして突然背中に氷を入れられた感覚に精神が壊れそうだった。
(何故だーーーー!どうしてレオナルドは生きているんだ?死んだんじゃなかったのか?どういうことだ?)
アンドレ殿下の頭にできていたヴィオラ令嬢との結婚があっという間に幻想みたいに崩れ落ちて消える。
「おいドミニク!なぜレオナルドが生きてるんだ!」
「は?」
思いがけない質問だったのでドミニク辺境伯はすぐに言葉が出てこない。頬を叩かれたように愕然として自分の耳を疑うほど意外なアンドレ殿下の言葉だった。
「そんなはずはありません…殿下少し休まれてはいかがですか?」
「ふざけるな!」
先ほどアンドレ殿下が倒れたのを見ていたドミニク辺境伯は体調を心配して気遣った言葉ですが逆にひどくキレられます。
「本当にレオナルドが生きていたのですか?」
「ではなぜ僕のヴィオラがレオナルドと楽しそうに食事をしているんだ!」
「それは…私にもわけが分かりません…」
遠くからこの目で確かめたドミニク辺境伯は心臓がつぶれそうで気絶しそうだった。
やはりアンドレ殿下の言った通り冗談ではなく本当にレオナルド令息は生きていた。あの世に旅立ったと思った人間が急に蘇ったような衝撃で魂が揺さぶられる。
「ドミニク!」
「は、はい!」
「レオナルドを始末したとハッキリと僕に報告したよな?」
「確かにそのように伝えました」
「お前には後程、厳しい罰を与えてやるから覚悟しておけ!」
「殿下お許しください…」
突然にハッっと頭をよぎる。その後の自分の人生を左右する問題が持ち構えていたのをドミニク辺境伯は思い出す。
レオナルド令息の暗殺をしくじった自分はアンドレ殿下から罰を与えられる。恐怖に満ちてこわばった顔になり、足を高いところから踏み外したような生死を彷徨い思いで体中に恐怖が走る。
ドミニク辺境伯は生気の抜けた顔で土下座をして必死に許しを願うが、アンドレ殿下の凄まじい形相と眉間のシワをほどくことは決してなかった。
アンドレ殿下の後ろで甘い蜜を吸っていたドミニク辺境伯はこれから苦汁をたっぷりと味わうことになります。
席を立ち入口に向かうアンドレ殿下にマイケルが顔一杯に笑顔を広げながら声をかけてきました。
「もうお帰りですか?」
苦虫を噛みつぶしたような顔でマイケルに気がついたアンドレ殿下は恥も外聞もかなぐり捨てて言い放つ。もう気持ちいい気分がどこか遠くへ煙のように吹き飛んで消えている。
「お前!さっきやった僕の宝石を返すんだ!」
「え……!?」
「ほら早く出せ!」
「……」
「ボケッとするな!宝石を返さないとお前を処刑にするぞ!」
「は、はいどうぞ。お返しいたします!」
マイケルは意味がわからない。なんで皇太子殿下はこんなこと言うんだ?
つい先ほどまで嬉しそうに愉快な顔つきで声を弾ませて自分のサルのものまねや豚の鳴き声であんなに笑顔だったのに。
アンドレ殿下に心から親近感と温かさを感じていたマイケルは何も考えられずに立ち尽くしていた。
そしたら宝石を返さないと処刑すると言われたので慌てて懐から宝石を取り出して返します。罪人に対してその生命を絶つという恐ろしいことを言われてひどく震えるマイケル。
一時だけの天国でやはりマイケルは運がなかった。アンドレ殿下を呼び止めなければ宝石はまだ自分の手元に残っていた。
先ほどあげた宝石を店員のマイケルから奪い取ると近寄りがたい怒りや不満の表情でレストランから慌ただしく出て行く。
その後を大勢の護衛や付き添い人が何も言わずに追いかけていきます。
「皇太子殿下はどうなされたんだ?」
支配人はアンドレ殿下が席を立ったと従業員から教えられて、せっかちに速く歩いて店の入り口にやって来た。
風のように素早く帰ったアンドレ殿下を疑問に思い、その場にいたマイケルに問いただすが返事はなく音も立てず崩れて座り込むマイケル。
天国から地獄に落とされたマイケルはこの世が明日にも終わるような哀れな顔で、アンドレ殿下の怒った顔を頭に浮かべて叱られたペットのような悲しげな瞳に涙があふれていた。
質素な馬車に乗っていた付き添い人が馬車から降りると足早に歩いて豪華な馬車のドアを開けると中からはアンドレ殿下にドミニク辺境伯が姿を見せる。
「いい店だろ。僕はここをけっこう気に入ってるんだ」
「素晴らしい外観ですな」
アンドレ殿下が圧倒的なドヤ顔で言うとドミニク辺境伯は店の印象を口にした。これから店に入ろうとした時に店の授業員達が店の前に現れお出迎えをしてきた。
「ようこそお越しくださいました」
「うむ。今日の食事は楽しみにしているぞ」
「必ずやご満足できるお料理をお約束いたします」
支配人は頭を下げて挨拶すると上機嫌なアンドレ殿下も満足そうに顔をほころばせる。ここのレストランの料理は評判で舌が肥えている貴族階級に贅沢三昧に暮らす富裕層にも認められている。
まず付き添い人の数人が店内に入った。アンドレ殿下が座るテーブルの下調べをする。店の中を隅々まで見て回り話し合いが終わると再び馬車に戻ってきます。
「殿下、安全確認をいたしました。問題ございません」
「お前達ご苦労だったな」
付き添い人に労をねぎらうアンドレ殿下は護衛を引き連れて店の中に入る。高級そうな柔らかいソファに座るとアンドレ殿下の後ろには護衛が二人立つ。
それから店内に入っていく支配人に従業員達。付き添い人が店の中を調べている時にも寒くてもずっと外で黙って立っていました。
正直言うと店の中に入って他の客の対応もしたかったのですが、皇太子殿下を放置してこの場を離れることはできないとじっと我慢していたのです。
店の中で食事をしていた人達は好奇心に溢れた目でアンドレ殿下を見て、一緒のテーブルにいる相手とささやき声で会話する。
「あれが皇太子殿下か」
「モテなそう…」
「小さくて体型が太いね」
「僕のほうが数倍いい男だな」
「どう思う君は?」
「でもお金持ちだから愛人にはなりたいかな?結婚は無理だけど…」
「私は結婚したいわ。一生贅沢できるんだから」
「そうよね…多少醜くても目をつぶるわ」
「いや、私は好きな人と結婚したい。愛のない結婚はダメかな」
生まれながらに貴族という運命を掴んで恵まれている者にどこぞの綺麗な令嬢達も思い思いに言いたいことをしゃべる。大勢の人々が好き勝手にアンドレ殿下を批評していた。
その声は蚊の鳴くような小さい声なのでアンドレ殿下の耳には届いていなかった。もし届いていればただでは済まなかっただろう。
皇太子殿下が厳しい処罰を下せば貴族であろうとひとたまりもないので小声で会話を楽しむ。
「やはりうまいな」
「そうでございますな。いやあ、大変美味です」
「これも美味しいから食べてみろ」
「おお、素晴らしいですな。舌がとろけますな」
美食を堪能するアンドレ殿下とドミニク辺境伯は居心地のいい場所をみつけた外で暮らしていた動物のような心境で食事の美味しさに体中がほぐれるような喜びを感じていた。
「食事を、お、お持ちい、いたし…ました」
ひどく緊張して足がすくんでしまうような身も縮む思いで料理を運んできたのは新人ウェイターのマイケルです。
皇太子殿下に辺境伯という王族に上位貴族に粗相のないようにすることを支配人から耳にタコができる程言われ義務付けられている。単なる間違いであった場合でもひどく面倒なことになるからです。
自分のような小さな存在は皇太子殿下にひと睨みされるだけで、虫ケラのように吹き飛ぶのは頭で分かっているのでプレッシャーを感じている。
怖くて気が狂いそうなマイケルはこの場から逃げ出したかった。なぜ新人の自分が皇太子殿下の席に料理を運ばなくてはならないのかと。
結局のところ、皇太子殿下にビビったホール担当の先輩に頼み込まれて役目を押し付けられて仕方ないと引き受けた。
「なんだお前緊張しているのか?」
「は、はい!申し訳ありませんで…ご、ございまする」
「別に謝ることではないだろう」
「そうですな。今日の殿下は大変気持ちが良くて心が舞い上がっておられるのだぞ」
「そ、それは自分も嬉しいで喜ばしく思いますでございます!」
「はははは…そうかお前も喜んでくれるか。だがかしこまった丁寧な言葉が苦手なようだな」
「す、すみませんでありまっす!」
「まあそう緊張するな。普通に話していいぞ。今日は気分がいいからな」
「は、はい!」
「ところでお前はなんという名前だ?」
「マイケルと言います!」
「マイケルか…それなら何か僕を愉快にさせる芸をしてみろ」
頭が痛いほど緊張して唇が震えるマイケルは慣れない言葉でアンドレ殿下に喜びを示すが舌が滑らかに動かない。
それでも機嫌がいいアンドレ殿下は微笑を浮かべる。店員のマイケルが気に入って楽しませて見せろと言うのです。
そう言われてもマイケルには特技がなかった。すぐにアンドレ殿下を喜ばせることを思いつかない。
だが、ハッと頭に閃く。自分は昔ながらの仲の良い友人達に会った時にはいつもサルと豚のものまねをして喜ばせている。それを見た友人達も声を出して笑ってくれて我慢してる友人も耐え切れずに最後には笑みが浮かべる。
「これはいいな。ははは…マイケルは動物のものまねがうまいな」
「ずいぶんと楽しませくれる店員ですな。実におもしろい」
マイケルはサルのものまねをして豚の鳴き声を繰り返しアンドレ殿下とドミニク辺境伯の目の前で披露しました。自分よりも遥に偉い二人に喜んでもらってマイケルも誇らしく感じて胸を張ります。
「マイケルちょっと待て」
「は、はい!」
一発芸が終わりアンドレ殿下のテーブルから離れようとした時にマイケルは呼び止められた。どうなるのか?怒られるのか?それとももっと酷いことになるのかと。
この時、自分は調子に乗り過ぎてしまったかな?と思い冷や汗が出て体がかゆくなり始め心が掻きむしられるように焦る。激しい後悔が胸に広がり心臓が痛むマイケル。
「な、なんでしょうか?」
短い時間の間に、これから自分は八つ裂きにされるのかと頭で考えるほど思い悩み後ろを振り返って返事をした。そのマイケルの顔は苦痛そのものだった。
「お前にこの中から一つ宝石をやろう」
アンドレ殿下は羊皮の袋を懐から取り出して袋を逆さにしてテーブルの上に全部出す。
煌びやかな美しい宝石の数々が並ぶ。溶けそうなほどに輝き流氷のように鋭く光るカラフルな宝石たちにマイケルは生唾を飲み込む。
どれも大きさがゴルフボールほどの宝石。それを皇太子殿下は自分に一つくれると言う。
「おいマイケル早く選べ」
「は、はい!」
マイケルはどれでもいいので青白いキラキラ光っている宝石を一つ取りました。自分の生涯稼ぐお金よりも間違いなく価値がありそうな宝石をもらい天にも昇る極上の気持ちです。
「これは僕を愉快にさせてくれた礼だ。遠慮なく受け取れ」
「あ、ありがとうございます!」
マイケルは頭を深々と下げると沸きあがる喜びに身を任せて勝ち誇ったしたり顔で店の奥に急いで戻って行く。
「殿下よろしいのですか?あのような高価な物を…」
「僕は晴れやかな気分だからな…あのくらいのサービスはしてやる」
「殿下がそのようにおっしゃるなら問題ございません」
ドミニク辺境伯も店員に過剰な施しだと言う。やり過ぎなサービス。何しろあの宝石一つで普通の者ならそれなりに贅沢もできてこの世を去る寿命まで人生を過ごせるのだから。
だけどアンドレ殿下は何も動じない。確かにただの店員に軽々しくあげるような物ではないが、店内の雰囲気に美味しい料理に本当に心の底から僕は今幸せだと感じて飛び立つような喜びだった。
マイケルにあげた宝石はアンドレ殿下が現在羊皮の袋に持っている宝石の中で一番価値があった物だった。マイケルはそれを運よく手に掴んだ。実に巡り合わせが最高のウェイターの新人バイト。
「すごいだろう!皇太子殿下にもらったんだぞ!」
店の奥で従業員達にアンドレ殿下に豪華すぎるプレゼントをもらったマイケルは宝石を出して自慢していた。
「マイケルばかりずるいぞ!」
「羨ましい」
「ちょっと触らせろよ」
「なんか奢ってよ」
「私も殿下のところに行って見ようかな」
「これから行こう。私も宝石欲しい!」
自分が皇太子殿下の席に料理を運びたかったと切実にその場にいた全員がしみじみ思う。身体の中に温泉が湧き上がってくる悲しさで天を仰いで悔し泣く者や悔しげにうつむく多数の店員達。
いつもは騒がしく明るく喋っているかわいいウェイトレスの数人が、うつむけないほど悲痛な顔で涙を流し声を少し高くして泣く声が響いていた。
店員達が限りない不満を覚えるのは当然で悔しくて仕方がない気持ちになるのもしょうがない。
マイケルの心の中では運と言われても罵られてもどうでもいい。あんな立派な宝石をもらったのだから。
絶望な不平を感じる店員は無視してこれからの人生はバラ色だとマイケルは飛び上がる。アンドレ殿下の前で披露したサルのものまねをして豚の鳴き声で一人だけ馬鹿騒ぎしていました。
アンドレ殿下は食後のコーヒーを飲みながら、実にいいところだなと思いながら店内を見渡していた。
「ヴィオラ!?」
その時、意表をつかれたように想い人をレストランで発見した。アンドレ殿下は思う。僕は幸運に恵まれていて神様の采配により再び運命の出会いをヴィオラ令嬢としたのだ。
ハイグレードな料理店で貴族も好んで訪問するので、ヴィオラ令嬢が偶然いても何ら不思議ではない。
(でもどうしよう?話しかけたいけど迷う)
本音では、アンドレ殿下は疾風のようにヴィオラ令嬢の元へ行って会話をしたい。しかし最後に会った時は完膚なきまでに嫌われたので勇気がなかった。好きな人に気持ち悪いとまで言われたのだから。
度々ヴィオラ令嬢のことを自分のものとドミニク辺境伯に言っているが、実のところは虚勢を張っているだけだった。勿論そんなことは頭が回るドミニク辺境伯も気づいているが手ごまの立場としては言わない。
(それより僕のヴィオラと楽しそうに食事をしてるのは誰だ?)
恋心を注ぐ好きな人が食事をしている相手が気になった。ヴィオラ令嬢は正面に座っている誰かに心から信頼するような笑顔を向けている。それを目にしたアンドレ殿下は酷く嫉妬します。
(僕の恋愛の対象ヴィオラと食事をしているのは誰なんだ?どこのどいつだ。彼女の笑顔を独り占めにして許さないぞ!)
いても立ってもいられないアンドレ殿下は席を立ちヴィオラ令嬢のテーブルに向かう。
「殿下どうしました?」
いきなり立ち上がったアンドレ殿下にドミニク辺境伯は問いかけますが返事はなく走っていたので既に遠くにいた。
もう少しでヴィオラ令嬢と話している奴の顔が見えるところまで来ていた。
(誰だ?僕が思いを寄せているヴィオラをあんなに笑顔にさせてる奴は誰だ?)
「な…なんで奴が!?」
相手の顔を見て目を見開き呼吸困難を起こしたように心臓が止まりかけるアンドレ殿下の体は震える。ため息をつく余裕さえもなく絶望で顔が干からびる。
一瞬の静寂の後ピアノが鳴り出す。それに驚いたアンドレ殿下は思わず尻もちをついた。
「殿下大丈夫ですか?」
魂を奪われたみたいになり、そのまま護衛に声をかけられるまで動けなかった。
ヴィオラ令嬢の正面に座っていて食事をしていたのはレオナルド令息だったのです。
最初は我が目を疑った。死んだと思っていた人間が生きていたら驚くのも無理もない。
稲妻が頭に落ちたような衝撃で魚のように口を情けなく動かして突然背中に氷を入れられた感覚に精神が壊れそうだった。
(何故だーーーー!どうしてレオナルドは生きているんだ?死んだんじゃなかったのか?どういうことだ?)
アンドレ殿下の頭にできていたヴィオラ令嬢との結婚があっという間に幻想みたいに崩れ落ちて消える。
「おいドミニク!なぜレオナルドが生きてるんだ!」
「は?」
思いがけない質問だったのでドミニク辺境伯はすぐに言葉が出てこない。頬を叩かれたように愕然として自分の耳を疑うほど意外なアンドレ殿下の言葉だった。
「そんなはずはありません…殿下少し休まれてはいかがですか?」
「ふざけるな!」
先ほどアンドレ殿下が倒れたのを見ていたドミニク辺境伯は体調を心配して気遣った言葉ですが逆にひどくキレられます。
「本当にレオナルドが生きていたのですか?」
「ではなぜ僕のヴィオラがレオナルドと楽しそうに食事をしているんだ!」
「それは…私にもわけが分かりません…」
遠くからこの目で確かめたドミニク辺境伯は心臓がつぶれそうで気絶しそうだった。
やはりアンドレ殿下の言った通り冗談ではなく本当にレオナルド令息は生きていた。あの世に旅立ったと思った人間が急に蘇ったような衝撃で魂が揺さぶられる。
「ドミニク!」
「は、はい!」
「レオナルドを始末したとハッキリと僕に報告したよな?」
「確かにそのように伝えました」
「お前には後程、厳しい罰を与えてやるから覚悟しておけ!」
「殿下お許しください…」
突然にハッっと頭をよぎる。その後の自分の人生を左右する問題が持ち構えていたのをドミニク辺境伯は思い出す。
レオナルド令息の暗殺をしくじった自分はアンドレ殿下から罰を与えられる。恐怖に満ちてこわばった顔になり、足を高いところから踏み外したような生死を彷徨い思いで体中に恐怖が走る。
ドミニク辺境伯は生気の抜けた顔で土下座をして必死に許しを願うが、アンドレ殿下の凄まじい形相と眉間のシワをほどくことは決してなかった。
アンドレ殿下の後ろで甘い蜜を吸っていたドミニク辺境伯はこれから苦汁をたっぷりと味わうことになります。
席を立ち入口に向かうアンドレ殿下にマイケルが顔一杯に笑顔を広げながら声をかけてきました。
「もうお帰りですか?」
苦虫を噛みつぶしたような顔でマイケルに気がついたアンドレ殿下は恥も外聞もかなぐり捨てて言い放つ。もう気持ちいい気分がどこか遠くへ煙のように吹き飛んで消えている。
「お前!さっきやった僕の宝石を返すんだ!」
「え……!?」
「ほら早く出せ!」
「……」
「ボケッとするな!宝石を返さないとお前を処刑にするぞ!」
「は、はいどうぞ。お返しいたします!」
マイケルは意味がわからない。なんで皇太子殿下はこんなこと言うんだ?
つい先ほどまで嬉しそうに愉快な顔つきで声を弾ませて自分のサルのものまねや豚の鳴き声であんなに笑顔だったのに。
アンドレ殿下に心から親近感と温かさを感じていたマイケルは何も考えられずに立ち尽くしていた。
そしたら宝石を返さないと処刑すると言われたので慌てて懐から宝石を取り出して返します。罪人に対してその生命を絶つという恐ろしいことを言われてひどく震えるマイケル。
一時だけの天国でやはりマイケルは運がなかった。アンドレ殿下を呼び止めなければ宝石はまだ自分の手元に残っていた。
先ほどあげた宝石を店員のマイケルから奪い取ると近寄りがたい怒りや不満の表情でレストランから慌ただしく出て行く。
その後を大勢の護衛や付き添い人が何も言わずに追いかけていきます。
「皇太子殿下はどうなされたんだ?」
支配人はアンドレ殿下が席を立ったと従業員から教えられて、せっかちに速く歩いて店の入り口にやって来た。
風のように素早く帰ったアンドレ殿下を疑問に思い、その場にいたマイケルに問いただすが返事はなく音も立てず崩れて座り込むマイケル。
天国から地獄に落とされたマイケルはこの世が明日にも終わるような哀れな顔で、アンドレ殿下の怒った顔を頭に浮かべて叱られたペットのような悲しげな瞳に涙があふれていた。
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