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第14話
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ステファニーに記憶消去を施されて、フレッドとアランはセリーヌに婚約破棄を宣言した時にどんな話をしたかも何も覚えてはいなかった。
「私ははっきり覚えています。二人が彼女に向かって犯人だと勝手に決めつけたのです」
「どうして俺たちはセリーヌにそんなことを言ってしまったんだろうか……?」
「私はセリーヌを心から愛していた。なんで婚約破棄したんだ?それが自分でもわからない……」
二人が相当追い詰めたせいで、セリーヌは追放されたのだとステファニーは言いますが、フレッドとアランは面と向かってそう言われると頭を抱えたくなってしまう。
自分たちは、どうしてセリーヌにそんなひどいことを言ってしまったのか?何か頭に致命的な欠陥があるのではないか?と悩み自己嫌悪に陥ってしまった。
「――大変です!」
「なんだ騒々しいぞ」
部屋中に大声が響き渡る。フレッドは不愉快そうに顔色を変えて男に視線を向けて言った。
「魔物が軍勢を率いて迫ってきています」
「なんだと……!?」
報告をする男の恐怖に満ちた顔がこちらにも伝わってきて、この場の緊迫感をさらに強いものにした。フレッドは不意をつかれたような驚きの声をあげた。
「この国はステファニーの結界で守られているから大丈夫なんじゃないか?」
アランが大きな問題にはならないと口を開いた。ヴァレンティノ王国は聖女の結界によって守られている。邪悪な存在であると判断すれば近づけないのだ。
「……結界は、たぶんもたないと思う」
「え?」
ステファニーは悲痛な顔になって、唇が僅かに動いてつぶやくように言った。アランは少し戸惑った顔つきで彼女を見つめました。
「私の聖女の力が弱まってるから……最近は魔物が活発化しているのもそれが原因だと思う……」
ステファニーは自分で思っている以上に弱気になっている。今の自分の力では、この国を守れそうにないと沈んだ声でこう打ち明けた。
「それならこの国はどうなるのだ……?」
今後いったいどうなるんだ?フレッドが問いただすような言葉を投げかけるが誰も答えることが出来なくて、眉間にしわを寄せて神妙な面持ちで目を閉ざした。現実に困った事態が起きてどうしていいか分からなくなる。この状況から抜け出そうとしても頼るべきものがないことに深い絶望をいだいていた。
「私ははっきり覚えています。二人が彼女に向かって犯人だと勝手に決めつけたのです」
「どうして俺たちはセリーヌにそんなことを言ってしまったんだろうか……?」
「私はセリーヌを心から愛していた。なんで婚約破棄したんだ?それが自分でもわからない……」
二人が相当追い詰めたせいで、セリーヌは追放されたのだとステファニーは言いますが、フレッドとアランは面と向かってそう言われると頭を抱えたくなってしまう。
自分たちは、どうしてセリーヌにそんなひどいことを言ってしまったのか?何か頭に致命的な欠陥があるのではないか?と悩み自己嫌悪に陥ってしまった。
「――大変です!」
「なんだ騒々しいぞ」
部屋中に大声が響き渡る。フレッドは不愉快そうに顔色を変えて男に視線を向けて言った。
「魔物が軍勢を率いて迫ってきています」
「なんだと……!?」
報告をする男の恐怖に満ちた顔がこちらにも伝わってきて、この場の緊迫感をさらに強いものにした。フレッドは不意をつかれたような驚きの声をあげた。
「この国はステファニーの結界で守られているから大丈夫なんじゃないか?」
アランが大きな問題にはならないと口を開いた。ヴァレンティノ王国は聖女の結界によって守られている。邪悪な存在であると判断すれば近づけないのだ。
「……結界は、たぶんもたないと思う」
「え?」
ステファニーは悲痛な顔になって、唇が僅かに動いてつぶやくように言った。アランは少し戸惑った顔つきで彼女を見つめました。
「私の聖女の力が弱まってるから……最近は魔物が活発化しているのもそれが原因だと思う……」
ステファニーは自分で思っている以上に弱気になっている。今の自分の力では、この国を守れそうにないと沈んだ声でこう打ち明けた。
「それならこの国はどうなるのだ……?」
今後いったいどうなるんだ?フレッドが問いただすような言葉を投げかけるが誰も答えることが出来なくて、眉間にしわを寄せて神妙な面持ちで目を閉ざした。現実に困った事態が起きてどうしていいか分からなくなる。この状況から抜け出そうとしても頼るべきものがないことに深い絶望をいだいていた。
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