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第34話

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「これは奇跡きせきだ……うぅ……」
「社長、弟の足を治してくださりありがとうございます」

ルーカスとアルバートはただ涙を流すばかりであった。ソファで横になっているルーカスにセリーヌが足の傷口の部分に手を当てると、ルーカスは温かな光を感じると細胞が変化を起こしたように足が生えてきた。今は完全に元通りに修復されている。その治療時間はわずか30秒という短さだった。

ルーカスにはまるで奇跡のように見えた。そして急に泣き出してしまった。兄のアルバートは自然に床に手をついて頭を下げました。どんなに感謝しても足りないくらいです。

「兄さん!それは僕がすることだよ」

セリーヌの前でいきなり土下座をした兄を見てルーカスは声をあげると、兄の隣に並んで同じように土下座をして床に頭をこすりつける。ルーカスも感謝しきれないくらいに思っている。

「はぁー、もういいから顔を上げて」

セリーヌはやれやれとばかりに首を振りため息をついて言った。二人の気持ちは充分に理解しているつもりであった。彼女からしたら自分の店で働いている大切な従業員が悩んでいるのだから、自分のできることなら解決したいという思いだっただけのこと。

アルバートの人間性はわかってるし、彼の弟なら治したいと素直に思った。弟のほうも治療する前に話してみて、ちゃんとした感じで性格的には兄と似ているという印象を受ける。これなら治してもいいと思ったのです。例えばルーカスがひどく横柄な態度でさっさと治せ!という様子だったらセリーヌは足を治さないと決めていた。

別にセリーヌは足を治してもお金を要求するつもりはない。だが最低限のマナーは必要だろうと思っている。足を治療した時にこの人は自分に対して心からお礼を言えるのか?彼女の中ではそれができる人じゃないと、いくら自分の店を任せているアルバートの弟でも承知しなかった。

「こんな頭を下げるだけのお礼では納得できません!」
「僕も兄と同じ気持ちです。一生セリーヌ様の奴隷として身のまわりの世話をさせてください!」

兄弟は姿勢を低くしながら、セリーヌの顔を見上げるとそう言った。お礼の言葉も出てこないほどの思い、それが本心ですが自分たちに何かできる事はないかと言い始め、足を治してもらったルーカスは奴隷という立場でセリーヌの所有者にしてくださいと頼みました。

失った足を元に戻す回復魔法の治療費を支払う事が出来ないので、せめて礼儀を尽くしたいと言う思いでした。アルバートもルーカスも高い背丈で極めて洗練された魅力的な容姿の持ち主です。

「奴隷って……それならあなたもこの精霊のレストランで働く?もちろん賃金は払うからね」
「ありがたきお言葉に感謝します。ぜひセリーヌ様の店で兄と一緒に働かせてください!」
「わかりました。でもセリーヌとに呼びなさい」
「はい!」
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