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第17話

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「ジャックちゃん久しぶりね」
「ご無沙汰しております」
「うちのエリザベスちゃんは優しくて可愛くて本当にいい子なんだけど、今はちょっと元気がないみたいだから慰めてあげて」
「今日はそのために来ました」
「あら頼もしいわ」

エリザベスが何をしても深い愛情で受け止めて溺愛している母親のヴィクトリア。背中の開いた純白のドレスを女優みたいに着飾り白すぎる肌に金髪が映える。くびれがあり胸も膨らんでいて女性の輝きが満ち溢れていた。

美人というよりは和やかで落ち着いた上品なオカメみたいな顔。優しそうな人柄で少し若ぶった声を装っているが基本的にいい人だと感じている。

ヴィクトリアを見た瞬間ジャックは眩しくて目を洗われているような感覚になり、仕草もあざとくて可愛くいつもながら妙に惹かれてしまい恥ずかしそうに頬を赤らめてしまう。

「クロエさんが男性だったら結婚したいくらい好き」

エリザベスの部屋は広々とした空間でほこりひとつなく隅々まで綺麗に掃除が行き届いて室内には、ジャックとエリザベスとヴィクトリアにエリザベス専属の雑用をするメイドが10人が指示されればすぐ動けるように行儀よく並んで立っている。

クロエが許してくれたことは教えないでエリザベスの気持ちを探ることにした。クロエの言葉に甘えて時々でも会わせていたら、今までの愚かな行為が繰り返されるだけだ。

その結果やはり疑う余地もなく特異な恋愛感情を抱えているエリザベスは、一緒にいて話していると手に届かない胸のときめきを感じて憧れているような想いだとも答えた。

「責任は僕にあります。まず心の芯まで触れ合いをしてエリザベスが精神的に成長することが大事だと…」

これ以上クロエへの強烈な執念を燃やすようなら精神的なものを通り過ぎているので、脳の治療を受けさせるべきなのではとジャックは考え始める。

だがジャックにも反省するところは多大にある。エリザベスのクロエへの依存を急激に上昇させたのはジャックがエリザベスの要求を半ば当然のように受け入れていたのが問題。

「私の信頼している占い師様の話しではクロエさんは元々男としてこの世に生を受けるはずだったそうなの。でも大丈夫みたいだからエリザベスちゃん安心して!運命の人とは必ず結ばれるとおっしゃっていたわ」

ここでヴィクトリアが予想を超えた斜め上の発言を当たり前のようにしてジャックは驚愕する。思いもよらない言葉に宇宙人を見るような好奇なあきれた顔で固まっていた。

「そうですねお母様!何も悩む必要はございませんでした。私とクロエさんは肉親のように強い糸で結ばれた運命の人ですからね」
「そうよエリザベスちゃん!不安に襲われることはないのよ」
「お母様…クロエさんに早く会いたい…」

不思議な魅力を漂わせたヴィクトリアに言い聞かせられたエリザベスは、沈んでいた表情が覚醒したように生命力がもたらされ胸の中に灯がともり顔は喜びに満ちる。

その後ヴィクトリアとエリザベスの母と娘は二人だけの世界に入り、なにやらいつもの日課で霊界との交信を行うとジャックに告げて部屋から退出する。ジャックが二人の会話に割り込む隙間はちりほどもなかった。
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