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森へ
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ユリエルおじさまが、お手伝いの人を連れて孤児院へ来た。
お手伝いの人は、小さな子ども達にまた、畑仕事を教えてくれるのだろう。
「フィリア。どうだい?一緒に来てくれないか。」
「ええ。ユリエルおじさま。でも、国を建て直すとかはまだよく分からないの。」
「そうかい。とりあえず、アルフェンス国の生き残りに、顔を見せておくれ。私だけがフィリアに会っているのが気に食わないといつも言われてしまっているよ。」
と、笑いながら言われた。
私の手荷物なんて何もない。生活必需品は全部、孤児院からの支給品だったもの。
…そう思っていたのだけど、ユリエルおじさまが『私が寄付していたほとんどは、アルフェンス国王陛下が持たせて下さった金貨だったのだよ。つまり、フィリアのものだったんだ。だから、今使っているものは少し持っておいで。』と言ってくれた。
シスターに聞いたら、『ふふ。フィリアがいてくれたから、寄付してもらえてたのよね。ありがたいわ。本来ならあなたの国のお金だったのにいろいろと購入してごめんなさいね。』と言われた。まぁ、私には良く分からないし、快適に過ごせていたから笑っておいたわ。
孤児院にいる子ども達にも挨拶をし、手伝いに来てくれてる人を置いて、私はユリエルおじさまと一足先に森へ向かった。
メルサには特に泣かれたわ。でも、『メルサ、あとはよろしく!』と言ったら、『はい!』と笑顔で言ってくれたから安心ね。
森の中をしばらく歩くと、湖が見えた。こんなに奥まで入った事はないから、ちょっとドキドキする。
「ユリエルおじさま。まだ進むの?」
そう問いかけると、
「いや。もうすぐだよ。」
と言って、湖の中に続く桟橋に立った。
その桟橋を奥まで進んだ所に、地面に三日月が描かれている。そこに立って何やら呟くと、淡い光が放たれて湖の上にログハウスが浮かび上がった。
「え!?」
いきなり、湖にログハウスが建ったので驚いて声を出すと、
「はは。驚いたかな。身を隠す為だよ。魔法で幻術を掛けているんだ。その為15年ここで暮らせていたんだよ。全員じゃないがね。」
とユリエルおじさまに言われた。
桟橋からログハウスの玄関へと続く五段ほどの、階段を上って、ログハウスに入る。
すると、広い空間だった。6人ほどで囲める机が10ほど並んでいる。ベンチも両側に規則正しく並んでいた。くつろぐ部屋なのだろうか。
そこに座っている人が、ざっと見て10人以上はいた。だけど、入り口を見て、立ち上がっていきなり拍手をしてくれた。中には隣の人と肩を抱き合って涙を流している人もいた。
「こちらにいらっしゃるのが、アルフェンス国の王女様であらせられる。フィリア様だ!今日は皆に顔を見せに来て下さった!」
と、ユリエルおじさまがそこにいる人達に聞こえるように大きな声を出して言った。
私は初めて会った人達だし、泣いている人もいてどうしようかと悩んだけれど、「初めまして。フィリアと申します。私は、良く分からないのだけど、ユリエルおじさまに言われて来てみました。」
と挨拶をした。
「フィリア様!生きていて下さってありがとうございます!」
「フィリア様…!」
「フィリア様お綺麗になって…。」
「嬉しいわ…!」
「本当に!」
そう口々に話している。今ここにいる人達は、旧アルフェンス国の国民って事かしら。
「フィリア。どうだい。君が生きているのは、こんなに価値があるものだったのだよ。みんな喜んでくれているよ。」
そんな事言われても、良く分からないわ…。あら?よく見るとみんな腕にブレスレットをつけている。ユリエルおじさまが付けているのとお揃いね。
「ユリエルおじさまとお揃いのブレスレットをみんな付けているの?」
「ああ。これは、アルフェンス国の国民って事が分かるようにだよ。三日月の形があるだろう?三日月は、アルフェンス国の象徴。それにこれは、王宮にある、ご神木からとれる実で出来ているんだよ。」
そういってじっくりと見せてくれた。
昔も、ユリエルおじさまが付けているブレスレットが欲しいとねだった事があったわね。小さな丸い実を中に糸を通して繋げただけだと思うんだけど、とても可愛く見えて。留め具の所に三日月の形が模してあって。その時は、『いつか、これよりもっと素敵な装飾品が好きな人からもらえるから、楽しみは取っておきなさい。』と言われたのよね。
「ちなみに王族は、こんな簡素な物ではないよ。フィリアがアルフェンス国の王族だって分かる物を付けているよね。」
え?そうだった?
「首から掛けているペンダントがまさにそれだ。」
お手伝いの人は、小さな子ども達にまた、畑仕事を教えてくれるのだろう。
「フィリア。どうだい?一緒に来てくれないか。」
「ええ。ユリエルおじさま。でも、国を建て直すとかはまだよく分からないの。」
「そうかい。とりあえず、アルフェンス国の生き残りに、顔を見せておくれ。私だけがフィリアに会っているのが気に食わないといつも言われてしまっているよ。」
と、笑いながら言われた。
私の手荷物なんて何もない。生活必需品は全部、孤児院からの支給品だったもの。
…そう思っていたのだけど、ユリエルおじさまが『私が寄付していたほとんどは、アルフェンス国王陛下が持たせて下さった金貨だったのだよ。つまり、フィリアのものだったんだ。だから、今使っているものは少し持っておいで。』と言ってくれた。
シスターに聞いたら、『ふふ。フィリアがいてくれたから、寄付してもらえてたのよね。ありがたいわ。本来ならあなたの国のお金だったのにいろいろと購入してごめんなさいね。』と言われた。まぁ、私には良く分からないし、快適に過ごせていたから笑っておいたわ。
孤児院にいる子ども達にも挨拶をし、手伝いに来てくれてる人を置いて、私はユリエルおじさまと一足先に森へ向かった。
メルサには特に泣かれたわ。でも、『メルサ、あとはよろしく!』と言ったら、『はい!』と笑顔で言ってくれたから安心ね。
森の中をしばらく歩くと、湖が見えた。こんなに奥まで入った事はないから、ちょっとドキドキする。
「ユリエルおじさま。まだ進むの?」
そう問いかけると、
「いや。もうすぐだよ。」
と言って、湖の中に続く桟橋に立った。
その桟橋を奥まで進んだ所に、地面に三日月が描かれている。そこに立って何やら呟くと、淡い光が放たれて湖の上にログハウスが浮かび上がった。
「え!?」
いきなり、湖にログハウスが建ったので驚いて声を出すと、
「はは。驚いたかな。身を隠す為だよ。魔法で幻術を掛けているんだ。その為15年ここで暮らせていたんだよ。全員じゃないがね。」
とユリエルおじさまに言われた。
桟橋からログハウスの玄関へと続く五段ほどの、階段を上って、ログハウスに入る。
すると、広い空間だった。6人ほどで囲める机が10ほど並んでいる。ベンチも両側に規則正しく並んでいた。くつろぐ部屋なのだろうか。
そこに座っている人が、ざっと見て10人以上はいた。だけど、入り口を見て、立ち上がっていきなり拍手をしてくれた。中には隣の人と肩を抱き合って涙を流している人もいた。
「こちらにいらっしゃるのが、アルフェンス国の王女様であらせられる。フィリア様だ!今日は皆に顔を見せに来て下さった!」
と、ユリエルおじさまがそこにいる人達に聞こえるように大きな声を出して言った。
私は初めて会った人達だし、泣いている人もいてどうしようかと悩んだけれど、「初めまして。フィリアと申します。私は、良く分からないのだけど、ユリエルおじさまに言われて来てみました。」
と挨拶をした。
「フィリア様!生きていて下さってありがとうございます!」
「フィリア様…!」
「フィリア様お綺麗になって…。」
「嬉しいわ…!」
「本当に!」
そう口々に話している。今ここにいる人達は、旧アルフェンス国の国民って事かしら。
「フィリア。どうだい。君が生きているのは、こんなに価値があるものだったのだよ。みんな喜んでくれているよ。」
そんな事言われても、良く分からないわ…。あら?よく見るとみんな腕にブレスレットをつけている。ユリエルおじさまが付けているのとお揃いね。
「ユリエルおじさまとお揃いのブレスレットをみんな付けているの?」
「ああ。これは、アルフェンス国の国民って事が分かるようにだよ。三日月の形があるだろう?三日月は、アルフェンス国の象徴。それにこれは、王宮にある、ご神木からとれる実で出来ているんだよ。」
そういってじっくりと見せてくれた。
昔も、ユリエルおじさまが付けているブレスレットが欲しいとねだった事があったわね。小さな丸い実を中に糸を通して繋げただけだと思うんだけど、とても可愛く見えて。留め具の所に三日月の形が模してあって。その時は、『いつか、これよりもっと素敵な装飾品が好きな人からもらえるから、楽しみは取っておきなさい。』と言われたのよね。
「ちなみに王族は、こんな簡素な物ではないよ。フィリアがアルフェンス国の王族だって分かる物を付けているよね。」
え?そうだった?
「首から掛けているペンダントがまさにそれだ。」
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