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メフィス側妃視点 2 明るみ

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うふふ、もうすぐバルグェン国が攻め込んで来ると言っていたわね。その混乱を期に、私も逃げちゃいましょう。
今まで、散々ドレスで着飾れたからもういいわね。
どんなに着飾っても、ダンティス国王陛下は私の元に来てくれないもの。いつまでもここにいても、つまらないわ。

マナクルが幼い頃は私に懐いてとっても可愛かったわ!いつも私のドレスの裾を握りしめて後ろに隠れたりして。だから、マナクルが国を治めるのをとても楽しみにしていたけれど、大きくなってからは私を必要ともしない。だからつまらないわ。

この国は、バルグェン国がきっと綺麗さっぱりと掃除してくれるわね。

私は、私を必要としてくれる彼の所へ行くわ。けれど、お金がどれだけ保つかもわからないし飽きたら違う所へ行けばいいわね。私のこの美貌であれば、まだまだどこへでもやっていけるわ!

でも、逃げるといっても荷物はどうしようかしら。残念ながらドレスはすべて持っていけないわ。宝石やガラスのブローチは、忘れずに持っていかないとね。


クローゼットの部屋へ行って、右から左までドレスを確認する。

このドレスは、体のラインが綺麗に出るのよねぇ。
こっちは光に当たると色が明るく鮮やかに見える。
うーん、置いていきたくないわ。
けれど大掛かりな荷物になると、逃げる事がばれてしまうわ。

最近は、クローゼットの部屋でどれを持ち出そうかとそればかり考えている。


「メフィス様。そろそろお食事のお時間です。お召し替えを致しましょう。」

あら、もうそんな時間なのね。
「ええ。今行くわ。」





食堂に入ると、対面にもう一つ食事の準備がされていた。

「今日は誰かいらっしゃるの?」
「はい。国王陛下がもう少ししたら参ります。」
そうなの。珍しいわね。
では来られるまで待ちましょうか。


「待たせたかな?」
そう言って、ダンティス国王陛下は入って来た。

「いいえ。ダンティス国王陛下。ご一緒出来て、光栄ですわ!」
一応、とっておきの笑顔を向けた。王宮を去るまでは私は側妃なのだから、おべっかを使わないとね。

「では、いただこう。」
席についてすぐ、ダンティス国王陛下はそう言って食事を取る。
私も、国王陛下を待っていてお腹がすいていたからそれに倣った。

食事も終わり、紅茶が出される頃にダンティス国王陛下が話し出した。

「そうそう。メフィスよ。いいものが手に入ったのだ。元気になる粉だというんだ。紅茶に入れて飲もうではないか。そして、今夜お前の部屋に行こうと思うがよいかな?」
まぁ!今夜、陛下が私の部屋に!?この美貌に、やっと気づいたのかしら?でも私はもうすぐここを去るのよ。
けれど、最後に抱かれるのもいいわね。部屋に来てくれるのなんて、初めての事だわ!

「ええ。陛下…元気が出る粉とは…?」
でもなにか聞き覚えのあるものね。なんだったかしら?

「これだ。これは、元気が出る粉らしいぞ。おい、メフィスが飲む紅茶に入れてやってくれ。」
そう、陛下が侍女に言って、瓶を持って移動していた。

何気なくその瓶を見て、私はとても驚いた!
「陛下!それは、どこで!?」
「メフィスよ。元気が出る粉なのだろう?さぁ、飲んでごらん。」
そう、陛下がニヤリと笑っているけれど、その瓶は私の部屋にあったもの!どうしてアレが陛下の手にあったのかしら!?

「いえ。陛下…何かのお間違えでは?それは…元気が出る粉ではありませんわ。」
「おや?そうか。まぁでも、せっかく準備してくれたのだ。飲もうではないか。」
と、再び私に、その粉が入った紅茶を薦めてくる。あれは、毒葉をすり潰したものだから、飲んだらひとたまりもないわ!

「陛下…私は、喉は渇いておりませんわ。」
「そうか?残念だなぁ。では、これは誰に飲ませようか。もったいないから明日の食事に入れてもらうようにしよう。」
なんですって!?そんな事したら食事を安心して取れないじゃないの!!

「陛下、ですからそれは…」
「毒かな?」
え!!
「これで、サルビアを死に至らしめたのか?」
「へ、陛下…ご冗談を…。」
「冗談は言わんわ!それから、戦争が近々あると、誰から聞いた?」
「えっ!?」
「今まで、好き勝手させておいたのは私の罪滅ぼしだったのだが。遊びとはいえ、一夜だけでも共にしてしまったからの。だが、サルビアを手に掛けたとあらば話は違う!捕らえよ!!」
「ひっ…!!」
見た目はがっしりしているけれど態度はいつもナヨナヨとしている陛下が、そんな大きな声を上げて言うから、私は…

「触らないで下さいまし!私は陛下の妃ですわよ!」
「その陛下が、あなたを捕らえよと言われているのです。あなたの言葉より陛下の言葉の方が重みがあるのはお分かりですか?」
ぞろぞろと部屋に入ってきた衛兵にそう言われ、私は何も言えなくなった。

「今はまだ部屋に帰りしてやろう。お主から言葉を聞いておらんからな。先ほどの言葉通り、私もすぐお主の部屋に行くからな。見張りは付けるぞ。連れて行け!」
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