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3 私の侍女

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 私の侍女のモラリもとても頼りになるのよ。私よりも歳が六歳上だからかしら。
モラリも、お母様がいない私の力にいつもなってくれるのよね。大人しい顔をしているけれど、いろいろな知恵を働かせてくれる。お父様に、教会学校に通う事を相談したいと伝えたら、『時間を空けて貰いましょう』と手配してくれたりもしたわ。

 まぁ、四歳になってすぐに十歳の侍女がつくなんて、もうちょっと大人が来るもんじゃないの?とも思ったけれど、私の話も聞いてくれるし、モラリでよかったわ。

 モラリは、顔つきが似ているから聞いてみたらやっぱり!パトリツィアの娘だったの。
パトリツィアもモラリも、いつか帰りたいし行ってみたい場所があるそうだけれどもう行けないのですって。

 何故行けないのかしら。

 どういう場所かと聞いたら、パトリツィアの故郷なのだそう。平坦な場所は少ないけれど山がたくさんあって、そんなに裕福ではなかったけれど、景色は抜群にいい所なのですって。
モラリは行った事無いけれど、パトリツィアから聞いて行ってみたいとずっと思っていると言っていた。
そうやっていい所だと何度も言ってくるものだから、いつか一緒に行こうと言ったらとても哀しそうな顔をされたわ。喜ばせたかったのに何故かしら。


 モラリは、いつも焦げ茶色の髪だったから、モルドバコドル国ではごく一般的だと思っていたのだけれど、緑色だったの!
東の蓮池という別荘に行った時に、池に浮かんだ蓮の花を取ろうとして私、池に誤って落ちてしまったのよ。そうしたら、モラリまで池に入って助けてくれたのだけれど、お互いずぶ濡れになってしまって。助けてくれてありがとうと言おうとしてモラリを見ると、髪がいつの間にか緑色だったのよね。
モラリに、『綺麗な色ね!何で隠しているの?もったいない。明日からそのままの色で来ればいいのに!』と伝えたけれど、『無理です。』と泣きそうな顔で言われてしまったわ。どうして隠しているのかしら。もっと自分をさらけ出せばいいのに。それとも、使用人だからいけないとかあるのかしらね。

 モラリは、大人しいけれど私が聞けばいろいろな意見も言ってくれるの。

「私が女王陛下になったら、どんな国づくりをしようかしら。」

 と言うといつも考えを言ってくれるのよ。本当は、宮廷学院ではなくて教会学校に通ってみるのはどうかと言うのも、モラリに言われたのもあるのよ。

「何故、宮廷学院に通う事が通例なのでしょうね。陛下とは、貴族だけではなくさまざまな人達の意見も取り入れなければならないと思うのです。それには、教会学校で学ぶのも一つの手かとは思います。」

 って。そうよね!さすがモラリだわ!私の女王陛下になった時の為を思って考えてくれるなんて。


 父様に相談すると初めは渋っていたけれど、『議会で皆が賛成してくれれば、通えるぞ。どうする?自分の意見を皆の前で言ってみるか?』って言われたわ。私、まだ八歳にもならない子供よ!?でも、いい経験になるかもしれないわ!だって女王になったら、議会で大人達相手にしっかりと討論しないといけなくなるものね。

 …結果、通えるようになったの。すごいでしょ?道は自分で切り開いていくものよ!!
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