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11. 野望
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「俺、夢があるんだ。」
学校に通って三年生にもなると、だいぶ打ち解けていろんな話をしてくれるようになったの。そして、今日も私の邸で、学校が終わってお茶を飲んでいる時にアントンが打ち解けてきた。
「へぇ。どんな?」
カタンが軽く言うと、アントンは照れたように笑って、
「俺、オルフェイのみんなも豊かな生活が送れるようになってほしいんだ!」
と言った。
「あー分かる。僕もそう思うね。」
カタンはそう言ってうんうんと頷いた。
「それを言うなら、親がいない私達のような孤児でも、幸せで裕福な生活が送れるようになりたいわ!」
オリアも照れながらもそう言った。
「そうなのね。教えてくれてありがとう!その夢、叶えられるように私、頑張るわ!!」
「どうやって?」
「え!?」
私が意気込みを言ったら、いつものように『そうか、頑張れ!』って応援してくれるのかと思ったのだけれど違ったの。三人とも、突き刺すような視線で私を見ていた。
どうやって、かぁ。まだ具体的に考えた事も無かったわね。
「まだ、分からないわ。でも、その為に私は庶民が通っている学校に通っているのだもの。」
「庶民、ねぇ…。」
「ヴァレリアが女王陛下ね。かっこいいけれど、具体的に考えていて夢があるんだからアントンが国王になったら?」
さも簡単でしょ?とでも言うような口調で、オリアは言った。
「そんな、おいそれと国王になる、なんては言わないけどよ、確かに、ヴァレリアが陛下ってしっくりこないよなー。」
と、アントンが私の、顔をまじまじと見て言ったの。
「ひ、酷いわ!それってけなしているの!?」
「違うよ、褒めているんだせ。」
「確かに-。〝陛下〟って、偉ぶってて、如何にもなんでも横暴にやっちゃうイメージよね。顔も悪人顔で。」
「そうそう。汚れ役をなんでも引き受けてよ。」
「お、お父様はそんな人ではないわ!」
「分かってる。イメージよ、イメージ。」
「そうだな。だから、可愛いヴァレリアが陛下なんて、勿体ないと思ってよ。」
「そうだよねぇ。僕も、ヴァレリアには汚れ役は似合わないと思う。似合うのは、アントンだろうね。」
「…!」
可愛い…可愛いって言われちゃったわ!アントンっていつもそれとなく褒めてくれるのよね。豪快だし、そういえば初めて声を掛けてくれたのもアントンだったわ。この家にも毎日のように来てくれるし…!
「…アントンが、国王になる方法って、きっと、多分だけどあるのよ。」
そうは言ってみたけれどでも、自分から言うの少し恥ずかしいわね。
「えーないだろ。」
「ないない!」
「そうよ、所詮は夢、儚くも脆い現実にならない空想でしょー?」
「わ、私と結婚すれば、夫が国王になる事も可能だと思うわ!」
「嘘だろ-!?」
「ヒュー!」
「やっば!いいじゃん、二人お似合いよぉ?」
私、きっと今顔が赤いわ。でも、アントンをチラリと見るとアントンも顔を赤くしている。
やだぁ、もしかして、私達相思相愛だったりした?
アントンと…結婚!
まだ早いけれど、王族なんだもの。いつかはしないといけないし、アントンだったら毎日楽しいかもしれないわ。一人、ニヤニヤと早くもアントンとの未来を想像してしまっていた。
三人がどう思っていたかなんて考えもしなかった。
学校に通って三年生にもなると、だいぶ打ち解けていろんな話をしてくれるようになったの。そして、今日も私の邸で、学校が終わってお茶を飲んでいる時にアントンが打ち解けてきた。
「へぇ。どんな?」
カタンが軽く言うと、アントンは照れたように笑って、
「俺、オルフェイのみんなも豊かな生活が送れるようになってほしいんだ!」
と言った。
「あー分かる。僕もそう思うね。」
カタンはそう言ってうんうんと頷いた。
「それを言うなら、親がいない私達のような孤児でも、幸せで裕福な生活が送れるようになりたいわ!」
オリアも照れながらもそう言った。
「そうなのね。教えてくれてありがとう!その夢、叶えられるように私、頑張るわ!!」
「どうやって?」
「え!?」
私が意気込みを言ったら、いつものように『そうか、頑張れ!』って応援してくれるのかと思ったのだけれど違ったの。三人とも、突き刺すような視線で私を見ていた。
どうやって、かぁ。まだ具体的に考えた事も無かったわね。
「まだ、分からないわ。でも、その為に私は庶民が通っている学校に通っているのだもの。」
「庶民、ねぇ…。」
「ヴァレリアが女王陛下ね。かっこいいけれど、具体的に考えていて夢があるんだからアントンが国王になったら?」
さも簡単でしょ?とでも言うような口調で、オリアは言った。
「そんな、おいそれと国王になる、なんては言わないけどよ、確かに、ヴァレリアが陛下ってしっくりこないよなー。」
と、アントンが私の、顔をまじまじと見て言ったの。
「ひ、酷いわ!それってけなしているの!?」
「違うよ、褒めているんだせ。」
「確かに-。〝陛下〟って、偉ぶってて、如何にもなんでも横暴にやっちゃうイメージよね。顔も悪人顔で。」
「そうそう。汚れ役をなんでも引き受けてよ。」
「お、お父様はそんな人ではないわ!」
「分かってる。イメージよ、イメージ。」
「そうだな。だから、可愛いヴァレリアが陛下なんて、勿体ないと思ってよ。」
「そうだよねぇ。僕も、ヴァレリアには汚れ役は似合わないと思う。似合うのは、アントンだろうね。」
「…!」
可愛い…可愛いって言われちゃったわ!アントンっていつもそれとなく褒めてくれるのよね。豪快だし、そういえば初めて声を掛けてくれたのもアントンだったわ。この家にも毎日のように来てくれるし…!
「…アントンが、国王になる方法って、きっと、多分だけどあるのよ。」
そうは言ってみたけれどでも、自分から言うの少し恥ずかしいわね。
「えーないだろ。」
「ないない!」
「そうよ、所詮は夢、儚くも脆い現実にならない空想でしょー?」
「わ、私と結婚すれば、夫が国王になる事も可能だと思うわ!」
「嘘だろ-!?」
「ヒュー!」
「やっば!いいじゃん、二人お似合いよぉ?」
私、きっと今顔が赤いわ。でも、アントンをチラリと見るとアントンも顔を赤くしている。
やだぁ、もしかして、私達相思相愛だったりした?
アントンと…結婚!
まだ早いけれど、王族なんだもの。いつかはしないといけないし、アントンだったら毎日楽しいかもしれないわ。一人、ニヤニヤと早くもアントンとの未来を想像してしまっていた。
三人がどう思っていたかなんて考えもしなかった。
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