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第60話ランガの森ダンジョン編㊶
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オリバーがナイフを使い、ミラーの額に埋め込まれている魔石を慎重に取り外す。それを小袋に入れて紐でしっかりと結ぶ。
「王都に戻ったら鑑定してもらおう。ミラーの件も報告しないとな」
「一個大隊が壊滅するなんて……私の部隊はどうなりました? それにオルトリンガム中隊長の部隊は?」
ベネディクタが切実な声で尋ねる。
「ああ、あいつらは――」
言いかけたオリバーが急に倒れる。
「オルトリンガム中隊長!」
ベネディクタが慌てて抱きかかえる。
「に、逃げろ2人とも……」
オリバーの背中に1本の矢が刺さっていた。
「全員動くなっ!」
弓兵を従え、一人の騎士が叫んだ。
「いつの間に。アイツらもミラーの手下なの?」
「あれは、グレイ大隊長……」
ベネディクタが言葉を失う。
「早くオルトリンガムさんを止血しないと!」
「マリアは応急手当をお願い。私が盾になるわ。戦闘用ブラの魔法陣なら、弓兵の攻撃くらい何ともないわ」
「うん、お願い」
マリアがベネディクタの背に隠れ、手際よく止血を行う。
「バーリー中隊長!」
「はっ!」
グレイ大隊長に名前を呼ばれ、1人の弓兵が前に出た。
バーリー中隊長が大きな弓を構え、ベネディクタに狙いを定める。
「炎よ、我が弓に力を! フレイムアロー!」
詠唱と共に矢が燃え上がる。
「エクスプロードショットォォォ!」
放たれた矢がベネディクタの魔法陣に突き刺さった刹那、大きな爆発が起こった。魔法陣が消滅し、ベネディクタたち3人が吹き飛ばされる。
「金髪の冒険者を回収しろ。あとは始末して構わん」
バーリー中隊長の命令で、兵士たちが倒れているマリアに近づく。
「マリアに触れるなぁぁぁっ!」
起き上がったベネディクタが兵士たちを斬り倒す。
ベネディクタの体は火傷と裂傷で血まみれになっていた。床に倒れるマリアをかばうように前に出る。
「マリアとオルトリンガム中隊長は、私が守る!」
ベネディクタが全身に走る激痛に耐えながらレイピアを構えた。
「何をしているっ! 撃てっ」
バーリー中隊長の号令で、弓兵部隊が一斉に矢を放つ。
「おぉぉぉぉぉ!」
ベネディクタの咆哮がダンジョン内に響き渡る。
迫りくる矢の攻撃をレイピアで斬り落としていく。
「くっ……」
攻撃を防ぎきれず、肩に矢を受けたベネディクタがその場に崩れる。
再び兵士たちがマリアを取り囲んだ。
「や、やめろっ。マリアを離せ」
ベネディクタがレイピアを床に突き立て、立ち上がろうとするが足に力が入らない。
兵士たちがマリアを抱えて歩き出す。
「べ、ベネディ……」
意識を取り戻したマリアが小さな声でつぶやき、ベネディクタに向かって手を伸ばす。
「マリアッ。マリアァァァ!」
ベネディクタが叫び、もう届かないマリアに向かって手を伸ばす。
「2人を始末しろ」
バーリー中隊長の命令を受け、兵士たちが剣を構えた。
兵士の剣がベネディクタとオリバーに振り下ろされようとした次の瞬間、ダンジョン内が大きく揺れ、天井から落下した巨石に兵士が潰された。
「撤収だ!」
バーリー中隊長の指示で部隊が引き上げていく。
(体が動かない……マリアを助けに行かないと。私の親友を守らないと……)
崩壊が進むダンジョンで、ベネディクタの意識は徐々に薄れていった――。
「王都に戻ったら鑑定してもらおう。ミラーの件も報告しないとな」
「一個大隊が壊滅するなんて……私の部隊はどうなりました? それにオルトリンガム中隊長の部隊は?」
ベネディクタが切実な声で尋ねる。
「ああ、あいつらは――」
言いかけたオリバーが急に倒れる。
「オルトリンガム中隊長!」
ベネディクタが慌てて抱きかかえる。
「に、逃げろ2人とも……」
オリバーの背中に1本の矢が刺さっていた。
「全員動くなっ!」
弓兵を従え、一人の騎士が叫んだ。
「いつの間に。アイツらもミラーの手下なの?」
「あれは、グレイ大隊長……」
ベネディクタが言葉を失う。
「早くオルトリンガムさんを止血しないと!」
「マリアは応急手当をお願い。私が盾になるわ。戦闘用ブラの魔法陣なら、弓兵の攻撃くらい何ともないわ」
「うん、お願い」
マリアがベネディクタの背に隠れ、手際よく止血を行う。
「バーリー中隊長!」
「はっ!」
グレイ大隊長に名前を呼ばれ、1人の弓兵が前に出た。
バーリー中隊長が大きな弓を構え、ベネディクタに狙いを定める。
「炎よ、我が弓に力を! フレイムアロー!」
詠唱と共に矢が燃え上がる。
「エクスプロードショットォォォ!」
放たれた矢がベネディクタの魔法陣に突き刺さった刹那、大きな爆発が起こった。魔法陣が消滅し、ベネディクタたち3人が吹き飛ばされる。
「金髪の冒険者を回収しろ。あとは始末して構わん」
バーリー中隊長の命令で、兵士たちが倒れているマリアに近づく。
「マリアに触れるなぁぁぁっ!」
起き上がったベネディクタが兵士たちを斬り倒す。
ベネディクタの体は火傷と裂傷で血まみれになっていた。床に倒れるマリアをかばうように前に出る。
「マリアとオルトリンガム中隊長は、私が守る!」
ベネディクタが全身に走る激痛に耐えながらレイピアを構えた。
「何をしているっ! 撃てっ」
バーリー中隊長の号令で、弓兵部隊が一斉に矢を放つ。
「おぉぉぉぉぉ!」
ベネディクタの咆哮がダンジョン内に響き渡る。
迫りくる矢の攻撃をレイピアで斬り落としていく。
「くっ……」
攻撃を防ぎきれず、肩に矢を受けたベネディクタがその場に崩れる。
再び兵士たちがマリアを取り囲んだ。
「や、やめろっ。マリアを離せ」
ベネディクタがレイピアを床に突き立て、立ち上がろうとするが足に力が入らない。
兵士たちがマリアを抱えて歩き出す。
「べ、ベネディ……」
意識を取り戻したマリアが小さな声でつぶやき、ベネディクタに向かって手を伸ばす。
「マリアッ。マリアァァァ!」
ベネディクタが叫び、もう届かないマリアに向かって手を伸ばす。
「2人を始末しろ」
バーリー中隊長の命令を受け、兵士たちが剣を構えた。
兵士の剣がベネディクタとオリバーに振り下ろされようとした次の瞬間、ダンジョン内が大きく揺れ、天井から落下した巨石に兵士が潰された。
「撤収だ!」
バーリー中隊長の指示で部隊が引き上げていく。
(体が動かない……マリアを助けに行かないと。私の親友を守らないと……)
崩壊が進むダンジョンで、ベネディクタの意識は徐々に薄れていった――。
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